Sunset Policyの必要性と実践例

Sunset Policyの必要性と実践例

この記事は Building Your Business Case for an Email Sunset Policy の抄訳です。

突然ですが、住宅街を思い浮かべてください。玄関には郵便ポストが置かれています。しばらくして空き家になったり取り壊される家がでてきた時、それらの家の郵便ポストにDMを投函し続けますか?
メールの世界においても、同様の状況に直面することがあります。メールの購読者が長期間にわたってエンゲージメントを示さなかったときです。

Sunset Policyとは?

多くのメールマーケターは、Sunset Policyの重要性を理解しています。Sunset Policyを導入すると、受信者が一定期間メールに反応しなかった場合は配信するメールを減らす、または宛先リストからメールアドレスを削除することになります。導入の際の課題として、通常、マーケチームの上長や営業チームからメールの送信数を減らすことへの賛同を得られにくいという点があります。

Sunset Policyが大切な理由

一般的に、データを扱う際はその量こそが重要だと見なされており、量を減らす計画は反対にあうでしょう。しかし、メールにおいては「宛先リストのサイズがどれほどか」よりも「どれだけの人が開封しているか(エンゲージメント)」に焦点を当てる必要があります。

注目する指標を、宛先リストのサイズからエンゲージメントへと変更すれば、Sunset Policyの考え方はより意味のあるものになります。どのようなSunset Policyにすべきかは、サービス内容やビジネスモデルによって異なります。配信頻度やメールの種類を元に作成しましょう。詳細はこちらを参照してください。

古い宛先や反応のない宛先に送信し続けると、

  1. エンゲージメントに悪影響があります。
  2. 受信者をイライラさせ、迷惑メール報告率が高まります。
  3. スパムトラップに送信するリスクが上がります。

その結果、メールが受信ボックスに届く可能性が低くなります。古い、反応のない宛先に送信を続けることにメリットはあるでしょうか?「これだけ多くの宛先に送信しました」と報告する以外に、何のメリットもないのです。

エンゲージメントのない宛先との、距離のとり方

まず、宛先リストをエンゲージメントに基づいてセグメント化します。セグメントに分割する際はユニーク開封率を利用しましょう。たとえば、開封が過去「30日以内」「31~60日以内」「61日~90日以内」でセグメント化してみます。
次に、メールを配信してセグメント毎のユニーク開封率を確認しましょう。大抵の場合、開封率が大きく変化します。

上記の対応を行ったブランドの結果がこちらです。

セグメント毎のユニーク開封率

グラフから分かるように、セグメント毎の開封数が大きく異なりました。送信されたメールのうち、80~90%は過去「30日以内」に開封のあった宛先に送られています。「31~60日以内」「61日~90日以内」のセグメントの開封率は大きく低下していることがわかります。

March 3rd のデータを例にすると、「30日以内」の開封率は8.2%、「31~60日以内」は1.1%です。ごく僅かに「90~120日以上」で開封がありますが、そのセグメントに送信することで「30日以内」や「31~60日以内」の人に届きにくくなるリスクを考慮すると、送信するメリットは少ないでしょう。

ご紹介した情報を、Sunset Policyの導入に懐疑的な上長に共有してみてください。うまくいけば、少なくともエンゲージメントの低い宛先への送信を停止することへの賛同を得られるかもしれません。古く、エンゲージメントのない宛先への送信を、全て同時にやめる必要はありません。6ヶ月以上開封されていない宛先の10%から始めましょう。これにより、レピュテーションの向上が期待でき、また、宛先リストのサイズに大きな影響を与えることもありません。

Sunset Policy導入の事例

Sunset Policyの導入に後ろ向きな意見があった顧客に対して、同様の方法を案内したことがあります。古く、エンゲージメントの低い宛先に対して徐々にメール送信を停止したところ、全体のユニーク開封率は年間を通じて着実に改善しました。これにより、受信ボックスプロバイダからの信頼性が向上しました。

そして、過去6ヶ月以内に開封したセグメントが宛先リストの大半を占めるようになるまで、エンゲージメントの低いセグメントへのメール送信を廃止し続けました。その結果は・・・

2020年の一年間でユニーク開封率が2倍になりました。また、日々ヒットするスパムトラップの数が65%減少しました。これらの結果として、迷惑メールフォルダではなく受信ボックスに届くメールの数が大幅に改善したのです。さらに、一年かけて宛先リストのサイズは小さくなったものの、ユニーク開封率とクリック率は大幅に改善しました。

メール送信数とユニーク開封率(2020年)

さいごに

メールマーケティングを成功させるためには、着目する指標を宛先リストのサイズからユニーク開封率へと変更してください。その理由をおさらいしましょう。

  1. 受信ボックスプロバイダは、不要なメールで受信ボックスを溢れさせないように気を配っています。
  2. エンゲージメントのない宛先へ送信し続けていると、受信ボックスプロバイダに迷惑メールフォルダへ振り分けられる可能性があります。
  3. 大量の開封しない宛先に送信し続ける意味はありません。それによってエンゲージメントのある受信者の受信ボックスに到達する可能性が低下します。

ユニーク開封率や到達率に着目すれば、エンゲージメントのない宛先へのメールを廃止することに躊躇はなくなるでしょう。

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