SendGrid Night ~10th Anniversary〜 開催レポート
- 2024年1月12日
- by SendGrid
- Category: イベント・セミナー
早いもので、株式会社構造計画研究所(以下、KKE)が日本でTwilio SendGridの提供を開始して、12/10で10年を迎えました!これもひとえにSendGridをご利用いただいている皆様の温かいご支援とご愛顧があったからこそです。
今回は、12/13に開催した10周年記念イベントの様子をご紹介します。当日はTwilio社のSendGridチームからも5名が来日し、SendGridの新機能や来年2月から適用されるGmailの要件など、様々なテーマで話してくれました。
メール業界の最新情報 / Len Shneyder
KKEとSendGridの歴史を振り返る
メールに携わること20年のSr. Director Industry Relations & OPMのLenから、弊社SendGridエバンジェリスト中井へのインタビュー形式で行われました。
(Len)KKEがメール業界に参入したきっかけは?
(中井)もともとKKEがメール関連の事業をしていたわけでも目的を持って参入したわけでもなく、たまたま両社のCEO同士に親交があったのがきっかけ。一言で言えば「縁」です。
(Len)SendGridの提供を始めて驚いたことは?
(中井)正直、メールにこれほどまでの需要があると思っていませんでした(笑)
(Len)なぜこの事業が成功していると思いますか?
(中井)SendGrid自体が良いプロダクトだというのが1番の理由だと思います。また、サービスをただ提供するだけでなく、日本語でのサポートやドキュメントの提供など、日本のお客様に合わせたサービスにこだわり続けていることも大きいと自負しています。
(Len)提供開始当初から比べて、日本のメール業界はどのように進化していますか?
(中井)個々のお客様の送信ボリュームは増加し続けています。コミュニケーション手段としてチャットがかなり身近になっている状況ではありますが、BtoCのコミュニケーションでは今後もまだまだメールが主流であり続けると思います。
(Len)メールの専門家として、お客様が成功するための秘訣を教えてください。
(中井)メール業界の進化に着実に対応していくこと、また、きちんと受信者の立場で考えるということが重要です。これはSendGridがずっと言い続けていることですが、適切な相手に適切な頻度やタイミングで適切なコンテンツを送信するということです。
縁あって始まった関係が10年も続いているなんて、素敵な話です。
SendGridの今昔、そしてSendGridの強み
次はSendGridの歴史について。10年前のSendGridは月に100億通のメールを処理していました。これは当時としては非常に多い数だったそうです。その後も通数は増加し続け、今年のブラックフライデー&サイバーマンデーにはなんとそれぞれ100億通を超えるメールを1日で処理しました。これは過去最高の数値です。
なぜSendGridは多くのお客様に選ばれているのか?その答えは次のとおりです。
- 大量のメールを送信できるインフラを備えている
- 受信トレイへの高い到達性
- 豊富な専門知識
大量のメールを送るには送信者としてのルールに従わなければいけません。大量送信に対する反応は宛先プロバイダによっても変わります。これらを把握し、最も最適な送り方をしているため、SendGridは高い到達率を維持できるのですね。
メールに関する統計データ
メールに関する様々な数値についても語られました。
- メールの投資利益率(ROI)は高く、1ドルの投資から平均36~40ドルの利益が出ると言われている
- メールは世界中で1日に3,060億通送信されており、企業の多くが週に数回顧客に送信している
- しかし、ここ数年で企業からのメールの確認に費やされる平均時間は減ってきている(1通あたり10秒!)
- この”メール疲れ”への対処法、つまりエンゲージメントを高く保つ効果的な方法はPreference Centerの設置である。SendGridではこれにより配信停止のリクエストが20%減少した
メールを読んでもらうために
クリック率
Appleのメールプライバシー保護機能により、開封率はもはや役に立たない数値となりました。エンゲージメントを探るにはクリック率を監視しましょう。クリック率を向上させるために重要なのは以下のとおりです。
- 件名(コンテンツと一致しているか)
- プレビューテキスト(件名とともに開封前に受信者の目に触れる重要な情報)
- モバイルに最適化したデザイン(小さな画面でも見やすく)
- 効果的な画像(1000の単語より1つの画像)
- CTA(メッセージは明確に、詰め込みすぎない)
- セグメント、パーソナライズ(相手によって適切なコンテンツを送る)
- とにかくテスト
BIMI
BIMIは受信トレイの送信者アイコンを表示する規格で、利用するにはSPF、DKIM、DMARCの設定が必須です。Yahoo!の調査によると、BIMIを設定することでクリック率が10%増加したそうです。ブランドの認知度を高め、エンゲージメントを高めるのに非常に効果的だと言えます。
SendGridの将来 / Brandon Walker
SendGridの新機能
次にStaff Product ManagerのBrandonから、SendGridの新機能についてのお話です。
2023年には以下の機能がリリースされました。
- Multiple Event Webhook
ビジネスにあわせた粒度でのデータ蓄積が可能 - Sender Engagement quality score(SEQ)
メールのパフォーマンスの傾向を探るのに有効な指標 - Recipients’ Data Erasure API
ユーザ自身でSendGridのプラットフォームに保存されている個人情報を削除可能
そして2024年には、KKE経由の契約アカウントで使える機能の強化が予定されています!
現在は米国で直接取得したアカウントと比べ機能差がありますが、今後はこの差がなくなり最新の機能が利用できるようになる予定です。具体的には、
- Email Activityの機能拡張
- データの保存期間が30日間まで延長可能に
- CSVダウンロード機能の追加
- New Marketing Campaigns機能の提供開始
- ステップメールの配信などが可能に
- Single and Bulk Email validation機能の追加
- 1度に最大100万件のメールアドレスの有効性が検証可能に
2024年のなるべく早い時期に新機能を提供できるよう現在準備を進めていますので、今しばらくお待ちください。
DMARCへの対応
話は今注目のGmailガイドラインの件へと変わります。ガイドラインにはGmailやYahoo!以外の企業も賛同しており、Outlookなども今後続々と流れに乗る予定です。
Gmailのガイドラインでは、1日に5,000通以上のメールを送信する場合SPFやDKIM、DMARCの設定が必須になります。SendGridでは現在DMARCはサポート対象外ですが、DMARCを継続的に管理するサポートの提供も検討中です。
スケール / Brett Hobbs
最後にDirector of Software EngineeringのBrettから、SendGridのスケールについてのお話です。
Geopod
SendGridでは、メール送信した際にまずは地理的に一番近いGeopodでリクエストを受け付ける、Point of Presence(POP)を採用しています。Geopodは現在AWSにホスティングされていて、リージョンは東京を含めた世界7か所です。
Data Center
Data Centerは世界に6か所あり、メールの送信処理の大部分を担っています。多い時では1日に100億通を超えるメールを処理しています。
Asgard
SendGridではメール送信を行うコンピュートセルのことをAsgardと呼んでおり、これによりサービスを稼働させたままスケーリングすることができるようになっています。Asgardのインスタンスは世界に100個あり、1つあたり1時間に2,400万通のメール送信が可能です。つまり、理論上は1時間あたり24億通ものメールが処理できる計算です。
現在はData Centerのクラウド化を進めており、2024年中にメールの50~60%をクラウド上で処理すること、また、スケーリングに要する時間を数ヶ月から数日に減らすことを目指している、とのことでした。
乾杯
休憩を挟み、ここでようやく皆さんお待ちかねの乾杯!
喉を潤した後はLTの時間です。リラックスした良い雰囲気で始まりました。
LT1:Chatworkで起きたメール障害事例
まずは「メールの時代は終わりました」で有名な(笑)Chatwork株式会社 尾崎様からのご講演です。
Chatwork様には長い間ご利用いただいていますが、これまでに何度か大変な障害を経験されたそうです。
SMTP APIで「Invalid SMTPAPI header」エラーが度々発生したものの、センシティブな情報を含むヘッダを見ることなく解決させた話、Chatworkの招待メールを送る機能をスパマーに悪用され、送信元IPアドレスのレピュテーションが悪化して正常なメールまで届かなくなった話などをユーモアを交えながらお話しいただきました。そして最後に「構造計画研究所のサポートは神」という非常に嬉しいお言葉をいただきました。この言葉を糧に今後もサポートサービスを提供してまいります!
LT2:SendGrid+Google スプレッドシートによる簡単Webサイト構築
続いては、株式会社MOONGIFTの中津川様より、スプレッドシートとInbound Parseを組み合わせてWebサイトを運営したお話です。
SendGridはDevRel(Developer Relations)に関するカンファレンスのWebサイトで利用されているそうです。運営スタッフ宛に来たお問い合わせメールをSendGridのInbound Parseで受信し、Google Apps Script(GAS)を使ってGoogle スプレッドシートに書き出しているとのことでした。
SendGridやスプレッドシートの他にも、Firebase(Webサイトの構築)やSlack(運営スタッフへの通知)など、様々なサービスを組み合わせて、できるだけ手間をかけずにWebサイトを運営しているそうです。
「SendGridへのお願い」として、貴重なご意見もいただきました。米国SendGridメンバもうなずいて聞いていたのでしっかり伝わったと思います。ありがとうございました!
懇親会
最後は立食形式の懇親会です。ドリンクと軽食は、以前にもお世話になったジェリークさんにお願いしました。どれも盛り付けが可愛くて、そしてどれもおいしかったです!
オフラインイベントとしては4年ぶりとなったSendGrid Night。コロナ禍ではユーザの皆さんと直接お話しする機会がなかなか得られませんでしたが、ようやく開催することができ、とても充実した1日になりました。近いうちにまた何らかのイベントを開催できればと思っております。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!