IPアドレスのウォームアップ

この記事は Warming Up an IP Address の抄訳です。本記事中に紹介した海外サービスは日本語に対応していない場合がございます。ご了承ください。

「IPアドレスのウォームアップ」をご存知でしょうか?
まずは以下の動画をご覧下さい。

それではSendGridユーザの皆様にも、そしてご利用を検討されている方にも役立つIPウォームアップについて、FAQ形式でご説明します!

IPアドレスを「ウォームアップ」するって、具体的にはどういうことですか?

新規、あるいはコールドな(最近利用されていなかった)IPアドレスからメールを受け取ると、ISP(インターネット接続業者)はそのIPアドレスが正当な送信元かどうかを確認しようとします。ISPから正当なメールの送信元としてのレピュテーション(注1)を得るための取り組みが”IPウォームアップ”です。
IPウォームアップで最も重視される要素のひとつがメール送信量です。最初は少量〜中程度の量(月に100万通まで)から配信し、次第に量を増やしていくことをおすすめします。こうすることで、ISPはメール送信の傾向や、メールが受信者にどのように取り扱われるか、詳しく監視することができるためです。

ただし、IPウォームアップだけで売り上げ増などの成果を出せるわけではありません。成果を出すには、ユーザにマッチするコンテンツの配信や配信リストのメンテナンス、そして一貫性のあるコンテンツ配信など、様々なポイントを抑える必要があります。(詳しくはブログ記事「メールを送るときに気をつけたいこと」をご参照ください)

IPアドレスは必ずウォームアップしなくてはならないのでしょうか?必要だとすれば、それはなぜですか?

新規、またはコールドなIPアドレスから送信されたメールは、ISPにとって、レピュテーションの判断材料がありません。レピュテーションは、メールをスパムフィルタにかけるか判断するために、非常に重要な要素です。メール送信量が少ない(目安として月に1万通未満)場合にはたいていISPの監視を受けないので、IPウォームアップをしないでいいという見方もあります。しかしSendGridではメールの量に関わらず、ウォームアップされることをおすすめしています。

レピュテーションの履歴は、ISPの初期評価でも重要な要素です。SendGridではIPアドレスのレピュテーションを簡単にご確認いただけます。Sender Score.org (Return Path)といったサイトでもレピュテーションをチェックできます。

IPウォームアップはどのような手順で行われるのですか?どのような要素(送信量、期間など)が重要なのでしょうか?

ISPのスパムフィルタはメールの正当性について即座に判断を行います。しかし新しいIPアドレスからメールが送信された場合、ISPは過去のデータに基づいた判断ができません。そのため、ISPの判断材料となるための適切な量(多すぎず、少なすぎず)を提供する必要があります。
メール配信を効率化するために、下記の対策を取ることをおすすめします。

マーケティングメールの場合

■ 一般的なウォームアップ方法

  1. 月ごとのメール配信数を見積もり、それを30で割ります。
  2. はじめの30日間、1)で割り出した通数のメールを配信します。

例)月間9万通のメールを送る場合は、はじめの30日間、毎日3千通ずつメールを配信します。

■ より積極的なウォームアップ方法

  1. 月ごとのメール配信数を見積もり、それを15で割ります。
  2. はじめの15日間、1)で割り出した通数のメールを配信します。

例)月間9万通のメールを送る場合は、はじめの15日間、毎日6千通ずつメールを配信します。

※スロットリングが発生した場合は、配信数を減らしましょう。

【2015/07/16 追記】
上記は2014年1月時点の内容です。現在の推奨ウォームアップスケジュールについては IP Warmup Schedule をご参照ください。

トランザクションメールの場合

■ 既存ビジネスの場合

すでに膨大な量のメールを配信していて、初めてのESP(メール配信事業者)や新しいベンダーに変更する場合には、メール配信を少しずつ移行する必要があります。これを実現する方法の一つに、メールの配信をいくつかに分割して、新しいIPアドレスへ徐々に移行する方法があります。複数のIPアドレスを利用している場合には、ひとつの新しいIPアドレスにまとめましょう。

■ 新規ビジネスの場合

一般的にビジネスは右肩上がりに成長し、ユーザも増加していきます。このユーザ増にともなうトランザクションメールの配信量増加により、結果としてIPウォームアップを実施できます。

ISPは、自身のシステムに配信されるメールの記録を1ヶ月分残しています。そのため、ウォームアップはおよそ30日周期で行うのが効果的であると考えられます。ひとつの周期がまわったら、1日あたりの配信数を手始めの千-2千件から、10万-50万件まで、段階的に増加させます。

SendGridはユーザ向けのIPアドレスに対してどのような取り組みを実施しているのでしょうか?

SendGridでは、お客様が必要とされるメール配信サービスを、できる限りお待たせすることなくご利用いただけるように、様々な角度でアプローチしています。まずプールしているIPアドレスの履歴と健全性を検証しています。SendGridの基準を満たさない場合には使用されません。IPアドレスのレピュテーションが充分に高いと判断された場合のみ使用されます。これは同時に、それよりレピュテーションが低いIPアドレスにとっては、将来的な割り当てに向けての準備期間となります。レピュテーションの高いIPアドレスの提供は、SendGridのサービスの中でも特に重要なものです。今後もこの分野において、技術の革新を進めていきます。

ひょっとしたら、別のESPではウォームアップをされたことがないかもしれません。理由はとてもシンプルで、ESPのほとんど(特にマーケティングメールに特化したもの)は、ユーザに固定IPアドレスを割り当てないためです。多くの場合、ESPは初期設定で共有のIPアドレスを割り当てます。しかし共有IPアドレスは費用対効果が低く、そして技術的にも複雑になります。そのためSendGridはユーザが固有のIPを保有して、それぞれが独自のレピュテーションを得た方がいいと考えています。

IPウォームアップについて、下記のスライドもあわせてご参照ください。

注1) レピュテーション:メール送信者(送信元IPアドレス)の信頼度。メール送信者のレピュテーションが低い場合、送信したメールは迷惑メールである可能性が高いと見なされ、受信拒否されることがある。

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