自動IPウォームアップ機能とは?

自動IPウォームアップ機能とは?

IPウォームアップの重要性

メールの世界には、IPレピュテーションと呼ばれる、IPアドレスの信頼度を表す指標が存在します。レピュテーションが高ければ高いほど、安全にメールを送信できる量や、宛先への到達率が上昇します。レピュテーションは「IPウォームアップ」という作業によって高めることができます。レピュテーションが低いIPアドレスから急激に大量送信を行うと、スロットリング(遅延)やブロックが発生してしまう可能性があるので、新しくIPアドレスを追加する際には必ずIPウォームアップが必要です。

送信通数が大きくなってくると、それに応じて固定IPアドレスの数も増やす必要があります。本記事では、固定IPアドレスを追加する際に役立つ「自動IPウォームアップ」機能について解説します。

IPウォームアップの考え方

安全にメールを送信できる量や到達率は、送信元IPアドレスのレピュテーションに左右されます。
以下ではイメージしやすいように、IPアドレスごとに異なる、送信者と受信者を結ぶ管が存在するとして説明を続けます(あくまでも便宜上の表現であり、実際にはそのような管が存在するわけではありません)。この管の太さがIPレピュテーションの大小を表すと考えてください。

IPアドレスごとに異なる、送信者と受信者を結ぶ管

レピュテーションの高さによって安全に送ることのできるメールの量は異なり、十分に管が太ければ(レピュテーションが高ければ)、大量にメールを送信してもスムーズかつ確実に受信者へ届きます。逆に、レピュテーションが低いと、大量のメールを送ろうとしてもそれを届ける管が細いため、受信者へスムーズに届かない(Deferredが発生する)ことになってしまいます。

レピュテーション

IPウォームアップは、メールを送信する管を太くすることに対応します。そのためには、以下のような事柄が重要です。

「自動IPウォームアップ機能」の役割

アカウントに固定IPアドレスが複数割り当てられている場合、上で述べた管が複数用意されている状態になります。どの管を通るかは、メールごとにランダムに選ばれます(おおよそ均等になります)。例えば2つのIPアドレスを使って1日30万通を送信するのであれば、1日15万通程度が各IPアドレスから送出されることになります。複数のIPアドレスが割り当てられている場合、どのIPアドレスがメール送信に割り当てられてもいいように、全てのIPアドレスのレピュテーションが十分である(管が太い)必要があります。

アカウントに固定IPアドレスが複数割り当てられている場合

ここに新しくIPアドレスを追加する場合を考えてみましょう。

ここに新しくIPアドレスを追加する場合

追加直後のIPアドレスのレピュテーションは0であるため、その許容量を超えるメールを送信しようとすると、Deferredが大量発生してしまう可能性があります。これを防ぐのが「自動IPウォームアップ機能」です。

自動IPウォームアップとは、特定のIPアドレスから時間あたりに送信できる通数に制限(しきい値)を設け、しきい値に達した場合に、そのIPアドレスからの送信を止め、残りのIPアドレスに逃す仕組みです。

自動IPウォームアップ機能

しきい値は、自動IPウォームアップ機能を有効にしてからの経過日数に応じて上昇します。したがって、本機能を有効にした状態で十分な量のメールを定期的に送信していれば、対象のIPアドレスから送出されるメールは徐々に増えていき、ウォームアップが進んでいきます。

自動IPウォームアップ機能のメリットは、新しく追加したIPアドレスからレピュテーションに見合わない大量送信が行われることを防ぎ、安全にウォームアップを行うことができる点です。ただし、十分な量のメール送信が行えるIPアドレスを最低1つ以上所持していなければ、本機能を使うことはできませんので、ご注意ください(例えば、Proプランにアップグレードして最初に割り当てられるIPアドレスにこの機能は使えません)。

弊社のお客様が新しい固定IPアドレスを追加する際は、自動ウォームアップ機能を有効にした状態でお渡ししております。お客様にて機能をOFFにしたい場合や、再開したい場合には「自動IP Warmup API」をご利用ください。

さいごに

自動IPウォームアップ機能についてまとめると、以下のような機能です。

  • Proプラン以上で、追加した2つ目以降の固定IPアドレスに対して利用できる
  • 新しいIPアドレスからいきなり大量送信されないよう、送信数を制御する
  • 利用するには十分な量の送信が行えるIPアドレスを最低1つ以上所持している必要がある

複数のIPアドレスを使ったメール送信をはじめるのであれば、自動IPウォームアップはたいへん便利な機能です。しかし、「自動」といっても、ユーザ自身がメールを送りながらウォームアップしなければいけないのは手動の場合と同様です。以下のような基本的な事柄に注意して、丁寧に計画立ててメール送信を行っていきましょう。

  • 宛先リストをクリーニングして適切な内容のメールを送る
  • 定期的に十分な量の送信を行う
  • ウォームアップの進行状態にはこまめに注意する

IPウォームアップの基本的な手順については、チュートリアルをご参照ください。

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