スロットリングの原因と対策
この記事は What Is Email Throttling? の抄訳です。
この記事ではスロットリングの原因、SendGridがスロットリングにどのように対応するか、そしてスロットリングを防ぐためにどのような対策を打てるかについて解説しています。ぜひご一読いただき、効率的なメール配信にお役立てください!

スロットリングとは?
多くのISP(インターネット接続事業者)では、一定時間内に受信可能な通数に制限を設けています。制限を上回る大量のメールを送信した場合、メールの受信は拒否され、バウンスを示すエラーコードが返ってきます。これがスロットリングで、「deferral(遅延)」とも呼ばれます。
スロットリングの発生原因
スロットリングによるメールの受信拒否は、通常は一時的なもので、次のようなエラーメッセージが返ってきます。「user is receiving mail at too great a rate right now, please try again later.(メールの受信量が多すぎます。時間をおいて、再度送信してください。)」「user’s mailbox is over quota.(メールボックスの空き容量が不足しています。)」このとき、400番台のエラーコードが返され、ほとんどの場合は72時間以内に解消されます。
ISPがメールの受信拒否を行うとき、次のいずれかが原因と考えられます。
- 送信元IPアドレスのレピュテーション(注1)が不十分で、迷惑メールが送られているかもしれないと疑っている。(IPウォームアップが重要なのはこのためです。詳しくは、「IPアドレスのウォームアップ」をご確認ください。)
- 受信サーバがメール受信のためのポートを開くことができない。
- メールボックスの空き容量不足。
受信サーバは、一部の受信者から迷惑メール報告が出されても、メールを完全にはブロックしません。その代わり、他の受信者の反応が得られるまで、それ以降のメールの受信を拒否します。
SendGridは、受信拒否されたメールを72時間送信し続けます。この期間が経過してもメールが配信できない場合は、「ソフトバウンス」として記録します。通常、ソフトバウンスは配信失敗の理由が一時的な問題(メールボックスの空き容量不足、アカウントが無効など)によるものであるため、再度送信しようとしたときに、SendGridが制限をかけることはありません。対策として、宛先リストに登録されているアドレスに受信拒否が起こる原因(アドレスの誤記や迷惑メール報告など)がないか確認することをおすすめします。
さらに、スロットリングは、送信元IPアドレスのレピュテーションが充分でないために発生している場合もあります。新しいIPアドレスでメールを送信する場合は、レピュテーションを高めるために、一定期間(通常は30日間)少量のメールを送り続ける「IPウォームアップ」が必要です。
IPウォームアップは、ISPの反応を見ながらメールの送信量などを調整する必要があります。徐々に送信するメールの量を増やし、各ISPの傾向をつかんでください。Event Webhookを利用して、ISPがスロットリングするタイミングを注意深く観察することで、メールの送信量を引き下げるタイミングが分かります。
スロットリングを防ぐには
簡単に実施できるスロットリング回避策をいくつか挙げます。
- 時間をかけてメールを送信する。
- 宛先リストを、ドメイン別など複数に分けて管理する。
- マーケティングメールとトランザクションメールは、送信元IPアドレスを分ける。
- 設定した「completion (目標日時)」までに送信が完了するように、余裕をもってメールを送信する。
スロットリングは、迷惑メールに対するISPの一般的な対策です。ただし、ISPごとに対策が異なるため、それらに対処するためには、経験豊富なメール配信のエキスパートの支援が不可欠です。とは言え、まずは本記事に記載された対策を実施してみてください。やがて、ISPから正当なメール送信者であると認識されるようになり、スロットリングも減少してより確実にメールを配信できるようになるでしょう。
メールをより効率的に配信するために、こちらのガイドを併せてご参照ください。
注1) レピュテーション: メール送信者(送信元IPアドレス)の信頼度。メール送信者のレピュテーションが低い場合、送信したメールは迷惑メールである可能性が高いと見なされ、受信拒否されることがある。