「mailbox full」でメールが届かない場合のベストプラクティス

「mailbox full」でメールが届かない場合のベストプラクティス

この記事は How to handle mailbox full blocksの抄訳です。

宛先リスト管理のベストプラクティスの中には、メールの到達率レピュテーションに良い影響をもたらすにもかかわらず、あまり注目されていないものがあります。この記事で紹介する方法を取り入れると、GmailやMicrosoft、Appleといった主要なメールボックスプロバイダにおけるブロック率を抑えることができます。また、将来的にスパムトラップになり得るメールアドレスを宛先リストから取り除けるため、ブラックリストへの掲載を防ぐことも可能で、継続的に実施することで、ハードバウンスの発生率を徐々に下げることができます。

あまり注目されていないベストプラクティスとは何か、気になりましたか?
それは、「ブロック」の再発リスクがある宛先をリストからこまめに取り除くことです。すぐに結果は出ないかもしれませんが、一見地味に思えるこのひと手間を積み重ねることで着実に成果が見えてくるはずです。

ブロックとは?

一時的な理由によりメールが受け付けられなかった場合、宛先サーバからソフトバウンス相当の応答が返されます。Twilio SendGridではソフトバウンスのことをブロックと呼び、一時的なエラーとして扱います。ブロックが発生する主な理由は以下のとおりです。

  • 宛先サーバが一時的にダウンしていた
  • 送信者のレピュテーションが低いことが原因で、宛先サーバがメールの受け取りを保留した
  • 送信元IPアドレスまたは送信元ドメインがブラックリストに掲載されていた
  • メールボックスの容量が一杯だった

恒久的なエラーであるハードバウンスの場合は、次回送信時にSendGridがメールを破棄するため、メールは送られません。一方、ブロックはあくまで一時的なエラーであるため、メールは破棄されず、通常どおり送信が試行されます。

正当な送信者でも、キャンペーンメールがブロックされることはよくあります。ブロック自体は珍しいことではありませんが、発生時にはその原因を特定し、適切に対処する必要があります。
メールが遅延している場合は、送信ペースを落とすか、または中断し、キャンペーンに改善の余地がないかを見直しましょう。宛先サーバから「メールボックスが一杯」や「容量超過」といった応答が繰り返される場合は、レピュテーションに悪影響を及ぼす前に、その宛先を配信停止リストに登録することを検討するとよいでしょう。

mailbox fullやover quotaの意味とは?

「メールボックスが一杯(mailbox full)」「容量超過(over quota)」「ストレージ不足(out of storage)」といった容量超過系のブロック応答には注意する必要があります。
これらの応答が返った場合、所有者がそのメールアドレスを長らく利用していないか、あるいは受信トレイの容量が一時的に上限に達していることを意味します。このような応答が繰り返されると、メールボックスプロバイダはそのメールアドレスを非アクティブと判断します。再びアクティブになる可能性もありますが、1年ほど利用されない状態が続くと、次のいずれかのことが起こります。

  • このメールアドレスは無効となり、メール送信を試みるとハードバウンスの応答が返る
  • SpamhausやSpamCopといったブラックリスト管理団体あるいはメールボックスプロバイダが、このメールアドレスをスパムトラップとして使用し始める。一度スパムトラップ化したメールアドレスに送信すると、常にdelivered(配信済み)が返るため判別が難しく、気づかないまま送り続けると、レピュテーションが著しく低下する恐れがある

主なプロバイダから返される容量超過系のブロック応答の例を紹介します。

Microsoft
554 5.2.2 mailbox full; STOREDRV.Deliver.Exception:QuotaExceededException.MapiExceptionShutoffQuotaExceeded; Failed to process message due to a permanent exception with message

Gmail
452 4.2.2 The recipient’s inbox is out of storage space. Please direct the recipient to https://support.google.com/mail/?p=OverQuotaTemp ffacd0b85a97d-38c2a1ba69csi9713541f8f.307 – gsmtp

Apple
552 5.2.2 <emailexample@icloud.com>: user is over quota

勘違いしないでほしいのは、このような応答が返されたすべてのメールアドレスをリストから削除したり、配信停止リストに登録したりする必要はありません。注目すべきなのは、一定期間または複数回のキャンペーンで容量超過系の応答のみが返されたメールアドレスです。

ブロック応答時の配信可否の判断方法

SendGridでは最近、容量超過系のブロック応答があった約4,100万件のメールアドレスを調査しました。その結果、30日間の調査期間中に、約8.5%のメールアドレスが有効な状態に戻り、再びメールが届くようになったことが確認されました。
この数字は、容量超過系のブロックに対する適切な判断がいかに難しいかを示しています。受信者が再びメールを受け取れる可能性を考慮してしばらく様子を見る寛容さが必要な一方で、延々とブロックされるメールのために数百万通分のコストを払い続けることがないよう、一定の厳しさも保たなければなりません。

自社の宛先リストに適した判断基準を把握するには、以下のベストプラクティスを参考にしてください。
実際に送って検証するのもお勧めです。

個人のメールアドレスでは、ストレージ容量の制限により容量超過系の応答が返ることがあります。例えば、GmailやAppleなどのプロバイダでは、メールだけでなくドキュメントや写真などもストレージを使用するため、メール以外の用途で容量が圧迫され、空きがなくなる傾向があります。そのため、配信をすぐに止めるのではなく、しばらく様子を見るのが良いでしょう。
実際、個人向けに毎日メールを配信している企業の中には、この応答が3〜4回続いてもすぐに配信をやめず、できるだけ多くのメールを届けられるようにしている例が多く見られます。

一方、企業のメールアドレスでは、本当に容量がいっぱいになっている可能性は低く、退職などで使用されていないメールアドレスであるケースが多いため、早めに配信を止めるのが望ましいとされています。

実際に検証する場合の例としては、容量超過系のブロック応答が返ってきたらその宛先への送信を一時停止し、30〜60日後に再度送信を試みる方法があります。2回目でメール配信に成功すれば、再びキャンペーンの配信対象に戻しますが、2回目も同じ応答が返ってきた場合は配信するのをやめます。

さいごに

「メールボックスが一杯」のような理由でメールを届けられない場合には、配信停止のタイミングを見極めることが重要です。今回ご紹介した内容が、容量超過系のブロック応答への対応方針を考えるきっかけになれば幸いです。

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