SendGrid Night #8 開催レポート(前半)
- 2019年11月26日
- by 堀宮ありさ
- Category: イベント・セミナー
Twilio SendGridマーケティング担当の堀宮です。
2019年11月12日にTECH PLAY SHIBUYAにて、8回目のSendGrid Nightが開催されました!
用意していたビールが早々に無くなるほど会場に熱気があふれていた今回ですが、ご来場の皆さまお楽しみいただけたでしょうか。(追加のビールはサポートチームのメンバが買いに走りました)
当日の開催レポートは、2つの講演を前半、LTとHappy Hourを後半と2本立てでたっぷりとお届けします。行きたかったけど用事があった方、当日の内容を思い出したい方、皆さんぜひお楽しみください。
まずはこちら、Director, Ecosystem PartnersのElliotによる挨拶&乾杯!リラックスしたムードで始まりました。
Eメールの将来 / SendGrid社 Len Shneyder
15年以上Eメールに関わるVP of Industry RelationsのLenからは、Eメールはどのように始まり現状はどうなっているのか、そしてEメールの未来のあり方について話してもらいました。
最初のトピックは、気になっている方も多いこちらからスタート。
SendGridとTwilio
- SendGridは2009年に世界初のクラウドベースのメール配信プラットフォームとして、Twilioは2008年にAPIを利用したクラウド型コミュニケーションプラットフォームとして、どちらも3人のデベロッパが創業した。
- SendGridは現在毎月600億通以上のメールを配信、Twilioでは毎日1憶を超えるメッセージがやりとりされている。
- 2018年10月にTwilioにSendGridが参画し、音声やビデオ、SMS、メールなどオムニチャネルで更に幅広くエンゲージメントが強化できるようになった。
メールの歴史と今日
- 1971年に最初のメールが送られ、1978年にはスパムメールが誕生した。Eメールと呼ばれ始めたのは1982年からで、1993年にhtmlを利用したウェブメールが開始された。
- メールは近年台頭するSNSやチャットツールに取って代わられるとよく言われる。しかし、メールのROI(投資利益率)は1ドルあたり42ドル、世界には70億近いメールアカウントが存在し、依然としてリーチしやすく効果的なチャネルのまま。
2020年とその先のメールとは
ハイパーパーソナライゼーション
- 例えばスマートスピーカーを買った際、玄関で受け取り開けた直後にウェルカムメールが届く。このようにユーザ体験は今後より個人に合わせたものに、そしてマルチチャネルになっていく。
- 2016年~2018年のメールのベンチマークレポートを見ると、メールの総数は減って開封率は上がっている。これは本人にとってより必要なメールが送られるようパーソナライゼーションが進んでいるということ。
- 顧客がどのような端末、頻度でコンテンツをチェックするのか、メールの頻度はどのくらいが好ましいと思っているのかをきちんと把握することが重要。
(プロモーションメールは週に1回、日中に送ってほしい人が比較的多い)
メールはよりインタラクティブに、そして安全に
- CSS3とHTML5により、受信したメールから別ページやアプリに遷移せず、そのまま予約や商品の購入が可能となった。
- よりメールがインタラクティブになる中で、受信トレイの安全性も十分に考慮すべき。送信ドメイン認証はSPFとDKIMに加えて、DMARCも忘れずに。
Lenは実例やグラフを利用しながら、メールの始まりから現状、未来がどうなるかについて説明してくれました。より私たちにパーソナライズされた安全なメールが届き、インタラクティブにそのまま予約や購入ができるメールが増えそうですね。
月間600億通の配信を支える大規模インフラ / SendGrid社 Devon Jone
シニアプリンシパルエンジニアのDevonは、Twilio SendGridの月間600億通の配信を支える大規模インフラがどう進化してきたかについて、日本で初めて詳しい話をしてくれました。
メール配信は毎年増加し続けている
- 現在Twilio SendGridでは1か月で600億通、1秒で13万通を超えるメールを配信している。
- 1年の内メールの送信がピークを迎えるのはブラックフライデーとサイバーマンデーで、2017年に20億通/日、2018年には30億通/日が記録された。2019年には、40億通/日に達する見込み。
- Twilio SendGridのインフラは、基本的にブラックフライデーとサイバーマンデーに向けてスケーリングを行っている。
Twilio SendGridのインフラはどうスケーリングしてきたか
- 2013年、Twilio SendGridのデータセンターは1つで冗長性がなかった。
- 2015年にデータセンターはシカゴとラスベガスの2拠点となり、メールの処理はどちらでも行えるようになった。
- 2017年にはワシントンにも増えて3拠点となった。意外かもしれないが全体コスト は減少した。(データセンターの1つがダウンした場合、2拠点だと残る1拠点で100%処理する必要があるが、3拠点の場合は2拠点で分担して処理ができコストが抑えられる)
- 現在では、データセンターでメール処理を行いつつ、一部サービスとAPIはAWSに移行している。
Twilio SendGridのシステムアーキテクチャ
- 大量のリクエスト処理を想定すると、プッシュ型よりプル型の方がパフォーマンスを維持しやすい。また、各種処理はなるべく非同期にした方が良い。
- 2018年以前はメール配送処理の過程で同期的なシステム構成が多く含まれていたが、現在はkafkaをベースとして非同期な構成となっている。
Devonはエリック・レイモンドの著書『The Art of UNIX Programming』に書かれた「最適化のルール:洗練させる前に動かせ」という言葉をソフトウェアを作る際に忘れないようにしているそうです。実際のTwilio SendGridのシステムアーキテクチャの移り変わりの話と共に、Devonが大事にしているエンジニア哲学にも触れることができました。
2人の講演を楽しんでいただけたでしょうか?
さて、後半ではLTとHappy Hourの様子をお届けします!