安全な配信を実現!メールセキュリティのベストプラクティス
- 2025年1月16日
- by SendGrid
- Category: ベストプラクティス メールマーケティング
この記事は Email Security: How to Send Secure Emails for Access and Delivery の抄訳です。
メールは便利なコミュニケーション手段ですが、一方で、リスクがあることも認識しておく必要があります。特に、メールの潜在的な脆弱性を突いてフィッシングやマルウェア、ランサムウェアなどを仕掛けてくる攻撃者の存在を忘れてはなりません。これらの攻撃から受信者と送信者の双方を守るため、メールセキュリティは日々強化されています。
メールセキュリティはすべての組織にとって重要ですが、メールを大量送信する企業にとっては特に重要です。正当な送信者として、すべての送信メールが安全であると証明するための対策を行う必要があるからです。
この記事では、メールセキュリティの定義やその重要性、メールを安全に保つ方法について説明します。
メールセキュリティとは?
メールセキュリティとは、メールサービスプロバイダ(ESP)、送信者、および受信者が、不正アクセス等の悪意ある攻撃から自身や他者を守るために用いるプロセスや方策を指します。攻撃者の目的は、侵入先からデータを盗んだり、組織に混乱を与えて利益を得たりすることです。
なぜメールセキュリティが重要なのか?
メールの利点の一つは、情報共有やコミュニケーションの手段として簡単にアクセスできる点です。しかし、この利便性ゆえに、メールは攻撃に対して脆弱でもあります。攻撃者に受信トレイへのアクセスを許してしまうと、個人や組織に関する多くの機密情報が盗まれ、悪用される可能性があります。
また、企業がこれまで築いてきたレピュテーションや信頼を悪用し、企業になりすましたフィッシングメールを大量送信される可能性もあります。
メールセキュリティは、あなたの情報だけでなく、顧客やパートナーのデータを守るためにとても重要なのです。
メールを悪用した攻撃がどの程度多く行われているのか気になりませんか?ここでいくつかの統計を見てみましょう(出典:Verizon、Cisco)。
- 攻撃者が組織に侵入する手段のトップ2はWebアプリケーションとメールである
- メールはランサムウェアによるインシデントの35%に関与している
- マルウェアを配布する最も一般的な方法はメールである
- フィッシングメールを受信した組織の86%で、少なくとも1人が悪意のあるリンクをクリックした
- フィッシングメールはホリデーシーズンに送信のピークを迎える傾向があり、12月には52%増加する
幸い、送信者認証やその他の対策を取ることで、メールのセキュリティを強化することができます。ここからは、セキュリティ向上のためにできる具体的な方法を見ていきましょう。
メールセキュリティのベストプラクティス
1. 安全なログイン認証方法の利用
セキュリティの重要性はアカウントにログインするときから始まっています。単純なパスワードでは、企業や顧客を守るのに必要なセキュリティを十分に確保できません。
組織全体で以下のログイン認証方法のいずれかを利用し、メールやデータの安全性を確保しましょう。
二要素認証
二要素認証(2FA)は、本人だけに属する以下の3つの要素のうち2種類を組み合わせて認証する仕組みです。
- 知識情報(PINやパスワードなど、本人だけが知っているもの)
- 所持情報(デビットカードや携帯電話など、本人が所有しているもの)
- 生体情報(指紋など、本人の身体的特徴)
例えば、ATMで現金を引き出す際、デビットカードの挿入後にPINの入力を求められる、といったものが該当します。
二要素認証には、SMSや時間制限付きのワンタイムパスワードが多く使われます。Twilio SendGridの二要素認証について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
Single sign-on
Single sign-on(SSO)は、ユーザがIDプロパイダ(IdP)上で認証を行うことで、複数のアプリケーションにアクセスできる仕組みです。多くの場合、SSOは二要素認証と組み合わせて利用されます。
認証情報を一元管理することでログインが簡単になる一方で、パスワードを強化し、アカウントへの不正アクセスリスクも低減させることができます。また、ESPのような複数人で利用するアプリケーションへのログイン情報を安全にチーム内で共有することも可能です。
SSOでアカウントのセキュリティが向上する仕組みはこちら、SendGridでSSOを設定する方法はこちらをご覧ください。
APIキー
APIキーは、ユーザを識別し認証するために用いられる固有のコードで、ユーザ名とパスワードによる認証に代わる、より安全な方法です。主にWeb APIによるアクセスで利用されます。
APIキーごとに異なるスコープや権限を指定できるため、APIキーを使い分けることで顧客データが閲覧できるユーザを制限するなど、不必要なアクセスを排除することができます。
SendGridにおけるAPIキーの利用方法はこちらをご覧ください。
2. 送信者認証の設定
送信者認証は、自身が正当な送信者であり、スパムやなりすましメールの送信者でないことをインボックス・プロバイダに示すために使われる技術です。設定すると、攻撃者があなたのブランドになりすますことや、レピュテーションを悪用してフィッシング攻撃を行うことが難しくなります。
裏を返せば、送信者認証を設定していないと、悪意のある送信者にブランドが悪用されやすくなるということです。最終的には、レピュテーションが低下したりブラックリストに掲載されたりする可能性があります。
送信者認証には、以下のものがあります。
- SPF:メールが正規のサーバから送信されていることを確認
- DKIM:メールが送信中に改ざんされていないことを確認
- DMARC:SPFまたはDKIMで認証されなかったメールをどのように扱うかを送信側が受信側に指示
3. SMTPサーバの利用
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は、送信者のサーバから宛先のサーバまでメールを転送する、パイプラインのようなものです。SMTPサーバは、メールを受け取ると、次にどのサーバに送信すべきかを判断し、転送します。メールを受け取ったインボックス・プロバイダは、サーバからメッセージをダウンロードし、ユーザの受信トレイに届けます。
加えて、SMTPサーバは、不正な送信者から受信者を保護する最初の防御線としても機能しています。SMTPサーバにメール送信を依頼する際にSMTP認証を行うことで、メールがアクティブなアカウントから送られたものであることを確認し、送信メールのセキュリティを確保するのに役立っています。
4. 暗号化によるデータ保護
暗号化はメールの内容を保護する最も効果的な方法の一つです。受信者の機密情報を含むメールを送信する場合は、特に重要です。
暗号化とは、メールのデータを無秩序な形に変換し、許可されたユーザ(通常は送信者と受信者)だけが閲覧できるようにする仕組みです。
暗号化の一種であるTLS(Transport Layer Security)は、通信経路上のメールデータを保護します。SendGridでは、受信サーバがTLS接続をサポートしていれば、TLSでメールを送信します。これにより、悪意のある第三者が経路上のデータを盗聴することができなくなります。
暗号化の基本についてはこちらをご覧ください。
5. データへのアクセス制限
データ、特に受信者の情報には、本当に必要な人だけがアクセスできるよう制限をかけましょう。メールのセキュリティ侵害が、より重大なデータ漏洩に発展するリスクを軽減することができます。具体的な方法を紹介します。
- メール配信サービスのアクセス権限は、利用する必要があるメンバのみに付与しましょう。権限の付与状況は定期的に確認し、最新の状態に更新することを忘れないでください。
- メンバの役割に応じて、付与する権限レベルを調整しましょう。機密性の高い顧客データを保護しながら、メンバがそれぞれの業務に必要なデータにアクセスできます。SendGridをお使いの方は、Teammates機能をご活用ください。
6. サイバーセキュリティトレーニングの実施
サイバーセキュリティトレーニングは、一見退屈でありふれた内容に思えるかもしれませんが、ビジネスをリスクから保護する上で極めて重要な施策です。
一部の社員だけでなく全員がサイバーセキュリティの脅威に対応できるよう、全社員に対して定期的にトレーニングを実施し、社員自身の安全も守りましょう。
SendGridで安全なメールを送信しよう
SendGridでは、お客様のデータ(およびお客様の顧客データ)を保護することを最優先事項としており、安全性の高いデータセンタ、コンプライアンス専門チーム、TLS、顧客データにアクセス可能な人を制限する運用セキュリティ基準など、さまざまなセキュリティ対策を実施しています。SendGridがどのようにメールの安全性を保っているか、詳細はこちらをご覧ください。
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