note株式会社

note株式会社エンジニアの井上太志氏と杉浦生隼氏

メディアプラットフォーム「note」を提供するnote株式会社は、ユーザ向けのマーケティングメールやトランザクションメールの送信でTwilio SendGridを活用しています。
同社 エンジニアの井上太志氏と杉浦生隼氏に、SendGridを導入した背景や効果について伺いました。

note株式会社について

2011年に株式会社ピースオブケイクとして設立し、2020年にnote株式会社に社名を変更。2014年に提供を開始した「note」は、サービス開始から8年で会員数が500万人を突破。誰でも自由に文章や画像、音声、動画を投稿できるメディアプラットフォームとして、クリエイターの成功を後押しするさまざまな取り組みを推進しています。

急成長するメディアプラットフォーム。メール配信数の増加を見据えSendGridを導入

– はじめにSendGridの利用用途を教えてください。

noteのユーザへのメール送信で活用しています。メールには大きく分けて2つの種類があります。

マーケティングメール

毎週送信するメルマガ。今週のおすすめ記事などをまとめて紹介し、見落としていたコンテンツの気づきや定期購読への誘導を促すメールです。noteでは毎日数万もの記事が公開されるため、いい記事でも埋もれてしまうという課題があり、解決の一手としてマーケティングメールは重要な役割を担っています。

トランザクションメール

ユーザが何らかのアクションを行った後に自動送信するメール。「新規登録後」や「有料記事の購入後」など、トランザクションメールの種類(送信するきっかけ)は100以上あり、ユーザのリテンションの促進を目的としています。

マーケティングメール・トランザクションメール、合わせて毎月約3000万通のメールを送信しています。

– SendGridはどのようなきっかけで導入されましたか。

noteの提供を開始した当初は別のメール配信サービスを使っていましたが、「送信しても届かない」という根本的な課題があり、ユーザからの問い合わせも多くありました。また、開封率やクリック率などを分析できていないという課題もありましたね。自社で1から分析の仕組みを準備するとなると、運用コストもかかってしまいます。

その頃、メールの送信数は月間で100万通と、今と比べると30分の1程度だったので大きな問題にはなっていませんでしたが、ユーザ数が増えていく未来を考えたとき、このままだとまずいと思い、2016年にSendGridを採用しました。

note株式会社エンジニアの井上太志氏と杉浦生隼氏

簡単に配信状況を可視化できる点がSendGridを選んだ決め手

– メール配信サービスの変更にあたってSendGridを選んだ理由を教えてください。

エンジニアの杉浦生隼氏やはりメール到達率の高さは選定するうえで重要なポイントでしたが、それに加えて配信状況を可視化する多彩な分析機能にも魅力を感じました。以前はメールの開封率やクリック率について漠然とした課題は感じていたものの、そもそも分析ができていないので正確な状況はわからないという状態でした。

実は自前でメールの開封率を計測する簡易的な仕組みもあったのですが、あまりメンテナンスがされていなかったので、かゆいところに手が届かず…。それに、今後システムへのアクセス数が増えるとサーバにも負荷がかかってしまうという懸念もあり、ダッシュボードで簡単に分析ができるマネージドなサービスとしてSendGridを導入しました。

データを分析し、文章や配信日時・頻度を調整。noteのSendGrid活用術

– SendGridの分析機能に着目されたとのことですが、現在の運用について教えてください。

ユーザから「メールが届かない」といった問い合わせがあった場合は、カスタマーサポートのメンバがSendGridの管理画面を確認し、直近の日時のステータスに異常がないか調査します。手軽に確認できるので、日常的な状況把握・分析で有効活用しています。

同時に、SendGridのEvent Webhook機能を使って定期的に自社のデータ基盤にログを集積し、BIツールで分析できるようにもしています。こちらはSQLを書かなければいけないのでエンジニア向けの仕組みですが、長期的なデータを活用した詳細な分析を行う際に使っています。

分析するメールの優先順位として、マンスリーで開封率を確認し、ワースト上位のメールをリストアップしてそこから改善に向けた施策を検討していきます。

– 具体的にどのような施策を行っているのですか。

文章や、配信タイミングの変更を検討している場合、変更前と変更後のメールでA/Bテストを実施し、クリック率や開封率を比較していきます。

文章については、ユーザのペルソナを意識して文体を修正したり、親しみやすくなるように絵文字を追加したり、開封率が上がるようにより魅力的なタイトルに変更したりといった施策を行っています。

エンジニアの井上太志氏また、配信タイミングや頻度も調整しています。例えば記事を気に入った読者が「スキ」ボタンを押した際に、通知メールがユーザに送信されますが、フォロワーが多いユーザほど頻繁にメールが届いてしまいます。配信の頻度やタイミングはユーザによって好みが分かれるので、SendGridを活用しA/Bテストで効果測定をしながら慎重に施策を進めています。

さらに、メールの開封状況を長期的に観察し、エンゲージメントがないユーザには同じ種類のメールを送らないようにするという施策も行っています。これにより、メールの送信数の削減につながりました。ユーザの増加数に対して送信数を抑えることができ、最適化が実現できていると感じています。

– 送信数を減らすことはコスト削減につながるだけでなく、必要なメールが届き続けるためにとても重要なことです。送っても読まれないメールを送り続けると、ISP側がスパムメールと判断し、他のメールまで届かなくなってしまうので。これは非常に有効な施策だと思います。

他にも、Unique Argumentsというパラメータを活用してメールごとにカテゴリを細分化し、さまざまな切り口でデータをスコアリングできるようにしています。

メールは新たな流入を確保する重要な入り口

– 最後に、御社が考えるメール配信の重要性や、SendGridに対する評価をお聞かせください。

メール配信は、noteを開いていないユーザに対して、noteの面白さを伝えたり、魅力的な記事への気づきを促したりすることで、新たな流入を確保する重要な入り口。だからこそ、私たちはどんなメールをいつ送るかということにこだわっています。

SendGridを導入することで、メール配信の改善サイクルを回す基盤が整いました。今後もまだ使っていない機能を積極的に活用しながら、よりいいメール配信を目指します。

​​※記載されている会社名、製品名等は一般に各社の登録商標または商標です。
※掲載内容はすべて取材当時のものです。
取材:2022年7月

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