はじめてのBIMI導入ガイド ～ブランドロゴを表示して視認性をアップさせよう～

この記事は Getting Started with BIMI and SendGrid の抄訳です。

BIMI（Brand Indicators for Message Identification）は、企業がメールの正当な送信者であることを視覚的に証明し、受信者に信頼感を与えるための仕組みです。
BIMIを導入すると、受信トレイにブランドロゴが表示されるため、受信者は一目で送信者を識別でき、安心してメールを開封できるようになります。
この仕組みにより、メールの信頼性や到達性が向上し、ブランド認知の強化にもつながります。

本記事では、BIMIの概要を解説するとともに、Twilio SendGridの利用者がBIMIを導入するための手順を解説します。

BIMIの仕組み

BIMIは、DMARC（Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance）という仕組みに基づいて機能します。DMARCは、SPFやDKIMの認証結果をもとに、メールの正当性を判断するためのプロトコルです。BIMIに対応しているメールクライアントは、DMARCにPassしたメールの送信元ドメインのBIMIレコードを参照し、ブランドロゴのURLと、その正当性を証明するデジタル証明書（VMCまたはCMC）を取得・検証します。これらが正しく処理された場合、メールクライアントは受信トレイにブランドロゴを表示します。

次は、SendGridの利用者がBIMIを導入する手順を見ていきましょう。

事前準備

SendGridのアカウントをお持ちでない場合は、こちらから無料アカウントを作成してください。
また、ここでは「codingplus.coffee」というドメインを所有しているものとして説明します。

では、最初のステップに進みましょう。

Step 1：送信ドメイン認証（Domain Authentication）の設定

SendGridからメールを送るために、送信ドメイン認証（Domain Authentication）の設定をします。設定手順についてはこちらをご覧ください。
なお、設定画面に表示されるTXTレコード（DMARCレコード）については次のステップで説明します。ここでは登録せずに設定を進めてください。

設定が完了すると、以下のようにSTATUSがVerifiedになります。

Step 2：DMARCの設定

次に、DMARCの設定をしましょう。
DMARCレコードのpタグには、認証に失敗したメールに対して「受信側がどのような対応を取るべきか」を示すポリシーを設定する必要があります。

SendGridがDomain Authenticationの画面で表示する設定例では、ポリシーはnone（p=none）となっています。

Host	Data
_dmarc.codingplus.coffee	v=DMARC1; p=none;

これは、認証に失敗しても受信側に特別な処理を求めないことを意味します。

しかし、BIMIを導入するには送信元ドメインがなりすましでないと証明されていることが前提となるため、より厳格なDMARCポリシーの設定が求められます。そのため、ポリシーは「quarantine」または「reject」、ポリシーの適用割合（pct）は100を設定する必要があります。

v=DMARC1; p=reject; pct=100;

DMARCは、SendGridを経由するか否かに関わらず、同じ送信ドメインを使用するすべてのメールに影響を与えます。サードパーティツールも含めたすべてのメール配信環境においてSPF/DKIMが正しく認証されることを確認するなど、慎重に設定してください。詳しくはこちらもご覧ください。
DMARCレコードの登録内容を確認したい場合は、MX Toolboxなどのサービスを活用するのもお勧めです。

Step 3：ブランドロゴの作成とアップロード

次はブランドロゴの画像ファイルを準備しましょう。
ロゴを受信トレイに表示させるには、画像ファイルが以下の条件を満たしている必要があります。

• 要件を満たしたSVGファイル形式である
• 送信元ドメインと同じドメインにホストされている

ここでは、以下のロゴを作成したものとします。

上述の2つの条件を満たすよう、このロゴをSVG形式で保存し、送信元ドメインと同じドメインにアップロードしましょう。
https://www.codingplus.coffee/coding-plus-coffee-logo.svg

アップロードが完了したら、メールクライアントが当該ロゴファイルにアクセスできるよう、送信ドメインのレジストラに以下のような形式のTXTレコードを追加しましょう。

Host	Data
default._bimi.codingplus.coffee	v=BIMI1;l=https://www.codingplus.coffee/coding-plus-coffee-logo.svg

Step 4：BIMIレコードの確認

BIMIレコードを追加したら、MX Toolboxで設定が反映されているか確認しましょう。TXTレコード（BIMIレコード）の確認だけではなく、ブランドロゴの表示可否までチェックすることができます。
「codingplus.coffee」について調べると、以下のような結果が表示されます。

これで、BIMIの設定が完了し、ロゴが表示されることを確認できました。

Step 5：認証マーク証明書（VMC）を取得する

VMC（Verified Mark Certificate）は、ブランドロゴが正当なものであり、かつそのロゴの所有者が確かであることを第三者機関が認証するための電子証明書です。認証機関は、ロゴが商標登録されていることを確認し、ブランドロゴ（SVG形式）や電子署名等を含むPEM（Privacy Enhanced Mail）形式のファイルを発行します。Gmail、Yahoo!、Appleなど多くのメールクライアントでロゴを表示するには、SVGファイルだけではなく、PEMファイルのアップロードも必須です。
VMCは、以下の2つの認証機関のいずれかから申請できます。

• Entrust DataCard
• DigiCert

PEMファイルを取得したら、SVGファイルを保存したURLにアップロードし、公開します。次に、PEMファイルの場所を指定して、BIMI情報を含むTXTレコードを更新しましょう。

たとえば、vmc.pem というVMCファイルを「https://www.codingplus.coffee/vmc.pem」で公開している場合、TXTレコードは次のように更新します。

Host	Data
default._bimi.codingplus.coffee	v=BIMI1;l=https://www.codingplus.coffee/coding-plus-coffee-logo.svg;a=https://www.codingplus.coffee/vmc.pem

Step 6：テストメールを送る

これでBIMIの実装が完了しました。このドメインからメールを送信すると、対応しているメールクライアントでは、受信メールに認証済みのBIMIロゴが表示されるようになります。
以下はGmailでの表示例です。

BIMIの実装については、こちらのページもご覧ください。

まとめ

BIMIを導入するブランドは年々増加しており、「信頼の獲得」「ブランド認知の強化」を目的として活用されています。

ブランドから届いたメールにBIMIロゴが表示されることで、受信者は「このメールは本当にブランドから送られたものだ」と安心して開封することができます。

BIMIはシンプルで分かりやすく、ブランド認知やメールの視認性、受信者からの信頼を高めるうえで大きな効果が期待できます。

今すぐSendGridのアカウントを作成し、BIMIを導入しましょう！