「メールマーケティングの教科書」共同セミナー開催レポート
- 2020年10月16日
- by 堀宮ありさ
- Category: イベント・セミナー
Twilio SendGridマーケティング担当の堀宮です。
2020年10月13日に、配配メールを提供するラクスさんと共同セミナーを開催しました!
今回のセミナーは、メールマーケティングでまず押さえておきたい内容をそれぞれお話しし、メール関連の質問に主要ベンダー2社で何でもお答えしようという初めての試み。
オンラインでの開催でしたが、Twitterのハッシュタグ #メールマーケティングの教科書 を多くの方にご利用いただき、悩みやノウハウが共有され大いに盛り上がりました。
開催レポートでは、2つの講演と質疑応答の中でSNSの反響が大きかったポイントをご紹介します。メール配信をこれから始める方も、効果を上げたい方も、ぜひご一読ください。
第1部「これだけは抑えておきたい。メール送信の心得」 / 株式会社構造計画研究所 中井勘介 @nakansuke
SendGridのエバンジェリスト中井からは、メールを宛先に届けるために必ずやるべきこと、やってはいけないことについてお話ししました。
まずは用語のおさらいから。
分かっているようで、意外と曖昧にしか理解していないものがあるかもしれません。
メールが届かなければ始まらない
- 20%のメールは受信トレイに届いていない。
- 受信トレイに入っているのは、最近登録したサービスからのトランザクションメール、毎回継続して読んでいるメールなど。
- 迷惑メールフォルダに入っているのは、フィッシングなど悪意のあるメールだけではない。サインアップはしたが読んでいないメール、以前は読んでいたが興味がなくなったメールなども迷惑メールフォルダに入ってしまう。
正当なメールを送っていても、受信ボックスに入らないということがあるので注意しなくてはいけません。
レピュテーション(Reputation)を高く保つことが非常に重要
- レピュテーションとはISPがスコアリングした「送信者の信頼度」のことで、クレジットカードの信用情報のようなもの。
- レピュテーションは、SendGridや配配メールのようなメール配信サービスを使いさえすれば高くなるわけではなく、受信者とのエンゲージメントから受ける影響が大きいとされている。
- エンゲージメントは、受信者が受け取ったメールに対して開封・クリック・返信などの行動を取ると上がり、読まずに削除したり迷惑メール報告したりすると下がってしまう。
受信者とのエンゲージメントを高めるには、A/Bテストを繰り返して開封されやすいタイミング、魅力的なタイトル、クリックされやすいCTAを見付けることが重要です。業種やオーディエンスによって最適解は変わるので、ぜひ皆さんのソリューションに合わせて色々と試してみてください。
レピュテーションにネガティブに働く要素を減らすには
バウンス/無効なアドレスを減らす
- ダブルオプトインを採用し、受信者が本当にメールを読みたいか確認する。
- 当分送っていない古い宛先に送らない。
- 宛先リストは絶対に購入してはいけない。
スパム報告を減らす
- 配信停止はボタン1つで簡単にできるようにして、リクエストがあった場合はすぐに対応する。
アクティブでない宛先を減らす
- 最後の送信後〇週間エンゲージメントがない人を宛先から外すなど、Sunset Policyを作成する。
- 全く反応がない宛先はスパムトラップになっている可能性があるので宛先リストから外す。
- そもそも全く読まない人に対してメールを送り続けることに意味はなく、レピュテーションを下げてしまうリスクしかない。
配信停止率を下げるために、配信停止の方法を分かりにくくするのは絶対NG!離脱しやすくした方が、迷惑メール報告されにくくなります。
適切なメッセージを適切な対象に適切なタイミング、頻度で送りましょう。
第2部「弊社のメルマガ、これでいいの?~成果が出るメルマガと出ないメルマガ~」 / 株式会社ラクス 安藤健作 @comune1128
配配メールの事業責任者である安藤さんからは、メルマガで”態度変容”を起こし受信者にアクションを起こしてもらう方法を共有いただきました。
メルマガの役割の変化
- 以前は、メルマガはファンを増やすためのもので、人柄を伝えるような文章力が求められた。
- 現在は、受信者に具体的なアクションを起こしてもらう”態度変容”を目的とするものに変化した。
メールマーケティングのKPI
- 多くの企業は開封率しか見ていないが、Bounce Rate(不達率)、Open Rate(開封率)、CTOR(反応率)、CTR(クリック率)、Unsubscribe Rate(購読解除率)の5つのKPIは最低限見るべき。
質の高いリストに、セグメント配信を行う
- リストの量ではなく質を重視する。質の高いリストにメールを送れば態度変容は起きやすく、Open Rate(開封率)やCTOR(反応率)は高まり、Unsubscribe Rate(購読解除率)は低くなる。
- リスト全体に一斉配信すると読者の反応が薄くなってしまうが、パーソナライゼーションして個別最適化したメールを送るのはシナリオ作りが大変。そこで、中間のセグメント配信を行うことで高い効果を狙うことができる。
テキストメールは✕、HTMLメール一択
- 読者の大多数はメールを開いて7秒以内で読むかどうかを判断するので、中身が一瞬で想像しやすいHTMLメールが向いている。
- 法人相手でも、どの業種でも、実はHTMLメールは高い割合で受け取ることができる。
- サービス名が分かる差出人にし、件名は短く、大事なことは冒頭に持ってくる。釣りタイトルには意味がない。
- CTAは上のものほどクリックされやすい傾向がある。長いコンテンツをじっくり読む読者はいない。
件名の長さによる開封率の差など、統計的な根拠や調査結果が示され説得力がありました。メルマガで成果を出すために、すぐに活かせる具体的な施策がありそうです!
第3部 質疑応答
Sli.doに寄せられた沢山の質問の中から、当日回答した内容を少しだけご紹介します。
Q:開封率を上げるために取り組むべきことは?
A:
安藤さん(配配メール)
まずは何のために開封率を上げたいのかを考えていただきたいです。開封率が1桁台の場合、宛先リストに問題があることが多いです。例えば件名は、1対Nに送ると思わず、個人に送るような意識で書いてみてください。
中井(SendGrid)
相手に読まれるコンテンツを作成することを目指し、結果的に開封率が上がっていたというのが理想的な状態だと思います。また、プリヘッダーを長らく変更していない、または設定していない、といった場合は、ぜひ設定してください。大きな効果が出ることがあります。
Q:配信頻度を上げると離脱も増えるのではないか?
A:
安藤さん(配配メール)
配信頻度を上げて離脱が増えたという話はあまり聞きません。頻度というよりは内容が重要であり、必要とされていないメールは送るべきではありません。
中井(SendGrid)
受信者に関連がある、興味があるメールを送ることが重要です。また、作成するのは大変ですが、プリファレンスセンターを利用して受信者自身にカテゴリや頻度を選択してもらうようにすると効果的だと思います。
メールマーケティングサービスを扱う2社での初めての共同セミナー、楽しんでいただけたでしょうか?常に相手の立場で、望まれるメールを送ることが重要ですね。
メディア「メルラボ」にて、当日答えられなかった質問への回答&イベント掲載レポートが後日公開されるそうです。そちらもどうぞお楽しみに!