共有IPアドレスと固定IPアドレスの違い:あなたに最適なのはどっち?

共有IPアドレスと固定IPアドレスの違い:あなたに最適なのはどっち?

この記事は Shared IP vs. Dedicated IP: Which Should You Choose? の抄訳です。

メールを送信するとき、共有IPアドレスと固定IPアドレスのどちらを使うかでお悩みですか?
どちらかに決める前に、まずはメールの世界でIPアドレスがどのように使われるかを確認しましょう。

すべてのメールはIPアドレスを介して送信されます。GmailやYahoo!のようなインボックス・プロバイダ(ISP)は、送信者の信頼度に基づいてメールを受信トレイに届けるかどうか判断しており、判断材料の1つとしてIPアドレスを利用しています(IPアドレスの信頼度を「IPレピュテーション」といいます)。IPレピュテーションが高ければメールが届きやすくなりますが、低ければ受信トレイにメールが届きにくくなるか、もしくはまったく届かなくなるかもしれません。

共有IPアドレスと固定IPアドレスの特徴や送信者の信頼度に与える影響について見ていきましょう。

共有IPアドレスとは?

シェアオフィスなどの郵便サービスを利用したことはありますか?これは他者と同じ住所を使って郵便物のやり取りをしている点で、共有IPアドレスを使ったメール送信と似ています。
共有IPアドレスの特徴は以下のとおりです。

IPレピュテーションをコントロールできない

共有IPアドレスを使うと、同じIPアドレスを使う他の送信者の影響を受けます。ある送信者がベストプラクティスに則ってメールを送信していれば、それ以外の送信者も高いIPレピュテーションの恩恵を受けることができます。逆に、一部の送信者が問題のあるメールを送っていれば、他の送信者の到達率が上がることもないでしょう。
SMTPプロバイダは、送信者がルールを守っているかを定期的に確認し、受信者の利益を守ることを重要視しています。送信者はこの点を意識しておきましょう。

通数が少ない送信者向き

もし年に10万通も送らないのであれば、大きなコストをかけて固定IPアドレスに移行するほどの価値はないかもしれません。ISPは安定したパターンでメールを送る送信者を好みます。そのため、メール送信の頻度が低いのに固定IPアドレスを使っていると、IPレピュテーション自体が構築されず、到達率が低くなる可能性もあります。

固定IPアドレスとは?

固定IPアドレスは自宅の住所のようなもので、自身のドメインだけがそのIPアドレスからメールを送ることができます。固定IPアドレスの特徴は以下のとおりです。

IPレピュテーションを完全にコントロールできる

自分専用のIPアドレスであるため、IPレピュテーションを直接コントロールできるようになります。他の送信者からの影響を心配する必要はなく、よりよいメールプログラムを作ったり、到達率を高めたりすることに集中できます。

大量送信者向き

年間10万通以上のメールを送信する場合は、固定IPアドレスを使った方がよいでしょう。固定IPアドレスを使い、安定したパターンでメールを送信することで、レピュテーションを高めることができます。また、固定IPアドレスを提供しているメールサービスを選択すると、到達率をより向上させる機能を利用することもできます。

共有IPアドレスと固定IPアドレスのどちらが適しているか

共有IPアドレスと固定IPアドレスそれぞれの特徴を考慮して、どちらを利用するかを決めましょう。

1. 送信通数

  • 共有IPアドレス:年間の送信通数が10万通未満の場合におすすめ。メールの送信頻度が低いスタートアップや中小企業など向け。
  • 固定IPアドレス:年間の送信通数が10万通以上の場合におすすめ。大企業や大量送信者向け。

2. コスト

  • 共有IPアドレス:初期費用やメンテナンスコストが低く抑えられるため、費用対効果が高い。
  • 固定IPアドレス:多少コストをかけてでも大量のメールを安定して配信したい企業におすすめ。配信にかかる総コストは安く抑えられる可能性がある。

3. 送信パターン

  • 共有IPアドレス:自身の送信頻度が少なくても、他者の送信によりIPレピュテーションが維持できる。メール送信の頻度やタイミングが一定でない場合におすすめ。
  • 固定IPアドレス:IPレピュテーションを維持するために一貫したパターンで送信する必要がある。定期的に大量のメールを送信する場合におすすめ。

4. IPレピュテーションの制御

  • 共有IPアドレス:複数人が同じIPアドレスを使ってメールを送信するため、IPレピュテーションを制御できない。
  • 固定IPアドレス:IPアドレスを占有できるため、他者の影響を受けることなく、IPレピュテーションを完全に制御できる。

それほどメールを送る機会がなく費用対効果を求めるなら共有IPアドレスが、送信通数が多くメールを重要なコミュニケーションチャネルとして利用しているならば固定IPアドレスがおすすめです。

自分にあったIPアドレスを選ぼう

ほとんどの送信者は、はじめは共有IPアドレスを利用し、メールプログラムが成長するにつれて固定IPアドレスに移行します。しかしながら、一貫した送信パターンの有無は共有IPアドレスと固定IPアドレスのどちらを利用するか決める上で重要な要素の1つです。

プロバイダによっては固定IPアドレスの取得費用が割高なこともありますが、Twilio SendGridではPro以上のプランに固定IPアドレスが1つ割り当てられるため、安価に利用できます。また、固定IPアドレスを追加することも可能です。

Twilio SendGridを使ったことがなければ、まずはアカウントを取得して共有IPアドレスからメールを送信してみましょう。
共有IPアドレスを使っていて予期せずメールが届かないことが続くと、最終的には自分自身でIPレピュテーションをコントロールしたくなるでしょう。そのときは固定IPアドレスをお試しください。

アーカイブ

メールを成功の原動力に

開発者にもマーケターにも信頼されているメールサービスを利用して、
時間の節約、スケーラビリティ、メール配信に関する専門知識を手に入れましょう。