迷惑メール判定を回避するには?(前編)

迷惑メール判定を回避するには?(前編)

この記事は 12+ Tips to Stop Your Emails from Going to Spam in 2024 の抄訳です。

正当なメールを送っているのに迷惑メールフォルダに振り分けられてしまったことはありませんか?メールの到達率は、宛先リストの健全性など様々な要因によって決まるため、残念ながら、すべてのメールを確実に受信トレイに届ける方法はありません。時には正当なメールを宛先サーバが誤って迷惑メール判定してしまうこともあります。

しかし、受信トレイに届けることをあきらめる必要はありません。迷惑メールフォルダに振り分けられても、適切な対策と工夫を行えば、再びあなたのメールは受信トレイに届くようになります。

迷惑メール判定を回避し、受信トレイに届くようにするためには

熟練したメールマーケティング担当者でも、メールが宛先の受信トレイに届かない事態に陥ることはよくあります。

今回は、メールが迷惑メール判定を回避し、受信トレイに届くようにするためのベストプラクティスをご紹介します。

1. 自分の宛先リストを利用する(購入したリストは使わない)

メールは、ステークホルダーへの重要な情報の伝達や、出荷確認、セキュリティアラートの通知などに不可欠ですが、受信トレイに届かなかったり、読んでくれない相手に送ったりしていては意味がありません。以下を避けるようにしましょう。

  • 第三者から購入、レンタル、共同名義で取得した宛先リストの利用
  • パートナー企業との宛先リストの共有
  • スクレイピングでのメールアドレス収集 – ボットでメールアドレスを収集する方法はハーベスティングと呼ばれ、このような宛先にメールを送ると迷惑メール扱いされやすくなります。絶対に行わないでください。

送ったメールを読んでもらうためには、そのメールの受信を希望している人々を集めた宛先リストを用意しましょう。適切な方法で宛先リストを構築することは遠回りに感じるかもしれませんが、長期的には最も効果的です。宛先リストを適切な方法で増やし、迷惑メールフォルダに入らないようにする方法については、「友人の作り方に学ぶ、宛先リストの増やし方」をご覧ください。

2. ダブルオプトインを採用する

健全で持続可能な宛先リストを作成するためには、受信者のオプトインを取ることが重要です。ダブルオプトイン方式では、確認メールウェルカムメールに、規約への同意を求めるチェックボックスやリンクを配置します。こうすることで、受信者がメールの受信に同意していることを確認でき、エンゲージメント率や到達率を高く保つことができます。また、スパムトラップにメールを送るリスクも軽減されます。送信者と受信者の関係におけるベストプラクティスについては、「Email Manners: A Tale of Two Senders」をご覧ください。

3. メールを認証する

メール認証は、仕組みは複雑ですが、正当な送信者が正当なメールを配信していることを示す重要な要素です。認証されたメールは、されていないものよりも信頼性(レピュテーション)が高まり、受信トレイに届きやすくなります。

以下3つの認証は、メールが迷惑メールフォルダではなく受信トレイに入る価値のあるものであると宛先サーバに証明するのに役立ちます。

  • SPF(Sender Policy Framework)は、送信元IPアドレスと、そのドメインのDNSレコードに記載されている送信を許可されたIPアドレスのリストを比較し、送信者の身元を確認するものです。詳細は「送信ドメインを認証するためのSPFレコードに詳しくなろう」をご覧ください。
  • DKIM(Domain Keys Identified Mail)は、メールが送信の過程で改ざんされていないことを保証するものです。詳細は「DKIMとは?」をご覧ください。
  • DMARC(Domain-Based Message Authentication Reporting and Conformance)は、メールを届けるためにSPFとDKIMの両方を使う仕組みです。詳細は「DMARCとは?」をご覧ください。

さらに、DMARCによる認証が成功する場合、メールの信頼性を更に向上させるための技術であるBIMI(Brand Indicator for Message Identification)も利用可能です。BIMIにより送信者のブランドロゴを付与できるため、受信者は視覚的に送信元を確認できるようになります。

4. 定期的に宛先リストのクリーニングを実施する

宛先リストとメールの購読者数は、購読解除によって自然に減っていきます。受信を希望しない宛先がリストから削除され、購読者数が減少すること自体に問題はありません。リストの質は、登録数よりもはるかに重要で価値のあるものです。

一方で、購読解除をするのではなく、メールを無視する人や迷惑メール報告をする人がいます。これらの行為は送信者のレピュテーションに悪影響を及ぼすため、購読希望者にもメールが届きにくくなります。宛先リストは大きさよりも質が大切です。購読を希望する宛先のみを含めるようにしましょう。

リストを定期的にメンテナンスして、エンゲージメントの低下を防ぎ、レピュテーションへの悪影響を防ぎましょう。エンゲージメントの低い宛先、バウンスが発生した宛先、スパムトラップを取り除けば、効果的にリストをクリーニングできます。

宛先リストの中身が入れ替わるのは自然なことです。積極的にリストを整理することで、受信トレイへの到達率が向上します。

5. レピュテーションを監視し、ブラックリストへの掲載を避ける

送信元ドメインのレピュテーションが低下すると、ブラックリストに登録される可能性があります。正当なメールを慎重に送っている送信者でも、可能性は0ではありません。以下の送信方法を実践すれば、ブラックリストに登録されるリスクを軽減できます。

  • 確実にダブルオプトインを取り、エンゲージメントを高める
  • サンセットポリシーを導入し、メールを読んでいない宛先をリストから除外する
  • メールアドレスの検証サービスを利用して、配信できないメールアドレスが宛先リストに入るリスクを減らす
    • SendGridのEmail Address Validation APIを利用すると、メールアドレスの有効性をリアルタイムにチェックできます

到達率を監視することで、ブラックリストに登録されていることに気づきやすくなります。

6. 法令を遵守する

メールが確実に届くようになる保証はありませんが、法令の内容を理解し、遵守することで、メール到達率の向上を見込むことができます。過去20年の間に、インターネットのプライバシーに関する法律は世界中で急増しました。マーケティング担当者やメール送信者にとって最も重要な法律は、CAN-SPAM(Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing)、CASL(Canada Anti-Spam Law)、GDPR(General Data Protection Regulation)、CCPA(California Consumer Protection Act)です。これらの法律は、すべての広告メールに適用されるため、それぞれが送信者に求めることを確認しておきましょう。

CAN-SPAM

2003年に制定されたCAN-SPAMは、悪質な業者を排除することを目的としたものです。送信者に一連の送信要件と基準の遵守を義務付けることにより、受信者のプライバシーを保護します。

CAN-SPAM法では、主に以下の遵守が求められています。

  • マーケティングメールを送る目的を明示すること
  • 受信者の意向を尊重し、受信者がメールの配信停止を希望した場合、すみやかに対応すること

これらを通して、送信プロセス全体の透明性を保ち、受信者が望まないメールや受信者の誤解を生むような内容のメールを送らないようにする必要があります。CAN-SPAM法についての詳細は、「迷惑メール防止法に関する5つの誤解とベストプラクティス 〜法的視点から〜」をご覧ください。

CASL

CASLには、CAN-SPAMと同様の役割があり、送信者と受信者の関係をより透明化することを目的としています。CASLは、特にCommercial Electronic Message(CEM)、つまり商用のメールに適用されます。CEMは、「利益の期待の有無にかかわらず、商業活動への参加を促すあらゆるメール」と定義されています。

CASLについての詳細は、「【2014年7月1日施行】カナダのスパム対策法」をご覧ください。

GDPR

GDPR(EU一般データ保護規則)は、2016年に制定されて以来多くの人に注目され、近年最も話題になっているプライバシーに関する法律の1つです。その規制はEU諸国全体を対象としており、同地域にメールを送信する人はこの法を遵守しなければなりません。

GDPRは、EU諸国の人々が自身の個人情報をよりよく管理できるようにすることを目的としており、企業に個人情報の使用方法の透明性を求めるものとなっています。EU諸国で活動する企業は、個人情報をどこに、どのように保存し、使用するか、またデータのセキュリティを確保するかなど、この規則の厳格なデータ処理要件を遵守しなければなりません。

GDPRについての詳細は「General Data Protection Regulation (GDPR): What Senders Need To Know」をご覧ください。

CCPA

CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)は、上記の個人情報保護法に比べて消費者が自分の個人情報の使用をよりコントロールできるように定められています。しかし、この法律が適用される企業には条件があります。CCPAの対象となる企業は、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 事業による年間総収入が2,500万ドルを超える企業である
  • 年間5万件以上の消費者、世帯またはデバイスの個人情報を購入、受領、または販売する企業である
  • 年間収入の50%以上が消費者の個人情報の販売による企業である

詳しくは「What is the California Consumer Privacy Act?」をご覧ください。

上記の法令の対象者となる場合、その内容を遵守する必要があり、ある法律の要件を満たしたからといって必ずしも他の法律も遵守できているわけではないことを忘れないでください。

7. プリファレンスセンターを設置する

プリファレンスセンターは、受信者自身がメールの受信頻度を自由に調整したり、読みたいメールの種類を取捨選択したりするための仕組みです。プリファレンスセンターを提供することで、受信者が、いつ、どのようにメールを受け取るかをコントロールできるようになり、スパム報告されるリスクを減らすことができます。

プリファレンスセンターを設置する
プリファレンスセンターは目立つように配置し、簡単にアクセスできるようにしましょう。こうすることでエンゲージメントが向上し、購読を希望する宛先の受信トレイに、よりメッセージが届くようになります。

8. スパムチェックツールを活用する

スパムチェックツールを利用すると、送信予定のメールの迷惑メール判定リスクを事前に把握できます。実際の判定はメールを受信したISPが実施するため、ツールの結果が必ずしも正しいとは限りませんが、メール配信の事前準備として有効です。

SendGridのEmail Testingでは、主要なISPにおける迷惑メール判定リスクのチェック、メールプロバイダやデバイス毎の表示確認、メール本文中のURLの有効性チェックなどを行えます。主要なISPのチェックポイントを知ることで、問題を事前に解決し、メールが受信トレイに届く可能性を高めることができます。

9. エンゲージメントを監視する

メール送信が順調に行えているかを確認するには、エンゲージメントを指標として利用するのが良いでしょう。まずは、エンゲージメントの基本的な指標を理解することが大切です。

以下の指標を使うことから始めてみましょう。

  • 迷惑メール報告率
  • 開封率
  • クリック率
  • 到達率

これらの指標のトレースを始めたときに、マイナスの傾向が見つかっても慌てる必要はありません。最も重要なことは、改善のために迅速かつ冷静に対処することです。例えば、開封率が下がっている場合は、件名送信頻度を見直しましょう。この2つの要素が開封率に最も影響を与えています。

受信者の反応を確認するには、実際のコンテンツを実際の宛先に送る以外に方法はありません。ISPの反応を事前に把握するため、少数の宛先でテストする場合がありますが、ISPごとに送信者の評価は異なるので、少ない宛先での結果を鵜呑みにしないようにしてください。

メール送信前にISPの振る舞いをテストするには、前述の通りチェックツールを活用しましょう。

10. 受信者に関連のあるコンテンツを送る

メール送信の成功の核となるのは、受信者に関連性のある、興味深いコンテンツを送信することです。意味のある送信を行うべきで、メールを送ることが目的になってはいけません。目的のない送信は、エンゲージメントを低下させる原因となり、最も避けるべきことです。送信するメールは受信者の心に響くものでなければならず、そうでなければ無視されたり、最悪の場合は迷惑メール扱いされたりする危険性があります。

メールを送信する前に以下の点を見直してください。

  • 受信者にとって新しく、緊急性があり、関連性の高い情報を提供できているか?
  • 最近、このトピックに関する新しい情報を提供したばかりではないか?次の情報を送るにはまだ早すぎないか?
  • 宛先リスト全員にこの情報を送信するべきか?特定のセグメントのリストを作成してそちらに送るべきではないか?
  • 受信者目線でこのメールに価値はあるか?

最適なメールコンテンツを作成するには、試行錯誤が必要です。受信者が望むものを探りながら、自由に新しいスタイルを試してみてください。

11. 宛先リストのセグメンテーションとメールのパーソナライズ

宛先リストを複数のセグメントに分け、メールをパーソナライズすることで、それぞれの受信者が望むメールを送ることができます。これにより、受信者との信頼関係を構築でき、結果としてエンゲージメント率の向上やスパム報告率の低減を見込めます。では、具体的にはどのようにすればよいのでしょうか?

まずは、受信者の「購入履歴」「地域」「開封率・クリック率」などで宛先リストを分類してみましょう。これにより、特定の興味やニーズを持つ顧客のリスト(セグメント)を作成することができます。

しかし、セグメントの作成だけでは意味がありません。セグメントごとに興味関心を引くコンテンツを用意し、さらにパーソナライズしたメールを作成しましょう。パーソナライズは、あなたのメールを無視できないほど魅力的にし、迷惑メール判定される可能性を軽減します。

12.受信者に許可リストへ追加する方法を伝える

メールが常に受信トレイに届くようにするためには、受信許可リストに送信者のメールアドレスを追加する方法を教えるだけで良い場合があります。このような積極的なアプローチは、メールが誤って迷惑メールフォルダに入るのを防ぎ、エンゲージメント率や到達率を維持するのに役立ちます。

まずは、送信元メールアドレスを受信許可リストに追加する方法をウェルカムメールや確認メールに記載しましょう。設定変更に慣れていない受信者にも分かりやすいよう、簡潔で明確な内容にするべきです。受信許可リストに追加すれば重要な情報を見逃さずにすむことも説明に含めると、受信者が作業するモチベーションになるでしょう。

Gmail、Outlook、Yahoo!など主要なメールサービスにおける追加手順を記載して、少しでも多くの受信トレイにあなたのメールが届くようにしましょう。

前編では、迷惑メール判定を回避する方法を解説しました。
後編では、さらにメールの到達率を上げる施策や迷惑メールに関するよくある質問をご紹介します。お楽しみに!

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