SendGrid 5年目のその先

SendGrid 5年目のその先

この記事は Crossing the Five Year Mark の抄訳です。

はじめに

この5年間が私(Jose Lopez、SendGrid社Web Architect担当。SendGrid社のCo-founderでもある。)の人生の中で最高の時間になったことを光栄に思います。この間、妻に出会い、SendGridを起業し、ボルダーのTechstarsを経験し、数多くの素晴らしい人達と出会いました。

SendGridは猛烈な勢いで成長してきました。未来は輝いています。18万以上のカスタマー、これまでに配信したメールの通数2500億通、今では月間130億通以上のメールを配信し続けています。カスタマーには、UberPinterestSpotifyPandora(日本ではサービス未提供)など、今日のテック業界で最も熱いサービスがいくつも含まれている一方、Commissions IncDonorsChoose.orgなど、様々な分野で成功している企業が名を連ねています。

私の情熱はテクノロジーと新しくて何か素晴らしいものを作ることに向けられていますが、これまで、私が今日の立場を得るために必要だったことについて考えを共有してきませんでした。今回は、過去5年間で学んだことと、自分自身に対して起こったことについて共有したいと思います。他の人達には自分と同じ失敗を繰り返して欲しくありません。この記事から少しでもみなさんの役に立つ情報が見つかることを望みます。

トンネルの向こう側の光

多くの方は、ほとんどのスタートアップは成功しない、もしくは90%は失敗するといった話を聞いたことがあると思います。でも、もっと我慢強くなる必要があります。たとえあるスタートアップが成功しなかったとしても、その経験は後で何かの役に立つはずです。そして、楽観的になってください。戦いでは精神的な強さも重要な要素です。やらなければいけないことがたくさんある時は、可能な限り大胆になってください。

大学卒業後、私はいくつかのスタートアップで働き始めました。そして、成功を体験するまでに3年かかりました。でも、私はその時間を後悔していません。なぜなら、その経験は確実に今のSendGridの基礎となっているからです。

起業を志す人は多くはいません。そういった人は世間一般の標準からは外れていますし、それを誇りに思うべきです。

よく働く、速く働く、賢く働く

全ての企業はゼロからスタートします。創業者はそこから作らなくてはなりません。どれほど多くの仕事が必要か悟る瞬間がいずれくるでしょう。

全ての機能を完璧にしようとすると遅れをとり、作業に押しつぶされてしまいます。そこで大切なことは、機能性、そしてカスタマーがプロダクトに求める上位3点にフォーカスすることです。

MVP(Minimum Viable Product “検証に必要な最低限の機能を持ったプロダクト”)ではなく、BMVP(Bare “剥き出しの” MVP)を心がけてください。なぜでしょうか?そのプロダクトが完成することはないからです。スタートアップには完成したプロダクトなど存在しないのです。

SendGridでは、サインアップ、統計情報、課金の各機能にフォーカスしました。これらを構築している間、Techstarsでカスタマーやメンターからかけがえのないフィードバックをもらいました。書かれたテストの大部分は、これら3つの機能向けのものでした。カスタマーが満足した時、その作業が完了したとみなして次の作業に進みました。

フィードバックにどのように対応するかはあなた次第ですが、最初の行動はそのスタートアップの数年後の行き先を示します。

文書化のススメ

スタートアップが進化した道筋を文書化しましょう。ロゴの変更、Webサイトのデザイン変更、思い出に残る旅行、従業員の変更などは後で素晴らしい記憶を呼び起こしてくれます。過去を懐かしむ時、こういったことに価値を感じることになるでしょう。私はこういったことを十分に行ってこなかったことを後悔しています。これについては、デベロッパーエバンジェリストのTim Fallsが書いたブログ記事をご紹介します。

カスタマーをサポートする

カスタマーからのフィードバックは重要であり、それをもらえることは幸せなことです。SendGridにとっては金銭面で厳しいこともありましたが、カスタマーが幸福になることでSendGridの自然な成長を促すことは重要な戦略の一つでした。我々はプロダクトを固め、カスタマーに直接向き合いました。

物事を始めるときに最悪なことはカスタマーを無視することです。ニーズを満たすため余計に時間を費やしたこともあります。カスタマーが幸福になったことを確認したかったのです。これについては今も努力を続けています。

また、初期のカスタマーはベータテスターです。こういったカスタマーはリスクを取って洗練されていないプロダクトを利用してくれているのです。そのことを理解した上でこういったカスタマーのことは気にかけてあげる必要があります。

ワークライフバランス

SendGridを始めた時は「バランス」どころの話ではありませんでした。「ワーク」が全てだったからです。SendGridは幸運にも最初の3ヶ月はTechstarsのオフィス内で十分に働くことができました。そういった機会があったことには、今でもとても感謝しています。それは自然なことだったし、後悔もしていませんが、やることが多すぎると「ライフ」を保つことは難しくなります。

最初の数ヶ月は、外の世界とコミュニケーションするのは、夜ベッドに行く前のほんのちょっとの時間だけでした。あまり聞きたくない言葉かも知れませんが、我々が短期間で多くの成果を残せたのにはそういう理由があったと考えています。

大切な思い出の一つですが、金曜日にボルダーのダウンタウンにある「Old Chicago」という店で他の創業者とディープディッシュピザを楽しみました。よく働いた自分たちへのご褒美でした。そして、これは今でも我々の伝統となっています。

創業者

信頼できる人物と起業することは重要なことです。我々3人はそれぞれに仕事を割り振ることで、仕事に関して争わずにすみました。Timはメール送信インフラを担当し、Isaacは投資家と話をし、ピッチを行い、私はWebサイトを担当しました。3人とも夢の実現のために必要なことを共有していたので、いちいち議論する必要はありませんでした。

私は幸運にも2つの素晴らしい個性と起業しました。同じ情熱を共有することで、生産性を限界まで高めることができたのです。

創業者と同様、従業員として適切な人を雇うことも重要なことです。SendGridはそういったことにも配慮してきました。SendGridは雇用プロセスにこだわりを持っていたため、企業文化を重視する他のライバル企業に匹敵する素晴らしい文化を形成しました。

「幸せな妻、幸せな人生」ということわざは、従業員と企業の関係でも同じことが言えます。「幸せな従業員、幸せな企業」

感謝/大切にすること

成功は一生懸命働いたことの副産物です。自分自身は、企業を簡単に起こせるような超能力者ではありません。きっと誰もが私と同じようなことを成し遂げられるはずです。そう、この記事を読んでいるあなたもです。

あなたにとって重要な誰か、両親、友人、メンター、それぞれを大切にすることです。とてもシンプルなことだと思います。

さいごに

こうした最高の5年間が過ぎ去った今、次の5年間が楽しみでたまりません。たくさんの新しいプロダクト、機能、デベロッパーライフ向上に貢献するツール、SendGridがそういったものを届けることができると感じるだけで興奮しています。

※同じく創業者のIsaac Saldanaによる記事もご覧ください。
SendGridを立ち上げて5年

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