Amazon Route 53で Domain Authenticationを設定する方法
- 2023年3月30日
- by 青木大将
- Category: 技術ネタ
自身が所有しているドメインの管理を、取得元のDNSサーバとは別のDNSサーバで行うケースがあるかと思います。そのような場合でも、Twilio SendGridの独自ドメイン利用設定(送信者の信頼性を上げ、メールの到達率を向上させる機能)を行うことはもちろん可能です。
今回は、お名前.comで取得したドメインをAmazon Route 53で管理するケースを例に、独自ドメイン利用設定の一つである、Domain Authenticationを設定する方法を解説します。
※お名前.comはドメインの取得や管理が行えるサービス、Amazon Route 53はドメインの取得や管理に加え、DNSルーティングによる負荷分散の設定などが行えるサービスです。
今回行うこと
以下の流れで設定を進めていきます。
- (1) お名前.comでドメインを取得する
- (2) Amazon Route 53でNSレコードを発行する
- (3) (2)で発行したNSレコードをお名前.comに登録し、ドメイン管理用のDNSサーバ(ネームサーバ)をお名前.comからAmazon Route 53に移行する
- (4) SendGridでDomain Authentication用のCNAMEレコードを発行する
- (5) (4)で発行したCNAMEレコードをAmazon Route 53に登録する
設定手順
1. ドメインを取得する
今回はお名前.comでドメインを取得しましょう。
希望のドメインを入力し、「検索」ボタンから画面にしたがって取得してください。
2. Amazon Route 53へドメインの管理を移行する
ドメイン取得直後は、そのドメインのDNSレコードの管理をお名前.com上で行う設定になっています。今回はAmazon Route 53の画面上でDNSレコードの管理を行いたいので、ネームサーバを移行するための設定を行っていきます。
ホストゾーンの作成およびNSレコードの発行
まずはAmazon Route 53の画面を開き、ホストゾーンを新規作成しましょう。
「Dashboard」画面の「Hosted zones」をクリックし、遷移先のページにある「Create hosted zone」ボタンから作成画面を開いてください。
作成画面を開いたら、以下の内容でホストゾーンを作成してください。
ホストゾーンを作成すると、NSレコードが4つ発行されます。これらのNSレコードは後ほど使います。
NSレコードの登録
ネームサーバを移行するためには、移行先のDNSサーバで発行したNSレコードを移行元のDNSサーバにも登録する必要があります。Amazon Route 53で発行されたNSレコードをお名前.comに登録しましょう。
お名前.comのトップページを開き、「ネームサーバーの設定」タブの配下にある「ネームサーバーの設定」をクリックしてください。
遷移先のページで対象のドメインにチェックを入れましょう。
同じページを下にスクロールするとネームサーバの設定フォームが現れるので、Amazon Route 53で発行されたNSレコードを入力して確認画面へ進んでください。
内容に誤りがないことを確認し、「設定する」をクリックしてください。
「完了」と表示されたら、NSレコードの登録は完了です。
3. Domain Authentication設定用のCNAMEレコードを発行する
ここまでの手順で、お名前.comからAmazon Route 53へのネームサーバの移行が完了しました。
今度はSendGridダッシュボードに移って、Domain Authenticationを設定するのに必要となるCNAMEレコードを発行します。
Sender Authentication設定画面を開き、「Authenticate Your Domain」をクリックしてください。
ネームサーバとして「Amazon Route 53」を選択し、「Next」をクリックしましょう。
続いて、お名前.comで取得したドメインを入力して「Next」をクリックしてください。
次の画面で、3つのCNAMEレコードが発行されています。後ほどこれらのレコードを使いますので、この画面は開いたままにしておきましょう。
4. Amazon Route 53にCNAMEレコードを登録する
Amazon Route 53の画面に戻って、対象ドメインのホストゾーンを開いてください。「Create record」ボタンからCNAMEレコードの登録を行います。
「Record name」と「Value」には、手順3で発行したCNAMEレコードの「HOST」および「VALUE」の内容をそれぞれ入力しましょう。「Add another record」をクリックし、残り2つのCNAMEレコードについても同様に情報を入力していきます。
※画面中の「サブドメイン」はCNAMEレコードのホスト名に含まれる「emXXXX」「s1._domainkey」「s2._domainkey」の部分を指します。
3つすべてのCNAMEレコード情報を入力したら、「Create records」をクリックしましょう。
3つのCNAMEレコードが追加されていることを確認できたら、Amazon Route 53での設定は完了です。
5. レコードの登録が反映されていることを確認する
DNSサーバ(今回の場合、Amazon Rotue 53)でDNSレコードを登録しても、登録内容が反映されるまでには時間がかかります。Google Admin Toolboxを使ってCNAMEレコードの反映が完了しているか確認してみましょう。
CNAMEレコードのホスト名を入力した際、「TARGET: 」にCNAMEレコードの値が表示されれば、登録内容は問題なく反映されています。「Record not found!」と表示される場合は、しばらく時間を空けてから再度試してみてください。
6. Domain Authenticationを有効化する
CNAMEレコードの登録が反映されていることを確認できたら、SendGridダッシュボードに戻りDomain Authenticationの設定画面で「Verify」ボタンを押しましょう。
「It worked!」と表示されたら、Domain Authenticationの設定は完了です。
なお、「Verify」ボタンによりCNAMEレコードの登録反映を確認できたDomain Authentication設定の「STATUS」には「Verified」と表示されます。
7. Domain Authentication設定が送信したメールに反映されているか確認する
最後に、今回設定したドメインからメールをテスト送信し、Domain Authentication設定が反映されていることを確認します。
今回はWeb APIを使って以下の内容で送信します。
{ "personalizations": [ {"to": [{"email": "to@your.domain"}]} //テストメールの宛先を指定する ], "from": {"email": "from@authenticated.domain"}, //今回設定したドメインをヘッダFromに指定する "subject": "Domain Auth TEST", "content": [{"type": "text/html", "value": "<p>Hello World!</p>"}] }
メールを受信したら、メールソースを開いてReturn-Pathヘッダを確認しましょう。
Return-Path(エンベロープFrom)のドメインが、以下のように今回設定した独自ドメイン(例:authenticated.domain)に変更されていれば、Domain Authentication設定は問題なく反映されています。
Return-Path: <bounces+12345678-0e12-to=your.domain@em1234.authenticated.domain>
よくある質問
Domain Authentication設定に関連して、SendGridユーザの皆さまからよく頂く質問をご紹介します。
DNSサーバの移行後、CNAMEレコードを登録したのにGoogle Admin Toolboxでレコードが引けない
移行前のDNSサーバ(今回の場合、お名前.com)ではなく、移行先のDNSサーバ(今回の場合、Amazon Route 53)でCNAMEレコードが登録されていることを確認してください。実際にドメインを管理している(移行先の)DNSサーバでCNAMEレコードを登録する必要があります。
Domain Authentication設定が「Verified」になったのに、送信メールのReturn-Pathが独自ドメインに変更されない
Domain Authenticationを設定したアカウントから、設定したドメインでメール送信しているか確認してください。別のアカウントからの送信や、設定したドメインとは異なるドメインからの送信では、Domain Authentication設定がメールに反映されません。
また、サブユーザからメールを送信する場合は、ご利用のサブユーザでDomain Authenticationが設定されていることも確認してください。
どのDNSサーバでドメインを管理しているのかわからなくなった
Google Admin ToolboxでドメインのNSレコードを調べてみてください。ドメインを管理しているDNSサーバが確認できます。お名前.comで管理している場合、以下のような結果が返ってきます。
TTL: 5 minutes TARGET: dns2.onamae.com. TTL: 5 minutes TARGET: dns1.onamae.com. |
まとめ
お名前.comで取得したドメインの管理をAmazon Route 53に移行し、Domain Authenticationを設定する方法をご紹介しました。Domain Authenticationの設定手順については、チュートリアルやドキュメントもぜひご確認ください。