メール到達性入門 〜メールマーケター向け〜
- 2022年12月22日
- by SendGrid
- Category: ベストプラクティス メールマーケティング
この記事は Email Deliverability 101 for Email Marketers の抄訳です。
魅力的なメールを作成し、適切なセグメントに送信するだけでは、メールマーケティングはまだ半分といったところです。送信したメールが受信トレイまで届かなければすべては無駄になってしまうのですから。
残りの半分となる「メールの到達性」は、メールを宛先に届け、迷惑メールフォルダにも入らないようにすることです。到達性に影響を与える要因は複数ありますが、その多くは送信レピュテーション、つまり、メールの受信側となるインボックス・プロバイダ(ISP)が送信者に対してどのような印象を持つかに関係します。
この記事では、メールの到達性とは何か、なぜ重要なのか、何に影響するのかについて説明します。
メールの到達性とは
メールの到達性とは、宛先の受信トレイにメールを届ける能力のことです。簡単そうに聞こえますが、単に宛先リストに追加し、メールの送信ボタンを押せばいいという訳ではありません。メールがきちんと受信トレイに振り分けられるかは、さまざまな要因によって変わってくるからです。
ISPは、送信元のIPレピュテーション、ドメインの知名度、ベストプラクティスを遵守しているかなど、様々な点を考慮してメールの振り分け先を決めています。さらに、ISPは受信者の声も気にしています。多くの人が迷惑メール報告をすれば、ISPはその送信者から受信者を守る必要があると判断するでしょう。
では、メールが到達することと到達性はどう違うのか?次は、この疑問について考えてみましょう。
到達と到達性の違い
到達率が高いからといって、到達性に問題がないとは限りません。互いに影響することはあるものの、これらの指標は別物です。
- メールの到達とは、メールが宛先まで到達することであり、「メールがバウンスしなかった」ことを意味します。バウンスは、メールアドレスが無効であるなどの理由で発生します。バウンス率が高いと送信レピュテーションは下がり、最終的には到達性に影響します。しかし、メールの到達を左右する要因は、メールの宛先リストを適切に管理できているかどうかです(後述)。
- メールの到達性とは、メールが宛先に到達した後、どこに振り分けられるかということです(受信トレイや迷惑メールフォルダなど)。メールの到達性を左右する要因としては、送信レピュテーション、スパム報告、メール認証などがあります。以下、詳しく説明していきます。
メールの到達性が重要である理由
メールの到達性を高められるかが、メール施策の成功を左右します。その理由をいくつか挙げてみましょう。
受信トレイへの到達
繰り返しになりますが、メールの到達性を高めるということは、迷惑メールフォルダに振り分けられたりブロックされたりすることなく、受信トレイに届けられるようにすることです。メールの受信を希望してくれた人が、きちんとメールを受け取れるようにしましょう。
具体例を考えてみます。ある人が、あなたのメールマガジンと競合他社のメールマガジンの両方に登録したとします。競合のメールは受信トレイに入ったのに、あなたのメールは迷惑メールフォルダに振り分けられたとしたら?競合はアピールの機会を得て、あなたのメールは迷惑メールフォルダで放置されてしまいます。
高い送信レピュテーションの維持
ISPや受信者からスパマーと認識されるようなことがあってはなりません。万一、送信レピュテーションが下がってしまうと(※送信レピュテーションを下げる要因については後述)、到達性が低下し、その結果、あなた自身の評判をも傷つけかねません。このようなサイクルに陥ることは避けなければなりません。
マーケティング目標の達成
メールマーケティングには、購入、ダウンロード、登録など、最終的な目標が設定されていますが、メールを受け取ってもらえないことには目標を達成することはできません。メールの到達性が低いと、コンバージョンは見込めないのです。
メールの到達性に影響を与えるもの
メールの内容やデザインは、迷惑メールかどうかの判断材料として使われるため到達性に影響します。他にも、送信レピュテーションや宛先リストの管理方法などメール配信システムの裏の仕組みも大きく関係します。
Twilio SendGridの到達性の専門家によると、到達性に影響を与える要因とその対処法には以下のようなものがあるそうです。
宛先リストの管理
ISPは、ハードバウンスや開封されずに放置されているメールがないか監視していますが、これらは定期的に宛先リストを整理することで減らせます。それでは宛先リストをきれいに保つための方法をいくつかご紹介しましょう。
エンゲージメントのない宛先の削除
受信者の中に、メールを無視したり削除したりする層はいますか?この場合は次の施策を検討してください。
- 再エンゲージメントキャンペーンを実施し、メールの送信頻度や配信停止について受信者に確認する
- メールの送信頻度を減らす
- 再エンゲージメントキャンペーンに対し反応がない古いメールアドレスは、宛先リストから削除する
無効なメールアドレスの削除
ハードバウンスが発生するのは、無効なメールアドレス(退職者のメールアドレスなど)や入力間違いである場合がほとんどです。ハードバウンスを0.5%以下に抑えるため、無効なメールアドレスは定期的に削除しましょう。これにより、「私は有効なメールアドレスに送信しているし、迷惑メールのような送り方をしないように気をつけている」ということをISPに示すのです。
メールアドレス検証ツールの活用
メールアドレスの検証ツールを使えば、無効なメールアドレスが宛先リストに入り込むことを防げます。例えばBriteVerifyのようなサービスでは、無効になったメールアドレスや存在しないメールアドレス、誤入力などをチェックできます。APIも用意されているので、メールアドレスの登録フローにこのようなチェックを挟むことでハードバウンスを減らせます。
迷惑メール報告
複数人に迷惑メール報告されると、迷惑メールフォルダに振り分けられるようになり、場合によってはブロックリストに登録されてしまいます。でも、心配はいりません。迷惑メール報告を減らす方法がいくつかあります。
ダブルオプトインの導入
メールアドレスの登録にはダブルオプトイン方式を採用し、本当にメールの受信を希望するか再確認しましょう。
ダブルオプトイン方式での登録フローは、通常、次のようなものになります。
- ユーザが登録フォームにメールアドレスを入力する
- 入力されたメールアドレス宛に、本当に登録を希望するかを確認するメールが自動送信される
- ユーザはメール内の確認ボタンをクリックし、登録を完了する
この方法なら迷惑メール報告される可能性は低く、安心です。さらに、入力されたメールアドレスが正しいものであることも確認できます。
配信停止依頼にはすぐに対応
メールマーケティングにおける黄金律のひとつが、「配信停止を求められたら、すぐに停止すること」です。そうしないと、迷惑メール報告をされてしまう恐れがあります。詳しくは、配信停止のベストプラクティスをご覧ください。
メール認証
スパマーやなりすましではなく、正当な送信者であることをISPに示すための、認証用のプロトコルがあります。これらの認証に失敗すると、最終的に到達性に支障をきたす可能性があります。
具体的には、次のようなプロトコルがあります。
- SPF(Sender Policy Framework):そのドメインからの送信が許可されているサーバ(=正規のサーバ)を特定するのに使われる
- DKIM(DomainKeys Identified Mail):そのドメインの管理者が送信したメッセージであることを、電子的な「署名」で裏付ける
- DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance):SPFやDKIMの認証に失敗したメールをISPがどのように処理するべきかを送信者が指定する
送信レピュテーション
このメールの差出人は正当な送信者か?迷惑メールフォルダに入れるべきか?といったことの判断材料になるのが、送信レピュテーションです。送信レピュテーションは、受信者がメールに反応するか、メールの内容に関心を持つか、迷惑メール報告をするか、といったことで変わります。
送信レピュテーションには、IPレピュテーションとドメインレピュテーションの2種類があります。また、ツールを使えば現在のレピュテーションを確認することもできます。自分のスコアが分かったら、ベストプラクティスに従って保護または改善しましょう。
Twilio SendGridで健全なメールを送信しましょう
到達性に影響を与える要因について理解したところで、メールの到達性を上げるための8つのベストプラクティスもチェックしてみてください。
メールの到達性は分かりにくいものですが、Twilio SendGridの新機能「Deliverability Insights」を使えば、到達性を向上させるための実用的なヒントが得られます。
大事なメールを確実に届けるために、Twilio SendGridではどのようなことをしているのか?詳しくはSendGrid Deliverabilityをご覧ください。