IPウォームアップのよくある質問集

IPウォームアップのよくある質問集

大量送信を始める際に必要な「IPウォームアップ」。その内容や目的を知っていますか?
IPウォームアップって何のためにやるの?具体的には何をしたらいいの?etc…弊社サポートに多く寄せられる質問をまとめました。
今回は、すべての送信者に知っておいてほしい「IPウォームアップ」について詳しく説明します。

目次

  1. IPウォームアップとは?
  2. 具体的に何をすればいい?
  3. IPウォームアップはいつまでやるべき?
  4. IPウォームアップをしないとどうなる?
  5. 何通以上送る場合にIPウォームアップが必要なの?
  6. 利用プランにかかわらずIPウォームアップできる?
  7. IPウォームアップの進捗状況は確認できる?
  8. 特定のメールアドレスに繰り返し送信すればIPウォームアップになる?
  9. 「@sink.sendgrid.net」宛に送信してもIPウォームアップになる?
  10. スケジュールに沿った送信ができない場合はどうすればいい?
  11. 送信頻度が少ないのですが最初だけIPウォームアップすればいい?
  12. 自動IPウォームアップ機能を使っていい?
  13. ウォームアップしたのにメールが遅延するのですが…?

IPウォームアップとは?

簡単に言えば、宛先サーバから見た「メールの送信元IPアドレスの信頼度(=レピュテーション)」を上げ、送信者としての信頼を獲得する作業です。

例えば、あなたがメールサーバの管理者だったとします。ある日突然、正体不明の差出人から大量にメールが送られてきたらどう感じますか?フィッシングメールかもしれないと警戒し、受信をためらうと思います。実際に多くのメールサーバでは、初めてのIPアドレスからたくさんのメールが送られてくると一時的に受信拒否する動きが見られます。

宛先サーバに正当な送信者だと認識され、送ったメールが警戒されることのないように、少しの通数から徐々に送信量を増やしていく作業がIPウォームアップです。IPウォームアップを入念に実施し、レピュテーションを高く保つことができれば、一度にたくさんメールを送信しても宛先サーバにすべて受け入れてもらえるようになります。新たにメール送信を開始する場合や、新規のIPアドレスから送信する場合には、必ずIPウォームアップを実施しましょう。

具体的に何をすればいい?

まずは少しの通数を送り、メールが届くか様子をみます。Activity画面でイベントを監視しましょう。
すべてのメールが宛先サーバに受け入れられれば(=Deliveredイベント)翌日は通数を増やして再度様子をみる、それらもすべて宛先に届けば次の日はさらに通数を増やす…という作業を繰り返します(具体的な通数は、Twilio SendGridが公開しているウォームアップスケジュールを参考にしてください)。

一方、以下のイベントが発生した場合には注意が必要です。

  • Deferred
    メールが宛先サーバから一時拒否されている状態です。宛先側の通数制限を超えている可能性があるため、新規の送信は控えてください。
    これらのメールはSendGridが最長72時間自動的に再送を繰り返すので、最終的にどのイベントが発生するか(DeliveredまたはBlock)に注目しましょう。再送の結果Deliveredが発生すれば、メールは宛先サーバに受け入れられたので対処は特に必要ありません。

    Deferredが発生してしまった場合には次回送信時は通数を増やさず、同じ通数で再度様子を見てください。

  • Block
    メールが宛先サーバに受け入れてもらえなかった状態です。このメールは宛先には届いていないので、必要に応じて個別に再送しましょう。

IPウォームアップはいつまでやるべき?

自分が送りたい通数を一度に送っても遅延なく宛先に届くようになれば、その通数に対するウォームアップは完了です。現在問題なく送信できていても、今後大幅に通数が増加するような時には、現在の通数から再度ウォームアップを実施しましょう。

IPウォームアップをしないとどうなる?

これまで説明したとおり、宛先サーバが警戒して一時的に受信を拒否したりブロックしたりします(スロットリング)。つまり、メールの遅延や不達が起こります。

何通以上送る場合にIPウォームアップが必要なの?

大量送信する前にはIPウォームアップが必要ですが、「大量」の判断基準は宛先サーバによって様々です。宛先ドメインの偏りなどによっても状況は変わるため、一概にIPウォームアップが必要な通数を答えることはできません。
遅延のリスクを避けるためには、ウォームアップスケジュールに記載の通数を超える場合に実施を検討してください。

利用プランにかかわらずIPウォームアップできる?

IPウォームアップできるのは、アカウント専用の「固定IPアドレス」を利用するプラン、つまりProプラン以上のアカウントです。
Free / Essentialsプランでは他アカウントとの「共有IPアドレス」が利用されるため、IPウォームアップをする必要はありません。
ただし、IPウォームアップの必要がないからといって、Free / Essentialsプランが優れているわけではありません。レピュテーションを他アカウントと共有することはリスクにもなるので、弊社ではProプランのご利用をお勧めしています。

IPウォームアップの進捗状況は確認できる?

IPウォームアップは宛先から見たレピュテーションを上げる作業なので、SendGridダッシュボードで進捗状況を確認することはできません。実際に送信してDeferredが発生しなければ、その通数に対するレピュテーションが構築されていると考えられます。

特定のメールアドレスに繰り返し送信すればIPウォームアップになる?

なりません。特定のメールアドレス(エイリアスアドレスなども含む)に繰り返し送信することは、宛先メールサーバからは同じ人に何通もメールを送り続けているように見えるだけで、むしろ正常なメール送信とは判断されません。また、時間当たりに受信できる通数に制限を設けているメールサービスも多く、問題を引き起こす行為となるので、ご自身のメールアドレスへ大量に送信するのは避けるべきです。
また、レピュテーションは宛先サーバがそれぞれ管理しているため、特定のドメインのみにメールを送り続けても、そのドメインに対するウォームアップにしかなりません。
メールを送りたいドメインすべてに対して効率よくIPウォームアップするには、実際の宛先リストを使って行うのがベストです。

「@sink.sendgrid.net」宛に送信してもIPウォームアップになる?

なりません。「@sink.sendgrid.net」はテスト用のダミードメインです。この宛先にいくら送信してもIPウォームアップになりません。繰り返しになりますが、実際の宛先に送りましょう。

スケジュールに沿った送信ができない場合はどうすればいい?

ウォームアップスケジュール通りに送信できないケースもあると思います。多く寄せられる相談の中からいくつか例を紹介します。

  • 既存システムからTwilio SendGridに送信サービスを切り替える場合
    一度に切り替えるのではなく、SendGridからの送信通数がスケジュールに則るように少しずつ移行してください。
  • 新規サービスで、スケジュールに記載の宛先数を満たしていない場合
    今は宛先数が少ないが、サービスの成長に伴って徐々に増えていくと予想される場合は、ウォームアップせずに送信してみましょう。日々の運用の中で自然とウォームアップされていきます。
  • トランザクションメールを送信していて通数を制御できない場合
    購入完了メールのように送信側で細かく調整できない場合でも、通数がさほど多くなく送信タイミングが分散するのであれば、運用の過程で自然とウォームアップできる可能性があります。システムの切り替え等で初めから通数が多いのであれば、本格運用前にニュースレターを送るなどしてIPウォームアップを行うことも検討しましょう。

それ以外にも様々なケースがあるかと思います。通数などによっても最適解は変わるので、迷った際にはぜひサポートにお問い合わせください。

送信頻度が少ないのですが最初だけIPウォームアップすればいい?

レピュテーションの保持期間は宛先サーバ次第ですが、一般的に30日程度はキープされることが多いようです。したがって、月に1回程度送信していればレピュテーションが維持されると考えられます。
しばらく送信をやめていて再開する場合には、再度IPウォームアップを行う必要があります。

自動IPウォームアップ機能を使っていい?

自動IPウォームアップ機能は、アカウントに複数のIPアドレスが割り当てられている場合にのみ使える機能です。1つしか固定IPアドレスを所有していない場合には使えません。
機能の詳細はこちらをご覧ください。

ウォームアップしたのにメールが遅延するのですが…?

多くの宛先サーバは、1つのIPアドレスから受け取るメールの通数に制限を設けています(制限値はサーバによって様々です)。いくら入念にIPウォームアップしてもメールの遅延が解消されない場合は、この制限にかかっている可能性があります。固定IPアドレスの追加を検討しましょう。
詳細はこちらをご覧ください。

まとめ

IPウォームアップの目的や必要性が理解できましたか?一見難しいように思えるかもしれませんが、考え方は案外シンプルだと思います。IPウォームアップには「必ずうまくいく」という正解はありませんが、仕組みがわかっていれば遅延発生時の対処もスムーズになるはずです。
正しい知識を身につけて大量送信に備えましょう。

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