迷惑メール判定されないための善き送信プラクティス
- 2016年1月22日
- by SendGrid
- Category: ベストプラクティス
この記事は Why Good Delivery Practices are Critical to Avoiding Spam Designations の抄訳です。
迷惑メールとは何でしょうか?
定義としては、望まれていない広告・宣伝メールや一括送信メールのことを指します。つまり、受信者が許可していない内容のメールを大量に送ると、迷惑メールということになります。しかし、それは表面的な話にすぎません。
実際には、送信者と受信者との間に介在するサービスのいずれかに望ましくないと判断されれば、それは迷惑メールと見なされます。介在するサービスとは、フィルタリングサービス、インターネットサービスプロバイダ、メールサービスプロバイダ、情報セキュリティサービス、などです。
それぞれのサービスは、何かしらの理由を元にメッセージを破棄する可能性があります。そのためメールを受信ボックスまで届けるためには、これらのサービスを全て通過する必要があるでしょう。
広告・宣伝メールの場合、日本ならば迷惑メール防止二法、米国ならばCAN-SPAM、カナダならばCASLといった法律に、まずは従う必要があります。
迷惑メール対策のコストは?
受信者を含めて多くの関係者が迷惑メール対策のコストを払っている、ということは気にかけておいてください。
メールサービスプロバイダ(Gmail、Yahoo!、Comcast、Hotmail、AOLなど)では、メッセージ処理のコストだけではなく、そのメッセージを長期保存するストレージのコストも掛かっています。とくに業務用メールは、少なくとも数年間は保存しなければなりません。
望ましくないメッセージを破棄することはそれらのコストを抑えることに繋がるため、多くの会社は様々な取り組みを行っています。
50%~95%のメールが迷惑メールであるということを考慮すれば、それらを破棄することには大きな価値があると分かるでしょう。
迷惑メール対策サービスは迷惑メールを識別するために、本文のスキャン、画像解析、ドメインやIPのレピュテーション確認、送信ドメイン認証、ウイルスチェック、URL確認、リスク評価、データマイニング、といった沢山のフィルタ処理を行っています。
さらにGoogleやComcastといった巨大なメールサービスプロバイダは、これらの手法に加えて受信者からの反応も見ています。メールを開封したか、ゴミ箱に入れたか、迷惑メールとして分類したか、購読解除したか、といった反応です。
彼らは、同じ送信者から同じ内容のメールを受け取ったユーザ全体を見渡して、その反応を追うことができるのです。
望まれるメールを送ろう
最近の「Email Evolution Conference」によると、上位4つのメールサービスプロバイダ(Gmail、Comcast、Outlook、AOL)は、受けとったメールの95%を迷惑メールとみなしています。
それでは、貴方が送信するメールを残りの5%として扱ってもらうためにはどうすればいいでしょうか?
そのメールについて、送信者が重要と考えているかどうか、過去にオプトインしたかどうか、CAN-SPAMやCASLなどの法律に従っているか、といったことは大切ですが本質ではありません。
受信者がそのメールを望んでいるかどうかが本質なのです。それを素直に達成すれば、ほとんどのメールは受信者まで届くようになるでしょう。
迷惑メールの送信者は、詐欺師や悪意を持った人ばかりではありません。その多くは、真っ当な業務の過程で送信したものの、メールというエコシステムの中で明文化されているルールも暗黙のルールも理解していない人々なのです。
個人で利用しているメールサービスについて考えてみてください。望んでいるメールのみ受信できていますか? 常にそうですか? 特定の送信者から大量に受信しすぎていませんか? メールマガジン登録時から興味が移り変わったりはしていませんか? そういったことに受信者は悩まされているのです。
レピュテーションの評価基準
宛先リストに登録されている全ての人と関係を保つことは現実的に不可能です。顧客は常に現れては去っていくものです。むしろ去りやすくすることは、メールというエコシステムの中でレピュテーションを高く保つことに繋がります。
主要なメールサービスプロバイダは、サービス内のエンゲージメントを基に送信レピュテーションを評価する傾向にあります。彼らは次のような表を使っています。
受信者の行動 | レピュテーションへの影響度 |
---|---|
返信 | ++ |
非迷惑メールとして報告 | ++ |
開封 | + |
個別フォルダへ移動 | + |
ラベルを追加 | + |
宛先リストに追加 | + |
開封せずに削除 | - |
迷惑メールとして報告 | - |
これらとは別に、できれば1クリックで簡単に購読解除できることや、送信ドメイン認証(SPF、DKIM、DMARC)を適切に設定していること、といった評価基準もあります。
届けるために為すべきこと
メールを読んでもらうためには、まず受信者に届けないことには始まりません。一括送信する際のベストプラクティスも別途ありますが、それはきちんと届くようになってからの話です。到達率を改善するため、為すべきことを為しましょう。
- 受信希望の確認 : 確実にオプトインを行いましょう。
- エンゲージメントの追跡 : 到達率、開封率、クリック率、などの受信者がどう反応しているか分かる指標をモニタリングしましょう。
- セグメンテーション : どんなメールであっても常に全ユーザへ送るようなことは止めましょう。受信者のエンゲージメントを理解してから、それぞれのセグメントに応じた送り方をするようにしてください。
- ウォームアップ : 送信量は徐々に増やしましょう。新しいキャンペーンを始める時や、新しいIPアドレスやドメインから送る場合は、まずはアクティブでエンゲージメントの高いユーザへ送りましょう。他のユーザへの送信は、その後です。
- 簡単な購読解除 : 1クリックで明確に購読を解除できるようにしましょう。そうすることで迷惑メール報告されてしまうリスクは減り、到達率は向上するでしょう。
- 送信ドメイン認証 : SPF、DKIM、DMARC、といった送信ドメイン認証を適切に設定して、宛先メールサーバからより信頼されるようにしましょう。
結局のところ、迷惑メール判定などのフィルタリング処理を通りぬけてメールを届けるためには、適切なタイミングで適切なことを為せばいいのです。入ってくる情報を無視せず、必要なところにメッセージが届くようにしましょう。