B2Bメール配信の落とし穴
- 2026年1月15日
- by SendGrid
- Category: ベストプラクティス

この記事は The Hidden Obstacles to B2B Email Deliverability の抄訳です。
長い間、B2Bのメール配信は、B2Cのキャンペーンメールほど到達率が重視されてきませんでした。しかし実際には、企業にメールを届けることには特有の難しさがあります。
今回は、メール担当者が知っておくべき、企業のメール環境特有の制約について解説します。
なぜB2Bのメールは届きづらいのか?
多くの企業は、Proofpoint、Mimecast、Microsoft Defender for Office 365など、エンタープライズ向けのセキュリティツールを導入して自社環境を保護しています。これらのツールは、企業が設定したルールや方針に沿ってメールをチェックし、フィッシングメールやマルウェアだと疑われるメールをブロックします。
このプロセスは、メールの受信処理中(SMTPトランザクション中)にリアルタイムで行われ、不正なメールが受信者のもとに届くのを防ぎます。
しかし、それだけではありません。ほとんどのセキュリティツールは、メールを受け付けた後、受信トレイに届ける前にさらに高度なフィルタ機能でもう一度メールをチェックし、合格しなかったメールをブロックします。
この処理はSMTPセッションが完了した後に行われるため、「配信後フィルタリング」と呼ばれます。
セキュリティツールのこのような強力なフィルタリング機能は、不正な送信者から企業を守るために欠かせません。しかし、その結果として、正当なマーケティングメールであっても受信トレイに届かないケースが起こりやすくなっています。

セキュリティツールと連携した宛先サーバでのフィルタリング
B2B配信で起こりうる2つのバウンスタイミング
受信処理中のフィルタリングによるバウンス(図中①)
宛先サーバにメールが送られてくると、まず、スパム判定や送信ドメイン認証(SPF、DKIM、DMARC)の結果の評価、その他企業のセキュリティポリシーに沿った基本的なセキュリティチェックを行います。これらのチェックをクリアすると、宛先サーバはそのメールを受け入れ、送信サーバに「成功」を示すレスポンス(通常250番のSMTPレスポンスコード)を返却します。Twilio SendGridから送信した場合は、そのタイミングでDeliveredイベントが発生します。
一方で、チェックをクリアできなかった場合は送信サーバに500番台のレスポンスを返却します。これは一般的にバウンスと呼ばれ、Twilio SendGridから送信した場合は、そのタイミングでBounceイベントが発生します。
配信後のフィルタリングによるバウンス(図中②)
多くのセキュリティツールは、①のチェックをクリアしたメールに対して、本当に問題がないか、より厳密なチェックを行います。コンテンツの精査やレピュテーションのチェックなどを行い、「受信者に届けるべきではない」と判断した場合はNDR(配信不能レポート)を作成して送信サーバに返却します。このバウンスを「非同期バウンス」と呼びます。非同期バウンスは「アウトオブバンド・バウンス」や「非会話型バウンス」とも呼ばれ、一旦宛先サーバに受け入れられたメッセージが、あとになってバウンスとして報告される事象を指します。
SendGridから送信したメールで非同期バウンスが発生すると、Deliveredイベントが既に記録されているにも関わらずBounceイベントが発生する可能性があります。
非同期バウンスが起こる主な理由
非同期バウンスは、配信後フィルタリング以外にも以下のような理由で発生します。
- メールボックスが存在しない:
宛先メールアドレスは正しいものの、そのメールボックス(アカウント)がすでに削除されたり、使われなくなったりしている可能性があります。図中①のチェック時に即座に結果が得られず、遅れてエラーになるケースです。 - メールアドレスに誤りがある:
宛先メールアドレスに誤りがある、または存在しないドメインである可能性があります。 - メールシステムが古いユーザ情報を参照している:
メールシステムが最新のユーザ情報にリアルタイムにアクセスできなかった可能性があります。古いユーザ情報を見て一旦は受け付けてしまったものの、後でそのメールアドレスが無効だと判明するケースです。
ほとんどの場合、SendGridに返却されるメッセージはセキュリティツールから返されるものではなく、宛先サーバから直接返されます。そのため、返却されたメッセージからバウンスの原因を把握できない場合は、宛先サーバに問い合わせ、原因を解決しましょう。
まとめ
セキュリティツールは不正なメールから企業を守る一方、正当な送信者からのメールも届きづらくさせるという課題があります。ツールがどのような条件で受信メールをチェックしているか、送信側が正確に把握することは困難です。しかし、送信ドメイン認証の設定や、送信頻度やコンテンツに配慮した「適切な送り方」の徹底など、一般的なメール送信のベストプラクティスを遵守することで、到達率の向上を見込むことができます。
もし非同期バウンスが発生した場合は、宛先サーバから返却されたエラーメッセージを手がかりに原因を切り分け、送信方法の見直しやリストクリーニングを行いましょう。