専門家が解説!メールを届けるためのコツ

専門家が解説!メールを届けるためのコツ

この記事は Ask the Expert: Lili Crowley, Postmaster, Yahoo! の抄訳です。

メールを遅延させずに届けるにはどうすればよいか?効果の高い一斉配信の方法とは?これらを正しく理解している人は、実は多くありません。メール配信にまつわる誤解を解き、効果的なメールマーケティングを実現するには、専門家から学ぶことが最適です。

今回は、AOLやYahoo!で約10年間メールサーバ管理者を務めるLili Crowley氏にお話を伺いました。その前には .com、.net、.org、.eduといったドメインのレジストラとして有名なNetwork Solutionで勤務した経験もお持ちです。データ分析の豊富な知見があり、現在はメールの送受信に関する問題解決の支援にも力を入れているそうです。

それでは本題に移りましょう。

Q&A: 専門家に聞いてみよう

専門家に聞いてみよう

Q: Yahoo!ではどのような業務に携わっていますか?

A: 社内外から寄せられるあらゆる問題に対処しています。相手は様々で、チケットシステムを通じて連絡が来たり、社内の各部門(ソーシャル、コンシェルジュ、法務など)や経営層からエスカレーションされたり、メールサービスプロバイダやベンダ、その他の業界関係者から依頼を受けたりします。また、チーム内のコミュニケーションや業務プロセスの改善についてもサポートしています。

Q: 新しいドメインやIPアドレスからYahoo!宛にメール送信すると、すぐには宛先に届かず遅延することが多いと言われています。その理由と、遅延を最小限にするための対策を教えてください。

A: いきなり一斉配信するのではなく、複数回に分けて送信してください。そうすることで、Yahoo!や受信者がメールの信頼性を正しく判断できます。例えば、新しいIPアドレスを使用する場合、少ない通数から始めて徐々に送信量を増やします。遅延が発生した場合はペースを落とし、遅延が収まったあとに再開してください。

Q: 遅延は「しばらく送信量を抑えるように」というYahoo!から送信者へのメッセージだとのことですが、メールの送信基盤をコントロールできない送信者はどう対処すればいいですか?

A: 数時間ペースを落として少しずつ送信してください。徐々に通数を増やすよう当初から計画しておけば、遅延の発生自体を回避できます。

Q: 以前あるカンファレンスで「受信者が好むメールを送っていれば、メールを届けるのはそれほど難しくない」とおっしゃっていました。これはどういう意味ですか?

A: よく練られていておもしろく、興味を引くメールを届けてくれる会社もありますが、消費者としては気に入っていても、通数が多すぎて都度メールを削除している会社もあります。また、さほど重要でないメールが頻繁に届いて扱いに困ることもあります。私はメールの専門家なのでなるべく控えていますが、一般の受信者はこのようなメールを迷わずスパム報告しているのが現状です。まずは受信者が好むメールを送ることが大切です。

また、コンテンツが到達率を左右するという意見に関しては、「$」「Sale」などの単語を使わないといった単純な話ではありません。興味を引くコンテンツを興味を持ってくれる受信者のみに送信するべきです。膨大な宛先リストを使って一斉配信する時代は終わったのです。

Q: メールの世界では一般的に「量より質」と言われています。量を重視していては良い効果が得られない理由を教えてください。

A: 商品を購入してくれそうな1,000人にリーチするために、フィルタリングや遅延のリスクを冒してまで、余分な99,000人にメール送信する必要はありません。せっかくの良いアプローチが台無しになってしまいます。

多くの会社では収益を減らさずにメールの送信量を減らすことに成功しています。長らく反応がない古い宛先にメールを送り続けても、商品を購入してくれる可能性は低いでしょう。エンゲージメントや購入意欲の高い顧客に注力することで無駄なコストを省くことができます。

Q: 受信者によるフィルタ設定やスパム報告と比較して、Yahoo!が設けたメールフィルタはどの程度重要視されるのでしょうか。

A: どちらも重要です。Yahoo!のフィルタリングにより誤って迷惑メール判定されている場合、受信者が正当なメールとしてマークしたり、受信ボックスに移動したりすることができます。こういった操作をYahoo!が検知して判定を正します。反対に、10万通の一斉配信メールを通過させた後に、受信者から誤検知の報告がなければフィルタリングの結果は正しいと言えるでしょう。

もちろん、受信者を保護するためにスパムフィルタは別途設けています。

Q: スロットリング(宛先の受信制限による遅延)が発生しているのにメールを送信し続けた場合、レピュテーション(送信者の信頼性)に影響はありますか?

A: 永続的にレピュテーションが下がるわけではありませんが、遅延の解消がより難しくなります。送信のペースを落とし、徐々に送信してください。

Q: 一部のメールが迷惑メールフォルダに振り分けられてしまう場合、送信者はどうすればいいですか?

A: 以下の観点でメールを見直し、問題点を修正しましょう。

  • 誰に、なぜそのメールを送信したのか
  • 送信したメールに対して苦情がなかったか
  • アフィリエイトのような他のメールと似通ったコンテンツを送っていないか
  • DMARCの認証に失敗していないか(DMARCポリシーが「quarantine」の場合、認証に失敗したメールは隔離されます)

また、全体の傾向を確認するためにメールへの反応を確認しましょう。反応がいつもより少ない場合は迷惑メール判定が増えている可能性もあります。宛先リストを精査し、関心を持ってくれる受信者にターゲットを絞りましょう。

ホリデーシーズンなどに送信数が急増する場合、どのように準備すればよいでしょうか。

Q: ホリデーシーズンなどに送信数が急増する場合、どのように準備すればよいでしょうか。

A: 遅延が発生しなければそのまま送信を続けて構いませんが、遅延が発生し始めたらペースを落としてください。遅延なく送信できる通数は、時間の経過に伴って変化する点にも注意してください。

Q: 長期間反応がない宛先はリストから削除した方がよいと言われています。スパマーではなく正当な送信者と見なしてもらうには、どのようなサンセットポリシーを設定するとよいでしょうか。

A: まずは開封・クリック・売上といったエンゲージメントの指標を定めましょう。私自身はクリックと売上を使うのがよいと考えています。あるユーザのエンゲージメントが低いと感じたら計測可能な指標で確かめてみましょう。データや統計は大いに役立ちますが、有効性を慎重に見極める必要があります。

おわりに

今回はLili氏にメールを届けるためのコツや効果的な送信方法について語ってもらいました。メール配信業務の改善に役立てていただけると幸いです。

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