メールの到達性を向上させるための10個のベストプラクティス
- 2024年12月12日
- by SendGrid
- Category: ベストプラクティス
この記事は 10+ Best Practices to Improve Your Email Deliverability の抄訳です。
メール送信者にとって到達性は最も重要な指標です。メールが届かなければ、受信者がメールを開封したりクリックしたりすることはなく、メールプログラムの効果は大きく下がります。
幸い、到達性を向上させるのはそれほど難しくありません。メール送信のベストプラクティスに則って準備し、宛先側に良い送信者と見なされたらメールは届きやすくなります。
この記事では、到達性を向上させ、よりよいメールプログラムを構築するための具体策を網羅して紹介します。ぜひご覧ください。
メールの到達性とは
そもそも「到達性」とは何でしょうか。メールの世界では、単にメールが宛先に届くかどうかではなく、「受信トレイへの届きやすさ」を指します。届きやすさを左右する主な要素は以下のとおりです。
- 配信(Delivery)
宛先サーバがメールを受け取ること - 到達性(Deliverability)
受信トレイへの届きやすさ(迷惑メールフォルダに振り分けられたメールは除く) - 配信率(Delivery rate)
送信したメールのうち、宛先サーバが受け取ったメールの割合 - 到達率(Deliverability rate)
送信したメールのうち、受信トレイに届いたメールの割合
メールの到達性を向上させるには
ここからは、到達性を向上させるための具体的なステップを見ていきます。
- 送信ドメイン認証を行う
- 適切にIPアドレスを割り当てる
- オプトインのプロセスを徹底する
- スパムメールと認識されない件名を付ける
- プリファレンスセンターを提供する
- 宛先リストをクリーンに保つ
- スパムトラップを避ける
- 受信者にとって好ましいメールを送る
- メールの評価指標をモニタリングする
- サンセットポリシーを導入する
1. 送信ドメイン認証を行う
送信者のレピュテーションを維持するためには、なりすましへの対策が必要です。SPFやDKIMを設定していないと、なりすましの被害にあうリスクが高くなり、結果として到達性の低下を招くことになります。
SPFやDKIMで送信ドメイン認証を行うことにより、メールの送信者がそのドメインを所有していることや、信頼できるメール送信者であることをISPに証明することができます。 詳しくはこちらの記事を参照してください。
2. 適切にIPアドレスを割り当てる
サービスが成長を続けている場合は、配信規模に応じてメールのインフラを整えることが重要です。1日あたりの送信通数が25,000通を超える場合、自分専用の「固定IPアドレス」からメールを配信するのが望ましいでしょう。固定IPアドレスからメール配信する際には、事前に適切なIPウォームアップを行わなければなりません。ウォームアップを行うことでISPからの信頼を得ることができます。
IPウォームアップの詳しい方法については、こちらの記事を参照してください。
メールの到達性が下がるたびに、安易にIPアドレスを追加するのはやめましょう。ISPはIPアドレス単体で送信者を評価するのではなく、疑わしいメールを配信した送信者のIPプール全体をブロックすることもあります。
固定IPアドレスの追加についてはこちらの記事も参考にしてください。
3. オプトインのプロセスを徹底する
宛先アドレスの集め方も、メールの到達性に大きく影響します。オプトインのプロセスを経ることによって、エンゲージしたユーザのみが宛先リストに含まれることが保証されます。メールが配信されるとは思っていない、またはメールの配信に同意していない宛先にメールを配信すると、受信者は迷惑メール報告をするかもしれません。結果として、ISPは(宛先リストにメールの受信を希望するユーザがいたとしても)、すべての宛先に対してスパムメールを送っていると認識するでしょう。
私たちは、ユーザを2段階にわけて検証するダブルオプトインを推奨しています。この方法により、確実にエンゲージされた宛先リストを作成することができます。宛先リストの正しい作成方法について、詳しくはこちらの記事を参照してください。
4. スパムメールと認識されない件名を付ける
メールの件名は、受信者が最終的にメールを開くかどうかを決める際の鍵となるコンテンツの一部です。ISPのフィルタリングシステムは高度化しており、件名に特定のフレーズを含むメールを機械的に迷惑メールフォルダへ振り分けるようなことはしませんが、スパムメールにありがちなフレーズは使わない方が賢明です。例としては、以下のようなものがあります。
- Eliminate your debt(借金の解消)
- Risk-free(リスクフリー)
- FREE!!!(無料!!!)
明確なルールや単語はありませんが、可能な限りこのような件名を避けることで、メールが受信トレイに届きやすくなるでしょう。適切なメールの件名に上記のような単語を使うこともあるかもしれませんが、強引な印象を与えたりセールスを強調したりするような表現はなるべく避け、本当の価値にフォーカスすることを心がけしましょう。
件名の付け方のポイントやマナーについて詳しく見るには、こちらの記事を参照してください。
5. プリファレンスセンターを提供する
受信者がメールの受信に同意したら、次は受信者自身がメールを受け取る頻度を決められるように、プリファレンスセンターを提供しましょう。これにより、受信者の満足度を高めることができ、ISPによるエンゲージメントの評価の向上にもつながります。
プリファレンスセンターの概要や作り方を知りたい場合は、こちらの記事を参照してください。
6. 宛先リストをクリーンに保つ
メールの押し付けはやめましょう。エンゲージしていないユーザにメールを送り続けると、レピュテーションや到達性が下がるリスクが高まります。
ユーザが簡単にメールを配信停止できる手段を提供すれば、宛先リストのクリーニングを自動的に行えますが、同時に、定期的にクリーニングを実施して、全く反応のない宛先をリストから削除することも重要です。この作業により、エンゲージした受信者のみが宛先リストに含まれる状態を保つことができます。
7. スパムトラップを避ける
スパムトラップは、スパムメール送信者を発見するために、ISPやメールコミュニティ団体が設置するメールアドレスです。スパムトラップ宛てにメールを送信してしまうと、ただちにブラックリストへ登録されます。
自身でブラックリストへの掲載を解除するのは非常に難しいため、スパムトラップにメールを送信しないことがベストです。そのためには宛先リストをクリーンに保つ必要があります。決して宛先リストを購入しないでください。
8. 受信者にとって好ましいメールを送る
メールの到達性を向上させるためには、ISPと受信者の両方を満足させなければなりません。とはいえ、受信者が満足するようなメールを送っていれば、ISPの満足度をとりわけ考慮する必要はありません。受信者がメールを好ましく思い、開封やクリックの反応を返していれば、ISPは受信トレイにメールを届けてくれるでしょう。
9. メールの評価指標をモニタリングする
到達性を維持・向上させるために、メールの評価指標を注視しましょう。これには以下のような目的があります。
- 問題の早期発見
定期的にモニタリングすることで、到達性に重大な影響が出る前に問題を発見します。 - 効果測定
時間経過に伴う評価指標の変化を分析することで、到達性向上の施策の効果を測定します。 - 戦略の見直し
データ分析を活用してメールマーケティングの手法を改善します。
重要な評価指標としては、以下が挙げられます。
- バウンス率
バウンス率が高いと、送信者のレピュテーションに悪影響を与えます。ハードバウンスとソフトバウンスの両方をモニタリングしましょう。 - 迷惑メール報告率
この値が上昇した場合は、メールの送り方やコンテンツを早急に見直しましょう。 - 開封率とクリックスルー率
受信者のエンゲージメントを示す指標として、ISPによる送信者の評価に影響します。 - 受信トレイへの振り分け率
宛先サーバが受け付けたメールのうち、受信トレイに届いたメールの割合を指します。
10. サンセットポリシーを導入する
サンセットポリシーは非アクティブな受信者を管理する手法です。サンセットポリシーを設けずに非アクティブな受信者にメールを送り続けると、レピュテーションが下がり到達性に大きな影響を与える恐れがあります。
メールを送っても反応が無い受信者を定期的に削除することで、宛先リストを健全に保つことができます。また、アクティブな受信者向けの施策に注力できるようになり、全体的な評価指標の値が改善するかもしれません。
サンセットポリシーを導入するには、以下のような準備を行います。
- 「非アクティブな受信者」の定義を決める
”6か月間、開封もクリックもしなかった”等、自身のビジネスにとっての「非アクティブな状態」を定義します。 - 再エンゲージメントキャンペーンを行う
非アクティブな受信者を削除する前に、もう一度興味を持ってもらえるようなキャンペーンを送信します。 - プロセスを自動化する
非アクティブな受信者の判定や宛先リストからの削除を自動化して、継続的に管理します。 - 削除した受信者の管理方法を決める
再エンゲージメントキャンペーンにも反応しなかった受信者は宛先リストから除きますが、データそのものを削除するのではなく、専用の配信停止リストを使って管理することを検討します。
メールマーケティングにおいては、反応がない受信者ばかりが含まれる大きな宛先リストより、エンゲージメントの高い小さな宛先リストの方が価値があることを覚えておきましょう。
メールの到達性を最優先事項にしましょう
メールプログラムにとって開封率やクリック率、メールのデザイン、CTAはもちろん重要ですが、メールが届かないことには話が始まりません。まずはメールの到達性の向上が最優先事項です。
メールの到達性に関するベストプラクティスを知りたい場合は、Email Deliverability Best Practices Guideをご覧ください。この資料では、メールに関する最新の動向や、受信トレイにメールを届けるためのテクニックを専門家が解説しています。
メールを受信トレイに届けるための10個のステップを解説してきました。これらの観点でメールプログラムを見直し、到達性を向上させましょう。