専門家が語る!メール到達性について知っておくべきこと

専門家が語る!メール到達性について知っておくべきこと

この記事は ISP Panel: What We Learned About Sender Reputation, Spam and the Impact of Apple’s MPP の抄訳です。

「メールが宛先に届くこと」は、送信者にとって最も重要です。メールが受信トレイに届かないと、受信者はおすすめ商品やイベントなどの情報を受け取れなくなり、企業にとって機会損失となります。

最近行われた米国Twilio SendGridのウェビナーでは、インボックス・プロバイダから識者を招待し、メールに関する近年の動向と到達率向上のベストプラクティスについてお話を伺いました。

パネリストは以下の3名です。

  • Annalivia Ford氏:Spamhaus社の Email, Anti-Spam & Deliverability 担当
  • Marcel Becker氏:米国Yahoo!社の Product Management 担当シニアディレクター
  • Jaren Angerbauer氏:Proofpoint社の Postmaster & Deliverability 担当マネージャー

彼らは、送信者レピュテーション、近年の迷惑メールの手口、Apple社のメールプライバシー保護機能などに関わる多くの疑問に答えてくれました。本記事では、メール送信者へのアドバイスや質疑応答の内容をまとめました。

本記事では、メール送信者へのアドバイスや質疑応答の内容をまとめました

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1. 良好なレピュテーションを築く

Angerbauer氏によると、Proofpoint等のサイバーセキュリティプロバイダがメールの正当性を判断する際、以下の要素が最重要視されます。

では、新しいドメインやIPアドレスを使って送信する場合、どうすれば着実にレピュテーションを上げられるのでしょうか。また、どうすれば良好なレピュテーションを維持できるのでしょうか。Becker氏曰く、最善の方法は「ユーザが望むメールを送ること」です。

多くの受信者がメールをスパムとしてマークすれば、インボックス・プロバイダはあなたのメールが望まれていないものであると判断します。結果、レピュテーションは下がり、メールはスパムフォルダに振り分けられてしまいます。

ご自身のレピュテーションは、これらのツールで調べることができます。アカウントとレピュテーションの保護に役立つこちらも参考にしてください。

良好なレピュテーションを築く

2. 配信停止のベストプラクティスに従う

メルマガの購読者を失いたい人はいません。しかし、購読解除に応じないと受信者は迷惑メール報告をするようになり、レピュテーションに悪影響を与えます。購読を望む人々にもメールが届かなくなるより、関心の低い受信者を失うほうがましといえるでしょう。

Angerbauer氏は、Proofpointが正当なメールまでブロックすることは望んでいないと語りました。全てのマーケティングメールに配信停止リンクを入れる、配信停止リクエストには速やかに対応するなど、ベストプラクティスを実践して迷惑メール判定されないよう努めましょう。

配信停止のベストプラクティスに従う

3. Spamhausのブロックリストに登録されてしまった時の対処法

ベストプラクティスを遵守していても、迷惑メールフォルダに振り分けられる可能性はゼロではありません。DNSブロックリスト(DNSBL)に登録された時の対応と、削除してもらうためのヒントをFord氏が教えてくれました。

マルウェアやボットに感染したことが原因でexploits blocklistに登録された場合、解決策はシンプルです。マルウェア等を除去し、Spamhausに連絡しましょう。

しかし、レピュテーションが低いことが原因でdomain blocklistに登録された場合は、あっさり解決とはいきません。Spamhausに削除を依頼する前に、以下の項目を確認しましょう。

  • WHOISはきちんと設定してありますか?WHOISとは、インターネット上でドメインの所有者とその連絡先を参照できるサービスです。正当な組織であることを示すために、必ずWHOISを設定しましょう。
  • 低額のホスティングサービスを使っていませんか?ブロックリストに載っているドメインとIPアドレスを共有している可能性があり、あなたのIPレピュテーションに悪影響を与えてしまいます。
  • レピュテーションを慎重に構築し、ベストプラクティスを守りましたか?新しいドメインやIPアドレスには最初はレピュテーションがありません。時間をかけて向上させる必要があります。
  • 送信ドメイン認証は正しく設定されていますか?詳しい方法はこちらを参照してください。
  • 顧客から集めたデータを見直し、定期的に宛先リストのクリーニングを行っていますか?
  • 宛先リストを業者から購入していませんか?これはNG行為であり、たとえメール送信してもあっという間にブロックリストに掲載されてしまいます。

ブロックリストに登録された原因を特定し、その問題を解決したら、Spamhausにブロックリストからの削除を依頼してください。

Spamhausのブロックリストに登録されてしまった時の対処法

4. 迷惑メールの新しい手口に引っかからないために

Spamhaus社が近頃よく目にする迷惑メールの手口とその回避方法について、Ford氏が解説しました。

近年、家庭用のプロキシネットワークから送られる迷惑メールが急増しています。不正なアプリのダウンロード等により個人のデバイスが乗っ取られ、スパムメール送信の踏み台にされるのです。サードパーティ製のアプリには、使用許諾書の目立たない場所に接続の共有に関して書かれていることがあります。このようなアプリの利用は避け、デバイスを安全に保ちましょう。

Ford氏曰く、無料のストリーミング配信やチャンネルロックの解除など、うますぎる話には飛びつかないことが鉄則です。アプリが公式ストア(Google Play ストアやApp Storeなど)で公開されていない場合、何か理由があると考えましょう。また、IoTのドアベルやリモコンなども、スマートデバイスにインストールする際に注意が必要です。

迷惑メールの新しい手口に引っかからないために

5. ネガティブなサインとクリック数を追跡し、ユーザのエンゲージメントを計測する

2021年9月、Apple社はメールプライバシー保護機能をリリースしました。これがメールのイベント計測にどのような影響を与えるか、多くのマーケターが注目してきました。

Appleのメールアプリ利用者は、本機能を有効化することでメールがApple社のサーバ側で機械的に開封されるようになり、アクセス元IPアドレスが秘匿されます。その結果、メール配信者にとって正確な開封データの検知は難しくなります。

このことから、Becker氏は以下のことを推奨しています。

まず、フィードバックループSMTPエラーコードなどのネガティブサインを監視することです。これにより、配信で問題が生じた際、すぐに気付けるようになります。さらに、プライバシー保護機能の影響を受けないクリック率を追うことで、エンゲージメントの把握に役立ちます。

メールプライバシー保護機能の詳細とその影響に関しては、こちらを参照してください。Twilio SendGridでは、“sg_machine_open”パラメータを使って機械的開封を特定することができます。詳細はこちらをご覧ください。

ネガティブなサインとクリック数を追跡し、ユーザのエンゲージメントを計測する

6. BIMIを導入する

Becker氏は、BIMI(Brand Indicators for Message Identification)の導入を企業に推奨しています。BIMIとは、認証されたメールにブランドロゴを付与する規格であり、Google, Yahoo!, Fastmail, Mailchimp, Proofpoint, Twilio SendGrid, Validity, Valimailにより策定されています。

受信者は、受信トレイに表示される写真やアバター画像から送信元を認識し、開封の判断をすると言われています。しかし、もともとメールはアバター画像のような情報を持たなかったため、インボックス・プロバイダ業界が共同でBIMIを作るに至りました。BIMIは、認証済みのドメインからのメッセージに企業ロゴを表示させるため、受信者の開封判断を助ける信頼性の高い情報元となったのです。

BIMIの仕組みなど、詳細についてはこちらで紹介します。

質疑応答

ウェビナーの参加者からいただいた質問に、Twilio SendGridのエキスパートたちが答えました。

ボット・クリック

「セキュリティソフトによるボット・クリックと人間によるクリックを見分けるにはどうすればよいですか?」

ボット・クリックかどうかは、以下の観点でチェックしましょう。

  • 不自然な挙動を示す宛先を見つけましょう。例えば、送信したメール全てを開封した宛先、メールのリンクを全てクリックした宛先、開封までの時間やクリックする間隔が不自然なほど短い(数秒)の宛先は、ボットの可能性があります。
  • Proofpoint, Barracuda, Mimecastなど、サードパーティのセキュリティソフトを使うドメインを特定しましょう。
  • クリック率(メールごと、ドメインごと、キャンペーンごと etc.) が平均と比べ著しく高くないか調べましょう。もしそうなら、ボット・クリックの可能性が高いといえます。

ボット・クリックされる可能性を最小化する方法は以下のとおりです。

  • 全てのリンクをHTTPSに統一しましょう。安全なトラッキングURLとそうでないものが混在していると、ボット・クリックの対象となる傾向があります。例えば、メール内のトラッキングURLがHTTPSなのに、その遷移先が非セキュアなHTTPである場合が当てはまります。
  • 特定ドメインのメールが受信トレイに安定して届かない場合には、エンゲージメントが高い受信者とそうでない受信者でキャンペーンを分けましょう。
  • コンテンツの質をチェックしましょう。リンクや、画像とテキストの比率などにも注意を払いましょう。アグレッシブなメールマーケティング手法(件名に絵文字を入れる、大げさなフレーズを用いるなど)はボット・クリックの対象になる傾向があります。
  • 高いレピュテーションを維持しましょう。エンゲージメントが高い受信者が多い送信元は、ボット・クリックされる確率が低い傾向にあります。

メール認証とハードバウンス

「弊社のサイトでは、リード向け入力フォームでメールアドレスのバリデーションを行っていません。自動返信メールのハードバウンス率は4%ですが、この数字は高いといえますか?迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクが高まりますか?」

高いハードバウンス率は、レピュテーションに悪影響を及ぼします。Twilio SendGridでは、ハードバウンス率を0.5%以下に留めるように推奨しています。

ハードバウンス率が高い場合、まずは原因を特定しましょう。メールの受信に同意しないと商品の購入ができない、値引きされないなど、強制的なオプトインをしていませんか?オプトインプロセスに問題がないことが確認できたら、メールのバリデーションを導入しましょう。以下の記事で宛先の有効性やリスクを検証するサービスを紹介していますので、ご覧ください。

「ハードバウンスにどう対処すべきですか?宛先リストからメールアドレスを削除すべきですか?」

ハードバウンスの応答コードを受け取ったということは、宛先のメールアドレスが無効であることを意味しています。ハードバウンスが発生したアドレスにメールを再び送ると、そのインボックス・プロバイダにおけるレピュテーションが下がるため、これらのアドレスはリストから削除しましょう。

BIMI

「BIMIの設定方法は?」

BIMIの設定にはいくつかのステップがあります。まず、SPFDKIMDMARCを正しく設定しましょう。DMARCレコードでは、quarantineもしくはrejectのポリシーを指定する必要があります。さらに、SVG Tiny1.2形式のロゴファイルを作り公開します。最後に、BIMIレコードを作成しDNSレコードに追加します。GmailでBIMIを実装する手順はこちらをお読みください。

メールの主要な指標

「Appleのメールアプリで開封率を正しく検知できなくなった今、代わりにどのネガティブサインに注目すべきですか?」

ユニーク開封率は依然として使える指標です。Event Webhookで取得した“sg_machine_open” パラメータを使えば、従来のOpenイベントが抽出できます。とはいえ、より手軽な手段としては以下のネガティブ指標に注目することをおすすめします。

迷惑メール報告は最も重要なネガティブ指標であり、0.08%を上回ると高いとみなされます。ハードバウンスや、レピュテーションの低下によるソフトバウンスやブロックも監視すべきです。

「Gmail宛てのメールでは、迷惑メール報告されたことをEvent Webhookで検知できません。なぜでしょうか?配信を止めるために、どの受信者が迷惑メール報告したかを知る方法はありますか?」

Gmailは、Yahoo!やMicrosoftと違いフィードバックループに対応していません。そのため、Gmailアカウントから迷惑メール報告を受け取ることはできません。代わりの方法として、Gmail Postmaster ToolsやMicrosoft Smart Network Data Servicesに登録することをおすすめします。これらのサービスは、ドメイン/IPレピュテーション、迷惑メール報告数など、配信状況を把握するための重要なインサイトを提供しています。

Twilio SendGridのDeliverability Insightsを活用してメール配信を改善しよう

到達性はメール配信においてとても大切です。そして、到達性等のパフォーマンスを把握するには、データを追うことが不可欠です。Twilio SendGridのDeliverability Insightsを使えば、配信状況を簡単に確認でき、問題の検知に役立ちます。ぜひお試しください。

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