Gmailのフィードバックループを活用すべき理由と実装方法
- 2025年9月18日
- by SendGrid
- Category: ベストプラクティス メールマーケティング
この記事は The How and the Why of Leveraging Gmail Feedback Loop Identifiersの抄訳です。
Gmailが新しい送信者ガイドラインを公開して1年以上が経ちました。ガイドラインには、「Postmaster Toolsで確認できる迷惑メール報告率を0.1%未満に保ち、決して0.3%以上にならないようにすること」という要件が含まれています。
この発表は、メールの専門家たちを大いに喜ばせました。なぜなら、私たちは以前から迷惑メール報告率を0.1%未満に抑えることを推奨してきたからです。ガイドラインは、なかなか重い腰を上げなかった一部の送信者たちがGoogle Postmaster Toolsを導入するきっかけになりました。
最初は不安に感じた方もいるかもしれません。ですが、Gmailは迷惑メール報告率の基準を明確にし、Google Postmaster Toolsを通じて重要なフィードバックをわかりやすく提供してくれています。特に、コンプライアンスダッシュボードは改良を続けており、迷惑メール報告の可視化機能が改善されたことで、送信者が問題点を特定しやすくなりました。
意外と知られていないのは、Google Postmaster Toolsでは、キャンペーンIDレベルまで掘り下げて迷惑メール報告に関する詳細なフィードバックを得られるということです。この機能を活用するカギがフィードバックループです。実装には少し手間がかかりますが、それでも利用する価値は十分にあります。
今回は、Gmailのフィードバックループとは何か、Feedback-IDヘッダを使って識別子を実装する方法、そして送信者がフィードバックループを利用するメリットについて解説します。
Gmailのフィードバックループとは
Gmailのフィードバックループは、Google Postmaster Toolsの機能の一つです。Feedback-IDヘッダを使って、「campaign」「customer」「other」フィールドに固有の識別子を付与できます。これにより、Google Postmaster Tools上でどの識別子が高い迷惑メール報告率と関連しているかを確認できるようになります。
たとえば、以下の例では、迷惑メール報告率が定常的に0.1%を超え、3月10日と11日には0.3%を大きく超えてしまっています。
このブランドは複数の送信元からメールを送っているため、どの送信元で迷惑メール報告が急増したのかを特定する必要がありました。
幸い、GmailのFeedback-IDヘッダが実装されていたため、「Feedback Loop」のメニューから、日付ごと・識別子ごとの迷惑メール報告率を確認することができました。さらに、「Spam rate」を報告率の高い順に並び替えることで、どの送信者IDが迷惑メール報告急増の原因になったのかを特定することができたのです。
Gmail Feedback-IDの実装方法
キャンペーンメールにFeedback-IDヘッダを埋め込むだけで、フィードバックループのデータにアクセスすることができます。Gmailは、ヘッダ形式と実装のガイドラインをヘルプページで詳しく説明しています。
「SenderId」フィールドの指定は必須で、送信元ごとに一貫した値を設定する必要があります。オプションで最大3つ識別子を設定できるため、迷惑メール報告の原因を特定するためにどの識別子を利用すべきか慎重に検討しましょう。
ただし、Gmailはメールごとに一意なID(Message-IDなど)は使用しないよう注意喚起しています。
他にも、キャンペーンやメールタイプ(プロモーション、ニュースレター、製品アップデートなど)の識別子を活用すると良いでしょう。
Gmailでは、Feedback-IDヘッダを使うことで、Postmaster Toolsにどのようなデータポイントを取り込めるかを示す例として、以下のサンプルを提供しています。
Gmailのフィードバックループを利用すべき理由
レピュテーションの観点から見て、迷惑メール報告ほどメール配信に悪影響を与えるものはありません。迷惑メール報告は、ブランドからのメールが受信者にとって望むものではないことをメールボックスプロバイダに直接伝えられる唯一の手段です。
Gmailのようなプロバイダは、迷惑メール報告が急増すると即座に対応します。継続的に迷惑メール報告されているメールは次第に受信トレイに振り分けられなくなり、最終的には受信トレイにすら届かなくなります。そのため、迷惑メール報告の発生原因を特定して、改善することがとても重要です。
多くのメールボックスプロバイダには従来型のフィードバックループの仕組みが備わっており、メール配信サービス側であらかじめ設定されています。これにより、どのドメインや件名のメールに迷惑メール報告が集中しているかといった情報が取得でき、問題の根本原因を特定することができます。
一方、Gmailは従来のフィードバックループに対応していないため、Google Postmaster Toolsなしでは原因の特定は困難です。
Google Postmaster Toolsを使えば迷惑メール報告率や報告日を確認できますが、複数種類のコンテンツや件名を送信している場合は、さらにFeedback-IDヘッダから取得できる詳細な情報が必要です。Feedback-IDは、一つのドメインやプラットフォームで複数の送信元を管理している場合に特に有用ですが、自社サーバから配信している場合でも活用すべき仕組みです。どの種類のメールがレピュテーションに悪影響を与えているかを特定するのに役に立ちます。
原因を特定できたら、受信者がなぜ迷惑メール報告をしたのかを調査しましょう。迷惑メール報告につながる一般的な理由をいくつかご紹介します。
- 明示的な同意を得ていない
暗黙の同意は「同意」ではありません。必ず明確なオプトインを得てから配信しましょう。オプトインを得ていない相手への送信は、TwilioのEメールポリシーに違反します。 - 反応がない受信者に送り続けている
エンゲージメントのある受信者だけに送りましょう。エンゲージメントのない受信者を特定する方法は、「Engagement Based Sending in a Post-MPP World」を参考にしてください。 - 送信頻度が高すぎる
受信者のメール疲れを避けるため、購読開始時に配信頻度を明示し、購読中も頻度を調整できるようプリファレンスセンターを用意しましょう。 - 見慣れない差出人名やドメインから送信している
ブランドの一貫性を保ち、アフィリエイトマーケティングは避けましょう。キャンペーンごとに送信者名を変更して自社内の担当者から送信したように見せかけるのは逆効果です。 - 配信停止方法がわかりにくい、または難しい
GmailとYahoo!はワンクリックで配信停止できることを要件に挙げています。配信停止リンクを目立たない場所に隠したり、複数のステップを強いるようなやり方はNGです。配信停止がスムーズに行えない場合、受信者にとって最も簡単な選択肢は「迷惑メールを報告」ボタンを押すことなのです。
Gmailのフィードバックループは、迷惑メール報告の原因を特定し、送信者レピュテーションを改善するのに役立ちます。ぜひ取り入れてみてください。