Apple iOS 17の新しい特徴とメールへの影響

Apple iOS 17の新しい特徴とメールへの影響

この記事は Apple iOS 17: New Features & What It Means For Email の抄訳です。

Apple社が2023年秋に開催したイベントでは、新しいiPhoneや製品のアップデート、モバイル用OSの最新バージョンであるiOS 17が発表されました。

iOSのバージョンアップへの対応はメールマーケティングの世界でも重要です。2021年に発表されたiOS 15のプライバシー保護機能(Apple Mail Privacy Protection:Apple MPP)には、メールボックス内のすべての画像へ自動的にアクセスする仕組みがあります。メールに埋め込まれた開封トラッキング用の画像にApple MPPがアクセスすることで、開封が受信者によるものかどうかを正しく検知できなくなるため、メールマーケティングに大きな影響を与えました。今回は新たにリンクトラッキング防止機能(Link Tracking Protection:LTP)が発表され、メール業界に新たな課題を投げかけています。

リンクトラッキング防止機能とは?

一部のWebサイトから送られるメール本文内のリンクには、宛先ごとにユニークなパラメータが追加されています。このパラメータは、Webサイトを横断してユーザのアクセス履歴を追跡するために使われていますが、LTPではプライバシー保護の観点から、メールやメッセージ、Safariのプライベートブラウジングのリンクに含まれるパラメータが自動的に削除されます。

皆さんもLTPが実際にどのように動作するのか気になることと思います。この記事では、どのようなパラメータが削除対象になるか?どのようなURLに変換されるか?LTPによるパラメータの削除を回避できるか?といった疑問にお答えしていきます。それでは詳しく見ていきましょう。

どのようなパラメータが削除対象になるか?

Twilio SendGridや他社の検証によると、Webサイト間の移動において「個人を特定できる情報(personally identifiable information:PII)」を含む可能性がある場合、すべて削除対象になるようです。この記事を書いている時点では、Facebook Click ID(FBCLID)やGoogle Click ID(GCLID)、Twitter Click ID(TWCLID)が削除されることを確認していますが、他にも多くのパラメータが影響を受けるものと考えられます。

一方で、Google AnalyticsやAdobe Analyticsのパラメータは削除されずに残ります。Webサイトやメールアドレスのディープリンク(アプリの画面に遷移させるためのリンク)も現時点では影響を受けません。

どのようなURLに変換されるか?

テストを行ったところ、対象のパラメータだけが削除されることが分かりました。例えば以下のように変換されます。

メール送信時のURL:http://www.sendgrid.com/?utm_source=123&fbclid=abc
メール受信時のURL:http://www.sendgrid.com/?utm_source=123

興味深いのは、URLの途中に含まれるパラメータも正しく解釈されることです。例えば以下の例では、2つ目のパラメータ「fbclid」だけが削除されます。

メール送信時のURL:http://www.sendgrid.com/?utm_source=123&fbclid=abc&utm_campaign=def&campaign_id=456
メール受信時のURL:http://www.sendgrid.com/?utm_source=123&utm_campaign=def&campaign_id=456

LTPによるパラメータの削除を回避できるか?

現時点での影響範囲はiOS 17でApple Mail app、iMessage、Safariのプライベートブラウジングを利用するユーザに限られるため、直ちに大きな影響はないかもしれません。ただし、LTPはAppleのドメインに限定されません。Apple MPPと同様に、これらのアプリで使用する別のドメインのメールアドレスにも影響します。今後ユーザがOSをアップグレードしたり、新しい端末を購入したりしてiOS 17の普及率が上がると、次第にLTPの影響も大きくなるものと考えられます。

私たちが行ったテストでは、SendGridのクリックトラッキングを利用することで、必要なパラメータの情報を保持できました。クリックトラッキングを有効化すると、HTMLメール内の元のリンクがSendGridのサーバへのリンクに変換されます。AppleはSendGridへのリダイレクトを検知しますが、元のリンクの参照や加工はしないため、パラメータの情報がそのまま保持されます。Bit.lyのような短縮URL生成サービスにも同じ効果がありますが、スパムメール判定されないよう、独自ドメインのURLを使うのがよいでしょう。SendGridでトラッキング用リンクを独自ドメイン化するにはLink Brandingを使用してください。

SendGridはLTPにどう対応するか?

今回の記事ではiOS 17のLTPについて紹介しました。将来的にはAppleが対象範囲を広げ、より多くのパラメータが削除されるようになるかもしれません。しかし現時点では、SendGridのLink Brandingを利用すると、すべてのパラメータが保持されることを確認していますので、トラッキングへの影響をさほど気にする必要はないでしょう。

メール業界は日々進化しています。SendGridはこれからも、皆さまのメールプログラムが最大限の効果を得られるようなベストプラクティスを提供していきます。

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