SendGridのメールマーケティング施策をご紹介! ━ 開封率改善のために

SendGridのメールマーケティング施策をご紹介! ━ 開封率改善のために

こんにちは。SendGridサポートチームの岸です。

SendGridサポートチームでは、ユーザ様向けにニュースレター(=メルマガ)を配信しています。私はこのニュースレター配信を担当しており、「ユーザのSendGridへのエンゲージメントを高めること」を目的としておすすめ機能やメール配信に関するお役立ち情報をお届けしています。

メールマーケティングではただ配信するのではなく、結果を分析して次に活かすことが大切です。本記事では、SendGridのニュースレターのデータと施策をご紹介します!

メールマーケティングの施策にお悩みの方、メールマーケティングを始めたばかりの方のお役に立てれば光栄です。

注目している指標:ユニーク開封率

開封しない限り本文は読めません。本来であれば「開封」ではなく「本文を読んだかどうか」という指標に注目したいところですが、残念ながらそのような指標はありません。SendGridサポートチームでは、開封した=本文に目を通した、と捉えています。

開封率の算出方法は2パターンあります。

  • (Open数) / (Delivered数)
  • (Unique Open数) / (Delivered数)

どちらも分母はDelivered数(=配信したメールの数)ですが、1人のユーザが複数回開封すると1ではOpen数がその分カウントされるのに対し、2では一度しかカウントされません(Uniqueはメールアドレスに対してユニーク、という意味です)。

SendGridサポートチームでは「どれだけのユーザが開封したか」に焦点を当てているので、特に2のユニーク開封率に注目しています。

ユニーク開封率を上げるために実施した施策

私の場合、施策に目星をつけるためにまずは下記のことを行いました。

  • 「これを実施すれば開封率が上がる!」と謳ったWebサイトから施策をピックアップ
  • 自分の受信ボックスの中の、「思わず開封したくなるメール」に共通する項目をピックアップ

これらをさらに厳選し、最終的には以下の3つに絞りました。

1. 受信ボックス内で件名を目立たせる

仮説:視覚的に目立てば開封されやすくなる
メールは毎日大量に届きます。その中で開封されるためには、受信者の目に留まる=視覚的に目立つことが大切だろう、という仮説をたてました。

施策:記号を使用して目立たせる
記号を使わないいつも通りのメールを見てみると、他のメールに埋もれてしまっています。

※件名は「配信前の確認作業を効率化!ミスを防ぎ、ブランドイメージの向上へ」です。

通常通りの件名

「配信前の確認作業を効率化!」の前後に■■を追加すると、強調されパッと目につくようになりました。

記号を追加した件名

結果
A/Bテストで検証した結果、ユニーク開封率は下記の通りとなりました。

  • 記号なし・・・36.27%
  • 記号あり・・・37.16%

記号ありの方がユニーク開封率は高くなったものの、その差は0.89ポイントでほとんど変わりません。

記号を利用して視覚的に注意を引く手法はユニーク開封率にそこまで影響を与えないようです。もちろん、記号の付け方を工夫すれば効果はあるかもしれません。(例えば「▼▲▼配信前の確認作業を効率化!▼▲▼」とすると、より注意を引きやすくなるかも)また、視覚的に引きつけたとしても、件名の文章自体が魅力的でなく開封につながらなかった、とも考えられます。

2. 受信者に響く件名にする

仮説:「自分に関係するメール」と判断されれば開封されやすくなる
自分がメールを開封する基準を改めて考えてみると「このメールは自分に関係あるか?有益か?」を無意識のうちに判断していることに気づきました。
そんな当たり前のことを…と思われるかもしれませんが、メールを送信する立場になると送信側の都合ばかりを考えてしまい受信者の視点を忘れがちです。忘れてしまわないよう自分が受信者だったらどう思うかを常に問いかけましょう。

施策:件名をつけるときの切り口を変えてみる
どのような件名なら「関係する」と判断されやすくなるのでしょうか。切り口を変えた件名をつけてみました。
実際の件名は下記のとおりです。

※この施策を実施したときのニュースレターのテーマは「迷惑メール判定を防ぐ方法」です。

  • 解決法提示
    迷惑メール判定を回避して受信ボックスに届けよう!必要な対策を今すぐチェック
  • 課題提示
    受信者から反応がない…それ、迷惑メール判定のせいで送ったメールが無駄になっているのかも?
  • 自分事だと意識してもらう
    「えっこれが迷惑メール判定されちゃうの?」知らなかったでは遅い。今すぐ対策を始めよう!

結果
A/Bテストで検証した結果、ユニーク開封率は下記の通りとなりました。

  • 解決法提示・・・37.97%
  • 課題提示・・・35.40%
  • 自分事だと意識してもらう・・・39.80%

最も高いのはCで、Bより4.4ポイントも高くなりました。

設定した意図の通り、Cは「迷惑メールなんて他人事」と思っているユーザにもアプローチでき「これは自分にも関係する情報だ」と判断されたのだと考えられます。テーマに関心のあるユーザはもちろんですが、関心のないユーザにも訴求するためには自分事だと意識してもらうような件名をつけると有効なようです。

3. 親しみやすさを演出する

仮説:その他大勢ではなく、「自分宛て」のメールだったら開封されやすくなる
例えば、大好きなアイドルのコンサートに行ったと仮定します。観客全員に向けた「今日は来てくれてありがとう!」と、その後の握手会での「○○さん、この前は来てくれてありがとう!」という言葉は、どちらが嬉しいですか?もちろん、自分自身に向けられた言葉の方が、より嬉しく記憶に残ると思います。
状況は幾分異なりますが(笑)、メールでも同様のことが起きるだろうと仮説を立てました。

施策:件名に「○○様」と宛名を入れる
件名の最初に「○○様」と追記して、親しみやすさを出そうと考えました。しかし、この施策は次の理由から実施には至りませんでした。

  • 文字数をとられ、件名で伝えたいことが伝わらなくなりそう
  • SendGridのユーザはメールアドレスにMLを登録していることが多いので、効果が薄そう

施策からわかったこと

「自分事だと思ってもらえるような件名をつければユニーク開封率が高くなる」という傾向を掴むことができました。しかし、これはあくまでもSendGridの場合です。3. の実施を見送ったように、自分たちのサービスやユーザの傾向を把握した上で施策を精査することを忘れないでください。

特徴を把握し、色々な施策を試して、サービスにあう手法を見つけていきましょう!

今後やりたいこと

pre-headerのA/Bテスト

Gmailなどでは、受信トレイでメール一覧を表示した際、件名の横にメール本文の冒頭が表示されます(pre-headerと呼ばれるものです)。ここにはメール本文と異なる文章を表示させることもできるので、どんな文章ならユニーク開封率の向上につながるか?をテストで検証してみたいと考えています。

過去の開封時刻に基づいた送信時刻の設定

受信者がメールを「いつ開封したか」という情報を蓄積しておき、それに基づき開封されやすいタイミングを狙ってメールを配信してみたいと考えています。一斉配信ではなく受信者のライフスタイルにあわせて配信するので、ユニーク開封率の向上が期待できます!具体例についてはこちらをご確認ください。

さいごに

施策を通して学んだことはたくさんありますが、特にお伝えしたいのは次の2点です。

  • どういった理由でどの指標に注目するのかを決めておきましょう。注目すべき指標が定まっていないと、全ての指標が気になってしまい適切な施策につながりません。
  • しっかりとした仮説を立てておきましょう。仮説がないと結果を考察できませんし、次の施策にもつながりません。「この施策は効果がなかった」ではなく「今回は効果がなかったようだが、こうしたら結果が変わるかもしれない」というのを考えるためには、仮説が大切です。

SendGridのブログでは、メールマーケティングに関する様々な情報を発信しています。ぜひ定期的にチェックして、ご自身の施策に活かしてください!

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