迷惑メールを規制する法律

迷惑メールを規制する法律

メール配信業務において「法律」を意識されたことはあるでしょうか?
今や当たり前になりつつある、配信停止リンクの記載やオプトイン方式の採用ですが、これらも実は『迷惑メールを規制する法律』で規定されています。他にもメールに記載する内容や記録の保存など、様々なことが法律で規定されています。

迷惑メールを規制する法律とは?そしてどのようなことが記載されているのでしょうか?知らないうちに「法律に違反していた」ということがないように、一通り把握しておきましょう。

どんな法律があるのか?

日本では、以下の2つの法律で迷惑メールが規制されています。

  • 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(「特電法」と略されます)
  • 特定商取引に関する法律(「特商法」と略されます)

2つ合わせて「迷惑メール防止二法」と称されることもあります。

法律が制定された背景と、近年の迷惑メールに関する状況

法律が制定された主な要因は、迷惑メールの増加です。
2001年には携帯電話に対する迷惑メールの急増が社会問題にもなりました。大量の迷惑メールにより、ネット社会の信用が低下し、サーバやクライアントの負荷が増大したことも一因です。こうした背景から、2002年に特電法が施行され、特商法には迷惑メールを規制する項目が追加されました。

メール全体に対する迷惑メールの割合は2009年に70%を超えました。その後、電気通信事業者等により様々な対策が講じられ一時は40%を切るまでに減少し、2021年3月には45%となっています。

近年の迷惑メールは悪質化/巧妙化が進み、2020年度のフィッシング報告件数は過去最高となり、ビジネスメール詐欺も多数報告されています。
参考資料:迷惑メール白書2021

規定されている項目

特電法と特商法で目的は異なりますが、対象となるのはいずれも広告や宣伝に使われるメールです。

2つの法律の主な違いは、次の通りです。

出典:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント

特定電子メール法 特定商取引法
目的 電子メールの送受信上の支障の防止 消費者保護、取引の公正
規制の対象となる電子メール 自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信をする電子メール 通信販売などの電子メール広告
規制対象となる者 ・送信者
・送信委託者
・販売業者など
・電子メール広告委託受託事業者

SendGridを利用して送付される電子メールにも、SendGridへ送信を依頼する者が、①そもそも営利を目的とする団体であるか営業を営む個人である場合には特電法が適用されますし、②そもそも特商法上の販売業者、役務提供業者、一括受託事業者にあたる場合には特商法の適用があります。

それではそれぞれの法律にどのような項目があるのか見ていきましょう。

<特電法>

  • 承諾者以外にメールを送ってはならない(オプトイン方式の採用)(※)
  • オプトインを証明する記録の保存
  • 受信拒否した相手への再送信の禁止
  • 送信者の氏名、会社名、配信停止用リンクなどの表示義務
  • 虚偽の送信者情報利用の禁止
  • 苦情への対応

特電法では日本国内から発信されるメールに加え、送信元を問わず日本国内で「受信」するメールも対象となっています。つまり、海外から発信され、日本国内で受信するメールも規制の対象となります。
全文はこちらでご覧いただけます。

(※)インターネット上で連絡先やお問合せ先として公開されているメールアドレスは例外とされており、オプトインを取らずに広告宣伝メールを送信しても法律違反にはなりません。しかしながら、Twilio SendGridのEメールポリシーではオプトインが取れていない宛先への送信は禁止されています。

<特商法>

  • オプトイン方式の採用
  • オプトインを証明する記録の保存
  • 受信拒否した相手への再送信の禁止
  • 「広告」と表示すること

特商法は販売形態ごとに章が分かれており、「通信販売」、「連鎖販売」(マルチ商法など)、そして「業務提供誘因販売取引」(内職商法など)の章で、迷惑メールを規制する項目が記載されています。
法律全文はこちらでご覧いただけます。
また、ガイドラインも公開されています。

海外の法律

米国の迷惑メール規制法である "CAN-SPAM Act (Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing Act of 2003)" には以下の項目が定められています。

  • 偽りのある、あるいは誤解を招く恐れのあるヘッダ情報を使用しないこと
  • 虚偽の件名を使用しないこと
  • メールが広告であることを明示すること
  • 差出人の所在地を受信者に明示すること
  • メールの配信停止方法を受信者に明示すること
  • 配信停止の依頼を受けたら、即時対応すること
  • メールの作成や配信を委託するときも、その行動に責任を持つこと

米国の法律ではありますが、顧客からの信頼を得るために遵守したほうがいい項目が揃っています。ポイントを抜粋したガイドはこちらでご覧いただけます。

他にも以下のようにヨーロッパ、アジア各国で迷惑メールを規制する法律が制定されています。

  • 英国「2003年プライバシー及び電気通信規制」
  • ドイツ「不正競争防止法」(2004年)、「テレメディア法」(2006年)
  • フランス「郵便電気通信法典」(2004年)、「消費法典」(2004年)
  • オーストラリア「2003年スパム法」
  • 韓国「情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律」(2002年)
  • 中国「インターネット電子メールサービス管理弁法」(2006年)
  • カナダ「CASL法」(2014年)

出典:諸外国の迷惑メール対策に関する状況迷惑メール白書2021

さいごに

法律を守ることは、メールを受け取る相手の意思を尊重することにつながります。
それは、相手からの信頼を得て、ファンを増やしたり、良質の顧客を獲得したり、ブランドの価値を上げることになります。
法律が制定された背景を理解した上で遵守し、顧客からの信頼獲得に結びつけましょう。

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