【2024年版】パーソナライズド・メールマーケティング完全ガイド

【2024年版】パーソナライズド・メールマーケティング完全ガイド

この記事は 6 Tips and Examples for Personalized Email Marketing の抄訳です。

パーソナライズド・メールマーケティング(別名:One to Oneマーケティング、個客マーケティング)は、マーケターが見込み客や顧客と繋がるための戦略として一般的になりつつあります。この戦略の本質は、顧客に関するデータを使用して、カスタマイズされたマーケティングメッセージを配信することです。

本記事では、メールのパーソナライズ化や宛先リストのセグメント化のヒントや、実際に送られたメールの優れた例をご紹介します。

パーソナライズされたメールマーケティングとは?

メールマーケティングにおけるパーソナライズとは、メール購読者から提供されたデータや行動データを使って、個別にカスタマイズしたコンテンツを配信し、繋がりをより深めることです。

パーソナライズと一口に言っても、メール本文に受信者の名前を含めたり、受信者が最近購入あるいは閲覧した商品に関するターゲットメールを送信したり、そのレベルは様々です。簡単なものの例としては、宛先リストをカテゴリ(性別、居住地、初回購入者/リピーターなど)に分けて、それぞれに関連性の高いコンテンツを配信することです。

パーソナライズがエンゲージメントを高めることは既に明らかになっているため、ほとんどのマーケターは何らかの形でパーソナライズしたメールを送っています。2022 Global Messaging Engagement Reportでは、回答者の57%が「パーソナライゼーションはメールが記憶に残るかどうかに影響を与える」と回答しています。さらに、28%が「自分の興味に基づいてパーソナライズされたメールを送信して欲しい」と回答しました。

パーソナライズドメールの送り方

メールサービスプロバイダ(ESP)のツールを活用しましょう。パーソナライゼーションに役立つ一般的な要素をいくつかご紹介します。

  • 動的コンテンツ:受信者のセグメントに応じて内容が変わるメールコンテンツのことです。例えば、購読者の地理データがある場合、それぞれの場所に関連するプロモーションを送るのに動的コンテンツを使うことができます。
  • パーソナライズタグ:置換タグ(Substitution Tag)とも呼ばれますが、これを使えば受信者ごとに異なる内容の動的コンテンツを作成できます。
    例えば、-firstName- というタグを埋めておいて、実際の本文では各受信者の名前に置き換えます。
  • 自動化:受信者が特定のアクションを実行した時に適切なメールが自動送信されるため、パーソナライゼーションが容易になります。自動化の例としては、ウェルカムメールカゴ落ちメール再エンゲージメントメールなどがあります。

パーソナライズすべき部分は?

開封やクリックをはじめとする受信者のアクションは、メールの様々な要素の影響を受けます。つまり、目的によってパーソナライズすべき部分が異なるということです。いくつかの可能性をご紹介します。

送信者名

パーソナライズというと受信者の情報にばかり目が行きがちですが、送信者の名前をパーソナライズするのも有効です。受信トレイをパッと見たときに、送信者名はとても目立ちます。ブランドからのメッセージとして送るより、接点のある営業担当者などから個別のプロモーションメッセージとして送るとより効果的です。

例えば、ハンドメイドジュエリーを販売するHello Adornから初回購入時に送られて来たウェルカムメールを見てください。トランザクションメールの送信者名はHello Adornでしたが、ウェルカムメールの送信者名は会社の創設者であるJessとAdamの名前になっています。

送信者名

件名

受信トレイで次に目に入る情報は件名です。件名をパーソナライズすることで、メールを開くかどうかの判断を後押しすることができます。Experian社の調査によると、パーソナライズされた件名は、パーソナライズされていない件名よりもユニーク開封率が26%高いことがわかっています。

さらに、件名に個別の情報を含めておくと、受信者は「このメールが自分宛てのものである」と認識できます。パーソナライズタグを使って件名に名前を入れるなどし、メール本文も相手に適したものにカスタマイズしましょう。

コンテンツ

メール内に配置された、広告文や画像から商品価格に至るまで、すべてが「コンテンツ」です。受信者の地理的位置によって挿入する画像や商品を変えるなど、パーソナライゼーションを最大限に活用することができます。後で実例をご紹介しますが、受信者の性別によって表示する商品を変えても良いでしょう。

パーソナライゼーションのポイント

1. 関連情報を収集する

メールのパーソナライゼーションの第一歩は、顧客について深く知ることです。その人に合った情報を届けるためには、相手がどのような人で、どうすれば情報を効果的に届けられるのかを理解する必要があります。では、どうやって情報を集めれば良いのでしょうか?それは本人に聞くことです。

根掘り葉掘り尋ねるのは望ましくありませんが、具体的な質問をいくつか厳選しましょう。これについては「宛先リストのセグメンテーション戦略」でもご紹介しているので参考にしてみてください。

2. 宛先リストをセグメンテーションする

宛先リストをセグメンテーションする

データを収集したら、人口動態、顧客タイプ、居住地など、色々なセグメントでリストを分割します。AIを活用して顧客理解を深めることもできます。

例えば、私は女性向けにカスタマイズされたメールを受け取ることがよくあります。店にとって、リストを性別でセグメント分けすることは理にかなっています。相手が着用できる商品の写真を掲載し、それをクリックしてもらえれば、店はより多くのエンゲージメントを得られるのですから。

この画像は、米国の大手百貨店Nordstromのメールです。写真のモデルが全て女性であることにお気づきでしょうか?この種のパーソナライゼーションの良いところは、その “さりげなさ” です。私はNordstromのメールを何十件も見て、ようやく女性向けにパーソナライズされていることに気づいた程です。

メールのセグメント方法はたくさんあり、性別もその一つです。セグメントに興味のある方は The Essential Guide to Email Segmentation もチェックしてみてください。

3. 量よりも質の高いコンテンツを作成する

1回の送信あたりに含まれる宛先の数(あるいはセグメントの数)に注意してください。メールの送りすぎが原因で嫌われたり、セグメントが多すぎて管理できなくなったりという事態は避けましょう。

どのセグメントやメールに対する反応が良いかを比較テストする際は、相手の受信トレイを溢れさせてしまわないよう、段階的に実施してください。

4. 適度な間を持たせる

顧客の閲覧行動に基づいてパーソナライゼーションするというのは良い戦略なのですが、一線を越えないようにしましょう。商品を閲覧した直後にメールが送られてくることがありますが、タイミングが早すぎると不安を感じてしまいます。「〜を閲覧していましたよね」や「〜がクリックされました」といった件名のメールも同様です。

これだとプライバシーを侵害されているように感じられるため、少し間を空けてからメールを送信するようにしましょう。

5. 名前の置換だけで満足しない

メールのパーソナライゼーションについて考えるとき、多くの人はメールの冒頭部分に相手の名前を入れることをイメージするでしょう。最初の取り組みとしては良いですが、これは数ある方法のうちの一つに過ぎません。名前の置換は今やありがちな手法となってしまいました。本当に顧客の関心を引きつけるには、名前の置換だけでは不十分です。

6. 行動をよく見る

メールをパーソナライズする上でもっとも良い方法の一つは、受信者の行動を観察することです。エンゲージレベル(高い、低い、全くない)に合わせてシステムを自動化することは、メールキャンペーンの整理や、興味を持ってくれている人への確実なリーチに繋がります。

メールのセグメンテーションとオートメーションの違いは微妙で紛らわしいので、興味があれば「ドリップキャンペーンとオートメーションメールの違いを知ろう」も読んでみてください。

パーソナライズされたメールマーケティングの実例

行動、顧客タイプ、場所など、さまざまなパーソナライゼーション手法をご紹介します。

クリックされた商品

ここ数週間ほど、自室を飾るアート作品を探すためにSociety6のWebサイトを訪問していたところ、閲覧商品をいくつかピックアップしたメールが送られてきました(下図-左)。顧客がよく閲覧していて、まだ購入を迷っていそうな商品のメールを送ることはリマインダとして効果的です。

また、メール内の各リンクが各アート作品のページに繋がっているのもポイントです。リンク先がサイトのトップページになっているメールをよく見かけますが、これはユーザにとってストレスであり、企業にとっては機会損失です。こういった場合、大抵の人はそのWebサイトを離れてしまうからです。

より繊細なアプローチをしているのがAnthropologieです(下図-右)。セレクトショップのお店なのですが、私が閲覧していたネックレスそのものではなく、ジュエリー全般のメールを送ってきました。このメールは「商品を購入したい」という気持ちを思い出させますが、決して直接的ではありません。

クリックされた商品

顧客タイプ

データベースやスプレッドシートのSaaS企業Airtableのメールは他の企業のような派手さはないかもしれません。しかし、トライアル期間が終わった今、このアカウントでは何が提供されているか(または提供されていないか)を上手く強調しています。

これは顧客に現在のプランを思い出させアップグレードを促す、実用的かつ便利な方法です。なお、こちらの記事「マーケティングキャンペーン機能でドリップキャンペーンを作成する方法」では、Twilio SendGridのマーケティングツールを使って顧客にアップグレードを促すキャンペーンの作成方法をご紹介しています。参考にしてみてください。

顧客タイプ

その土地の気候に合わせたコンテンツ

天気ほど日々の生活に密接したものがあるでしょうか?天気によってその日に着る服を決めるでしょうし、世間話の最初の話題が天気であることも多いでしょう。同じような気候かどうかでセグメント分けすることで、そこに住む人々に「生活に関連したコンテンツ」と感じてもらうことができます。

ファッションブランドのMarine Layerはこの冬、アメリカ中西部の特に雪の多かった週をうまく利用しました。その時に送信されたメールの件名は「キルトでこの寒波を乗り切ろう」。この寒波というテーマは件名だけでなくメールの至る所に組み込まれており、パーソナライズされた、一貫したメッセージを打ち出していました。

メールの内容は「羽毛布団を着ているかのような暖かさを、じろじろと見られるリスクを負うことなく」で、CTAは「ミシュランマンにならないように」でした。見事に読者をこのテーマに引き入れています。

コピーライティングに興味がある方は、Data-Backed Strategies for More Effective Email Marketing Copywritingをご覧ください。

その土地の気候に合わせたコンテンツ

誕生日メール

個人とつながる方法として、誕生日を祝うというのは最適です。ロイヤルカスタマーに感謝し、誕生日プレゼントとして、新商品に向けた割引やキャッシュバックをすると良いでしょう。

衣料レンタルのRent the Runwayの誕生日メールは、楽しい色と簡潔なコピー、そしてクーポン、というシンプルなものでした。

こういったメールは顧客の気持ちを盛り上げ、年間を通じて期待以上の貢献をしてもらえることにも繋がります。まずはVIP顧客をセグメント化し、特別セールの案内やサンキューメールを送ってみましょう。

誕生日メール

カゴ落ちメール

環境にやさしい日用品を取り扱っているGroveは、絶妙なバランスの、素晴らしいカゴ落ちメールを送っています。件名は「ご覧いただきありがとうございます!」で、本文では食器用洗剤がなくなる前に行動を起こすよう優しく促しています。売り込むというよりは、まるで友人が送ってくれたリマインドメールのようですね。

Fromメールアドレスも、noreply(返信不可)ではなく hello@grove.co となっていて、親しみやすいものになっています。

カゴ落ちメール

1年(あるいは1ヶ月)の振り返り

これは非常にパーソナライズされたメールで、1月に前年を振り返るためによく送信されます。Spotify、Southwest航空、Stravaなどの企業はこういったキャンペーンで、受信者の1年間の成果を強調しています。

Southwest航空は、過去に私が旅行した回数、よく行く町、1年間で獲得したポイントなど、私自身に深く関連するメールを送ってくれました(下図-左)。これは1年を振り返り、次の予定を決めるのに役立ちます。

振り返りメールを実践する場合、ユーザとの継続的な関係構築という意味では月次で送るのが良いでしょう。スマート家電メーカーのNestは、前月のアラート情報や最後に手動テストを実施した時刻、消費電力といった情報を毎月ユーザに提供しています(下図-右)。この種のメールの優れた点は、月ごとに比較し、年間を通じてどのように改善したかを確認できることです。

1年(あるいは1ヶ月)の振り返り

さぁ、はじめましょう

メールをパーソナライズすることは、顧客との関係性を深めることに繋がります。相手のことをよく理解することで、彼らが好む、継続的にエンゲージしてもらえるコンテンツを送れるようになります。ただし、他の関係においてもそうであるように、たまには内容を変更するようにしてください。コンテンツが古くなってしまうことは避けましょう。

パーソナライズドメールを送る準備はできましたか?SendGridのマーケティングキャンペーン機能もぜひお試しください。

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