『List-Unsubscribe』ヘッダとは?

『List-Unsubscribe』ヘッダとは?

この記事は What Is a List-Unsubscribe Header? の抄訳です。

最近注目されている「List-Unsubscribeヘッダ」をご存じですか?

マーケティングメールを送る時、セグメンテーションや到達率の向上など、考えなければならないことは山ほどあります。しかし、その中で法律上絶対に忘れてはいけないのが、広告メール内に配信停止可能な手段を設けることです。

今回は、受信者が簡単に配信停止できるようにするためのList-Unsubscribeヘッダについて紹介します。

List-Unsubscribeヘッダとは何か

List-Unsubscribeは、配信停止リンクや迷惑メール報告ボタンを使うことなくメーリングリストからの退会を可能にする拡張メールヘッダです。
本文内に配信停止リンクを用意していても、受信者がフィッシングではないかと警戒し迷惑メール報告ボタンを利用してしまうことがあります。迷惑メール報告はレピュテーションに悪影響を与えるため、送信者にとっては望ましくありません。List-Unsubscribeはこうした問題を回避するのに有効です。

2003年、米国議会は、増加の一途をたどる迷惑メールを減らすためにCAN-SPAM法(Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing Act of 2003)を制定しました。CAN-SPAM法は広告メールに制限を設け受信者のプライバシーを保護するもので、現在も大きな影響力を持っています。

FTC(米国連邦取引委員会)は、広告メールを「製品やサービスの商業広告や宣伝を目的とした電子メール」と定義しています。CAN-SPAM法の主な内容は以下のとおりです。

  1. 偽りのある、あるいは誤解を招く恐れのあるヘッダ情報を使用しないこと
  2. 虚偽の件名を使用しないこと
  3. 広告であることを明示すること
  4. 差出人の所在地を受信者に明示すること
  5. メールの配信停止方法を受信者に明示すること
  6. 配信停止の依頼を受けたら、即時対応すること
  7. メールの作成や配信を委託するときも、その行動に責任を持つこと

配信停止方法の明示

上記の7項目のうち、よく知られている、かつ最も重要なのは、5の「メールの配信停止方法を受信者に明示すること」です。受信者がどう感じているかにかかわらず、送信者はすべての広告メールに配信停止リンクやオプトアウト方法を掲載しなければいけません。

配信停止方法を明示するには、いくつかのやり方があります。多く使われているのはメールのフッタに配信停止用のリンクを挿入するものです。下の画像はTwilio SendGridが送信したメールの例で、デンバーオフィスの住所と配信停止リンクが含まれています。

配信停止リンクの例

これ以外にも、メール本文に配信停止リンクを記載する、配信停止の手順を記載する、List-Unsubscribeヘッダを使用するなどの方法があります。中でもList-Unsubscribeは、CAN-SPAM法の5を満たすためのベストプラクティスだと一般的に考えられています。

List-Unsubscribeヘッダの追加方法

Gmail、Microsoft Outlook、iOSメール、Yahoo!メールなど多くのインボックス・プロバイダはList-Unsubscribeヘッダに対応しています。List-Unsubscribeには2つのオプションがあります。

  • mailto: 配信停止リクエストを、指定されたアドレスにメール形式で送信する方法です
  • HTTP: 配信停止リクエストを処理するためのURLを指定する方法です

List-Unsubscribeへの対応方法はインボックス・プロバイダによって差があり、また、送信者に対する要求も異なるため、あらかじめガイドラインを確認しておきましょう。

Gmail

List-Unsubscribeを利用すると、画像の赤い矢印で示したように、「To」フィールドの隣のドロップダウンメニューにハイパーリンクが表示されます。

GmailのList-Unsubscribe

GmailのList-Unsubscribe

Gmailは、List-Unsubscribeを利用することがベストプラクティスだと表明しています。配信停止用リンクが表示されるのはレピュテーションの高い送信者が送った場合のみですが、全ての送信者がList-Unsubscribeを利用するよう推奨しています。

Microsoft Outlook

Microsoft Outlookにおいても、List-Unsubscribeを有効にするためには送信者レピュテーションを高く保つ必要があります。Microsoftではmailto:のみに対応しており、http:を使用しても無視されます。

iOSメール

List-Unsubscribeヘッダは、画像の赤い矢印で示したように送信者情報の上に表示されます。Microsoftと同様、mailto:のみが利用可能です。

List-Unsubscribeヘッダ

List-Unsubscribeヘッダ

Yahoo!メール

Yahoo!メールもList-Unsubscribeに対応済みです。

マーケターにとってのList-Unsubscribeのメリット

配信停止機能がメッセージの最上部で目立つように表示されるのは恐ろしいことかもしれませんが、心配する必要はありません。これはあなたのメールプログラムにとって良いことです!

List-Unsubscribeは、簡単な配信停止手段を提供することでユーザ体験を向上させるだけでなく、宛先リストの質とエンゲージメントを高く保ち、送信者のレピュテーションを高めるのに有効です。

List-Unsubscribeヘッダにより、受信者は簡単に配信停止できるようになります。つまり、メールフッタなどに設置されている見つけにくい配信停止リンクを頑張って探す必要がなくなるのです。

配信停止をしづらくすると迷惑メール報告などの苦情が増え、レピュテーションを下げることになりかねません。配信停止手続きが簡単になればユーザ体験は向上し、長期的に見ればマーケターにとってプラスに働くでしょう。

受信者に満足してもらうために

勘違いしてはいけないのは、メールに対する受信者の希望を確認しなくて良い(そしてそれを遵守しなくて良い)訳ではないということです。オプトインの時点で、受信の頻度やコンテンツの種類などメールへの要望を受信者から聞き出すことを検討しましょう。

2019 Email Benchmark and Engagement Studyによると、多くの受信者はオプトイン時にメールを受信するタイミングを指定したいと感じています。受信者の好みを尊重すれば、リストの全宛先にむやみに送信するよりも高い開封率やエンゲージメント率が得られる可能性が高くなります。
逆に、受信者が予期していないメールや購読を申し込んだ覚えのないメールを送信すると、配信停止されるかもしれません。

さいごに

CAN-SPAM法をはじめとするあらゆる法律に準拠するため、ぜひすべてのメールに配信停止リンクを設定しましょう。これは送信者としてのベストプラクティスであるだけでなく、受信者のユーザ体験を確実に向上させるものです。メリットは多いですよ!

<追記>
Googleなどが発表したメール送信者向けの新しい要件が、2024年2月から段階的に適用され始めています。今回ご紹介したList-Unsubscribeもその要件の一つで、対応が不十分な場合メールが宛先に届かなくなる可能性があります。
対応がお済みでない方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。

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