2020年のメールのトレンド:データに基づく予測
- 2020年4月28日
- by SendGrid
- Category: ベストプラクティス
この記事は 2020 Email Trends: Our Data-Backed Predictions の抄訳です。
メールを取り巻く状況は常に変化しているため、これから何が起こるのか、注目すべきトレンドが何か予測することが大切です。私もこの業界で働いて7年になるので、分析の成果を発表してみようと思います。
2019年12月に公開したEmail Benchmark and Engagement Studyでは、Twilio SendGridでの送信実績と各世代のメール利用状況を併せて分析していますが、2020年も続くであろういくつかの傾向に気づきました。
2020年にメール送信者が注目すべきトレンドは、以下の4つです。
1つずつ見ていきましょう。
送信通数の増加
Twilio SendGridでは、メールの送信頻度を常にチェックしています。受信者の信頼を得ながら十分に情報提供するには、どのくらいの頻度でメールを送るべきなのでしょうか?
月間の送信通数(中央値)は、過去3年間で2016年の9.8通から2018年には7通へと顕著に下がっていました。
しかし2019年に傾向が一気に変わり、8.3通まで増えました。私たちは常に、受信ボックスはある種の聖域でありメール送信は注意深く行われるべきだと考えています。表からも、送信頻度が高すぎると開封率は下がる傾向があると分かります。
Global Email Engagement Benchmarks for 2019
総開封率 | 総クリック率 | CTOR(Click to Open Rate) | 月間送信通数(中央値) | |
---|---|---|---|---|
2019 | 14.5% | 1.6% | 10.9% | 8.3 |
2018 | 18.0% | 2.0% | 11.1% | 7.0 |
2017 | 14.6% | 1.7% | 11.6% | 8.1 |
2016 | 14.2% | 1.9% | 13.6% | 9.8 |
しかしながら、次のグラフを見ると多くの受信者が毎日メールが届いてもよいと考えていることが分かります(特に小売業でこの傾向が強いようです)。回答者のうち37%が、興味のあるプロダクトであればメールを1日1回開封すると回答しています。ここから読み取れるのは、送信者が節度を持って、割引やソートリーダーシップ・製品のアップデートといった価値のある情報を提供している限り、コミュニケーションの頻度が高くても許容されるということです。
プライバシーやトラッキングへの関心の高まり
どのくらいの頻度での連絡が望ましいかは、受信者本人に聞いてみるのがよいでしょう。長い間プリファレンスセンターがこの役割を担ってきましたが、他にもサインアップ直後に興味のあるトピックや希望する受信頻度をメールで聞く方法もあります。
実際、私たちの調査では、サインアップ直後に受け取るメッセージでメールプログラムを選択させてほしいと考える受信者が24%いることが分かりました。
また60%の受信者は、受信するメールをサインアップ時に選択できることを希望しています。この結果を見ると登録フォームの改善も視野に入れた方がよさそうです。
過去の購入履歴とエンゲージメントの状況をトラッキングして最大限に(時には気味が悪いくらいに)パーソナライズされたメールを作る前に、これら2つの方法を試してみてください。受信者はプライバシー・トラッキング・オプトインへの関心を高めているので、トラッキングの代わりに直接聞くのがお勧めです。またはトラッキングと受信者の意思確認をうまく併用する方法を考えましょう。
このような方策が結局は受信者の好みやプライバシーの尊重につながるので、2020年は何よりも優先させましょう。
動画離れ
私たちはこれまで、GIFや動画・インタラクティブなメールが好まれると考えてきました。本当にそうでしょうか?ここ最近、流れが変わってきたようです。調査によると、61%の受信者がGIFや動画を含むメールは好きではないと回答しています。内訳は地域や世代によって少し異なり、英国より米国の方が、ベビーブーマー世代よりミレニアル世代の方が好ましいと思っているようです。
しかし全体としては概ね関心が低くなっており、プラスの効果としては捉えられていないことがわかります。
この結果から、2020年はどのようなメールを送るべきでしょうか?視覚的な戦略を諦める必要はありませんが、視覚効果に頼りすぎず、伝えたいメッセージとうまくバランスを取った方がよいでしょう。
明確なメッセージを伝えることが鍵となります。また、受信者の視点に立って、視覚効果とユーザ体験のトレードオフを考慮しましょう。開封しても読み込めないGIFより、ブランドに合う静止画を載せたテンプレートの方が優れています。同様に、スクロールしないと全体が見られないモンタージュ画像より、少数の鮮明な画像の方が新製品の発表には適しているかもしれません。
時にはシンプルさが好まれる場合もあります。以下の図は、メールに含まれる画像はいくつがよいかを質問した結果です(43%が1点、42%が2~3点と答えています)。受信者にとっては過度なノイズや複雑さは不要で、メッセージを端的に伝えてほしいと考えていることが分かります。
結局、それが送信者の負担の軽減にもつながりますよね?シンプルなメールにちょっとした特別感をプラスしましょう。
ニュースソースとしての価値の変化
最後に紹介するのはここ数年で見られるトレンドです。最新のニュースはメールではなく、ソーシャルチャネルでチェックされるようになっています。
このような状況でも、The Skimm, Morning Brew, The Hustleのようなニュースレターが人気を博しているのはなぜでしょうか?これらの「ニュース」そのものを掲載したサービスへの関心はますます高まっており、購読者数も増えています。この流れは2020年も変わらないでしょう。ソーシャルメディアには速さでは勝てませんが、キュレーションされた、ターゲットを絞ったニュースソースとしては、メールが優れていると思います。
これらのニュースレターで特筆すべきは、購読者に完全にマッチする独自の意見を主張している点です。長い体験談を共有したり、購読者とつながったりできることがソーシャルチャネルにはない魅力と言えます。加えて、プロモーションや懸賞を購読者へ提供できるので、ニュースレターの力はまだまだ衰えないでしょう。
まとめ
これらのトレンドが、2020年のメールプログラムを考えるきっかけになることを期待しています。今回の分析結果を読んで驚いたところはありましたか?また、実際に送信した結果から同じような傾向があると気づいた部分はありますか?今年のメールプログラムで挑戦したいことが見つかりましたか?
例えば、メールの送信頻度を検証したり、メールのデザインにかける時間や費用を見直したりするのはどうでしょうか。また、新しいGIFや動画を作成するより、メールのテンプレートの整備に力を入れた方が効果が高いかもしれません。
何よりあなた自身が次のトレンドを生み出せるかもしれません。大いに期待しています。
詳しくはEmail Benchmark and Engagement Studyを参照してください。