IPアドレス共有の仕組みを改善して到達率が向上しました
- 2023年7月31日
- by SendGrid
- Category: ベストプラクティス
この記事は Maximize Deliverability Control with Shared IP Address Pool Improvements の抄訳です。
メールボックスプロバイダは、送られてくるメールの送信元が信頼できる相手かどうかを常時評価しています。この評価を受けるためにはある程度の通数を定常的に送信して実績を作る必要があるため、もし送信通数が少ない場合は、他アカウントと送信元IPアドレスを共有する(=共有IPアドレスを利用する)のがおすすめです。
共有IPアドレスの詳細や、固定IPアドレスとの違いについてはこちらの記事をご参照ください。
Twilio SendGridでは、多数の共有IPアドレスを管理しており、FreeプランとEssentialsプランのアカウントに割り当てています。具体的には、共有IPアドレスを利用するアカウントを直近の配信実績に基づいてグループ化し、そのグループに相応しい共有IPアドレスを割り当てる仕組みです。
SendGridは、このグループ化の方法を改善しました。従来はレピュテーションを基にアカウントを分類していましたが、現在は新たなアルゴリズムを導入し、より正確なグループ化が可能になっています。これにより、個々の配信性能をより効果的に制御し、結果的に共有IPアドレスからのメールの到達率を向上させることができました。
メールボックスプロバイダによる送信者レピュテーションの評価
サーバに届いたメールを受信トレイに振り分けるか、それとも迷惑メールフォルダに振り分けるかは、Gmail、Yahoo!、Hotmailといったプロバイダが様々な要素から都度判断しています。判断要素には、例えば以下のようなものがあります。
- 有効な宛先に送っているか
- メールのコンテンツ
- 送信者の過去の実績
- ブランドレピュテーション
- 送信に使用されたインフラ
- 受信者の反応
メール業界ではこれらの判断要素を総じて「レピュテーション」と呼んでいます。
SendGridによる送信者レピュテーションの評価
SendGridはメール配信事業者として、メールボックスプロバイダからのフィードバックや受信者の反応をもとに、送信者のパフォーマンスを常時監視しています。
長きにわたるデータ分析の結果、以下のエンゲージメントの質を注視することで、メールが受信トレイに届くかどうかをより正確に推測できることがわかりました。
- エンゲージメント:最近開封/クリックした宛先のみに送信しているか
- ユニーク開封率:健全な割合の開封率が得られているか
- 迷惑メール報告率:過剰にスパム報告をされていないか
- バウンス率:存在しない宛先に大量のメールを送信していないか
- バウンスの理由:レピュテーションが低い、メールがスパム判定を受けるなどの理由で宛先サーバに受信拒否されていないか
IPプールシステムの改善
既に述べたように、SendGridは共有IPアドレスをアカウントに割り当てる際のグループ化の仕組みに改善を加えました。さらに、システムを自動化し、ユーザのエンゲージメントの質に応じた動的かつ迅速なグループ化を可能にしました。
これにより、送信の仕方を見直してエンゲージメントの質を向上させたユーザは、よりパフォーマンスが高いユーザが属するグループに24時間以内に自動的に再分類されるようになります。同様に、同一グループ内にパフォーマンスが低下し始めたユーザがいた場合は、そのユーザを別のグループに移行することで、健全な送信者の到達率に影響を与えない仕組みになっています。
SendGridで配信パフォーマンスを最大化させよう
多くのユーザは、今回の改善による大きな変化は感じないでしょう。というのも、共有IPアドレスの割り当て自体が直接個々の送信者の振る舞いを補ったり覆したりすることはできないためです。しかし、適切なメールを送信していれば、高い到達率を維持できます。また、上述のように、パフォーマンスの質が悪いユーザからの悪影響は受けないことがお分かりいただけるはずです。
SendGridにはメールの到達率を向上させる様々な機能があります。メールマーケティングのベストプラクティスを守って、一緒にメールキャンペーンを成功させましょう。評価基準やレピュテーションなど、配信に関するベストプラクティスについてはEmail Deliverability Guideをご覧ください。