専門家が解説!スパム対策の最前線

専門家が解説!スパム対策の最前線

この記事は Ask the Expert: Melinda Plemel, Enhanced Support Specialist, Spamhaus の抄訳です。

適切な宛先にメールを届けるにはどうすればよいか?エンゲージメントを正確に把握する方法とは?これらを正しく理解している人は、実は多くありません。メール配信にまつわる誤解を解き、効果的なメールマーケティングを実現するには、専門家から学ぶことが最適です。

今回は、Spamhausでスパム対策のプロフェッショナルとして従事するMelinda Plemel氏にお話を伺いました。Melinda氏は20年以上にわたりメールプラットフォームや配信サービスの構築支援に従事し、メールの到達性とセキュリティ管理において重要な役割を担ってきました。

それでは本題に移りましょう。

Q&A: 専門家に聞いてみよう

Q: Spamhausにおける主な業務を教えてください

A: ゴールドランクユーザ向けの専任サポートスペシャリストとして、大企業の課題解決に取り組んでいます。Spamhausのデータを用いて脅威を特定し、顧客組織内で問題を解決できるようサポートするのが主な仕事です。

Q: 通常のコンサルタントとサポートスペシャリストの役割の違いは何ですか?

A: 優良な送信者になるよう、またメールエコシステムにおける安全な存在になるよう顧客をサポートするという基本的な役割は同じですが、サポートスペシャリストはより複雑な対応が求められます。
大規模な送信者やブランド、ホスティングプロバイダのメール到達率を向上させるだけでなく、レピュテーションやセキュリティの脅威に対してより広い視点で対応する必要があります。
また、Spamhausは膨大なデータを所有していますが、内容はとても難解で複雑です。それらの意味を理解したうえで解決策を顧客に提案できるサポートスペシャリストの存在は、顧客にとって非常に重要です。

Q: 「メールボックスが一杯」という理由でメールを届けられなかった宛先に対し、どのような対処を検討すべきですか?

A: 大抵のメールボックスは大量のメールを保存可能です。にもかかわらずこの応答が返される場合は、メールアカウントがほとんど使われていないと考えたほうが良いでしょう。Sunset Policyの運用に則って宛先リストから削除することを検討してください。

Q: Appleのメールプライバシー保護機能(MPP)が導入された今、開封していない受信者を正確に把握するにはどうすればよいですか?

A: MPP導入後は正確に開封トラッキングができなくなりましたが、他の指標と組み合わせることで引き続きエンゲージメント指標として利用することができます。

昨今のメールのライフサイクルにおいては、到達性やセキュリティ管理にあらゆるデータを利用することが重要です。サードパーティのデータなども大いに活用し、エンゲージメントの把握に役立てましょう。

MPPの影響と対策についてはこちらをご覧ください。

Q: Spamhausには複数のブラックリストがありますが、その違いを教えてください

A: 残念ながら、それぞれのブラックリストで使用されているデータポイントや指標について詳しくお話しすることはできません。
各リストの目的や詳細な説明はSpamhausのWebサイトをご覧ください。

Q: 再エンゲージメントキャンペーンを行う際はどのようなことに気をつけるとよいですか?

A: 再エンゲージメントキャンペーンは、健全なリストを維持するのに有効な方法です。メールアドレスの収集方法は多岐にわたるので、もしかしたらダブルオプトインをとっていない宛先がリストに含まれているかもしれません。宛先リストの管理が不十分だったためにメールがブロックされた経験がある場合は実施を検討しましょう。

一方で、再エンゲージメントキャンペーンには、迷惑メール報告やバウンスが多く発生する、スパムトラップに再び送信してしまう、ブラックリストに掲載される可能性があるなどのリスクが伴います。

そのため、必ず入念な計画と調整をしたうえでキャンペーンを実施してください。具体的には以下の点に気をつけましょう。

  • スケジュールを細かく設定し、最近取得したメールアドレスから順にリストをセグメント化する
  • しっかりウォームアップされたIPアドレスから送信し、バウンスが発生した時の影響を最小限に抑える
  • キャンペーン実施後は結果を注視し、エンゲージメントのない宛先はすべてリストから削除する

Q: スパムトラップについて『表面的な兆候ではなく根本原因に対処せよ』と聞いたことがあるのですが、どういう意味でしょうか?

A: 既に述べたとおり、現在はエンゲージメントの状況を開封の有無で判断するのは適切ではありません。スパムトラップを特定するのではなく、そもそもリストに混入させないことに注力しましょう。

メールアドレスを収集する際はダブルオプトインを採用して正当な宛先であることを確認するなど、質の高いリストを維持することが大切です。

Q: スパムトラップはメールの開封やクリックをしないとされていますが、現在では当てはまらないのでしょうか?

A: 当てはまりません。迷惑メールは年々巧妙化しています。それに伴ってスパムトラップも進化しており、怪しいメールを調べるために開封やクリックをすることがあります。

Q: DNSにおける認証コードの目的は何ですか?また、これは新しい仕組みですか?

A: DNSの認証コードは、スパム対策を強化する方法です。ドメインの所有権を確認することを目的としてDNSのTXTレコードとして登録するもので、信頼できる送信元からのメールかどうかをメールサーバが判断するのに利用されています。

TXTレコード自体は以前からありましたが、セキュリティ対策に使われるようになったのは最近のことです。

Q: データプライバシーの最近の動向や、使いやすいコミュニケーションチャネルとしてSMSが台頭してきたことを踏まえて、今後メールはどうなると思いますか?

A: メールは無くならないと思います。
メールとSMSはどちらも利用者と効果的につながるための有用な手段ですが、SMSは文字数に制限がありキャリアの利用料もかかるため、メールに比べて割高です。また、SMSは通常はテキストしか使えず、配信停止が難しいという弱みがあります。

一方、メールは何十年も前から存在しており、その過程で多くの課題を乗り越えてきました。SMSにはない、より良いコミュニケーションを実現するための知見や情報がたくさんあり、大勢の人に迅速かつ手頃な価格でアプローチする手段として適しています。

おわりに

今回はMelinda氏にスパムトラップの動向やエンゲージメントの把握方法について話していただきました。受信者が望むメールを送るためのヒントとしてお役立ていただければ幸いです。

Twilio SendGridのメール・エキスパートたちはあなたのメールマーケティングを後押しします。まずは無料で始めてみませんか?

アーカイブ

メールを成功の原動力に

開発者にもマーケターにも信頼されているメールサービスを利用して、
時間の節約、スケーラビリティ、メール配信に関する専門知識を手に入れましょう。