生成AIに聞く「Twilio SendGrid」

生成AIに聞く「Twilio SendGrid」

はじめに

最近は、知りたいことをウェブ検索する代わりに、生成AIに聞く方が増えているかと思います。生成AIは難しい回答をわかりやすくまとめてくれる一方で、間違った回答が返ってくることも少なくありません。

今回は、生成AIサービスの1つであるChatGPTにTwilio SendGridについて質問し、サポートエンジニアの立場から、回答がどの程度正しいのかを解説します。

メール配信サービスをSendGridに切り替えれば到達率は上がる?

質問:

現在、社内のマーケティング担当者が見込み顧客に対してそれぞれのマーケティング施策に応じたメールを一斉配信しています。最近、この環境から送られるメールが宛先に届かないことが増えてきました。調べてみたところ、送信サーバがブラックリストに登録されてしまったことが原因のようでした。どういった原因が考えられるでしょうか。また、SendGridに切り替えることで解決できるでしょうか。それぞれ代表的な事項を3点にまとめ、合計1000文字以内で回答してください。

AIの回答とそれに対する解説:

以下にブラックリスト登録の代表的な原因3点と、SendGridへの切り替えで解決できる代表的なポイント3点をまとめてお答えします(合計1000文字以内)。

■ ブラックリスト登録の主な原因(3点)

1. メールの品質・リスト管理の問題(ハードバウンス・スパム報告)
古いリストや取得経路が曖昧なリストに一斉配信すると、ハードバウンスやスパム報告が増加します。受信側ISPはこれを「不審な送信元」と判断し、結果として送信元IPがブラックリストに登録されやすくなります。

2. 誤ったSMTP設定・逆引きDNS等の不備
SPF、DKIM、DMARCの設定不備や、逆引きDNS(PTRレコード)の未設定、同一IPアドレスからの大量メールなど、技術的な信頼性要件を満たしていない場合、スパム送信者と誤認されてブラックリストに載ることがあります。

3. 共用IPの巻き添え(自前サーバ・小規模レンタルサーバ等)
自社環境が共用IPであったり、同じネットワークの別ユーザーがスパムを送信していると、善意の送信者でも「巻き添え」でブラックリスト入りするケースがあります。近年はこのパターンが特に増えています。

(回答続く⋯)

ここまでは概ね問題ないと思います。ブラックリストに関するより詳しい情報はブログ記事を参照してください。

(⋯回答続き)

■ SendGridへ切り替えることで解決できるポイント(3点)

4. 高評価の専用IPと送信基盤による到達率向上
SendGridは送信IPのレピュテーション管理を自動で行い、各ISPと直接連携しているため、単純な自前SMTPより到達率が大幅に改善します。専用IPを使う場合は特に安定します。

(回答続く⋯)

この部分は、詳細が省略されているため補足します。

SendGridでは、使われる送信元IPアドレスの種類が契約プランによって異なっており、Pro以上のプランの場合にアカウント専用のIPアドレス(固定IPアドレス)を利用できるようになります。固定IPアドレスを利用するメリットは、利用者がレピュテーションを完全に制御できる点です。固定IPアドレスは、比較的大量送信を行う場合に適しています。

一方、FreeおよびEssentialsプランの場合、送信元IPアドレスは他のアカウントと共有されます。他アカウントの送信実績の影響を受けて到達率が左右されるリスクがある反面、レピュテーション管理の手間がかからない点がメリットです。共有IPアドレスは、送信通数が少ない場合や、送信頻度が低い場合に適しています。

いずれのプランでも、後述する「サプレッションリスト」などの機能により、自社でSMTPサーバを運用する場合よりもレピュテーションや到達率を高く維持しやすい環境になっています。

(⋯回答続き)

5. 認証(SPF/DKIM/DMARC)の自動化・簡易化
自前サーバで煩雑になりがちなメール認証設定がSendGrid側で適切に管理され、技術的な不備を原因とするブラックリスト化リスクが大幅に下がります。

(回答続く⋯)

誤解を招く箇所があるため少し補足します。

SendGridでメールを送信する場合、SPFDKIMの設定(Domain Authentication)は利用者自身で行う必要があります。設定はDNSにレコードを登録するのみであるため、SPFやDKIMの仕組みに詳しくなくても簡単に行えます。DMARCについては、SendGridでは設定をサポートする機能は提供していません。

(⋯回答続き)

6. リスト品質管理やバウンス抑止の仕組みが標準で搭載
不達ドメインの自動抑止、解除済のサブスクライバ管理、配信停止リンクの自動付与など、到達率向上に必要なリスト管理機能が標準装備されています。これにより、バウンス・スパム報告を最小限に抑え、レピュテーション悪化を防ぎます。

(回答ここまで)

これはサプレッションリストに関する説明です。SendGridでは、過去にバウンスした宛先や配信停止された宛先などをサプレッションリストに保持することで、これらの宛先への送信を自動的に止める仕組みになっています。
この機能を使えば宛先リストを定常的にクリーニングすることができ、レピュテーション管理の手間を大幅に削減できます。この機能だけでも、SendGridを利用する価値は十分にあるといえるでしょう。

しかしながら、サプレッションリストの仕組みは「過去にSendGridアカウントから送信した宛先」に対してしか有効に働きません。質問の条件にあるように「SendGridに切り替える」場合、サプレッションリストにはまだ宛先が登録されていないため、SendGridからの送信をはじめる前に宛先リストをクリーニングする必要があることに注意が必要です。リストクリーニングの具体的な方法はチュートリアルをご覧ください。
宛先アドレスをクリーンな状態に保つことが、配信トラブルを防ぎ、メール運用を成功に導く鍵です。

Proプランにアップグレードする際の注意事項は?

質問:

現在、SendGridのEssentialsプランで1日あたり1万通程度のメールを定常的に送っています。このアカウントのプランをProにアップグレードする場合、注意すべきことを1000文字以内でまとめてください。

AIの回答と解説:

SendGrid Essentials → Proへのアップグレード時に注意すべきポイントを、1000字以内で整理します。

1. IPウォームアップの必要性(専用IP利用時)
Proプランでは専用IPアドレスを利用できます。既存の共有IPと比べて到達率の改善が期待できますが、突然大量送信するとレピュテーションが悪化し、かえって受信拒否される可能性があります。そのため、移行後は段階的に送信量を増やす「IPウォームアップ」を必ず実施してください。

(回答続く⋯)

Proプランを利用すれば固定IPアドレスと共有IPアドレスの両方を選択的に利用できるように読める点が誤解を招くため、補足します。

Proプランにアップグレードすると、アカウントに割り当てられた固定IPアドレスからメール送信されるようになります。共有IPアドレスから送ることはできません。
この固定IPアドレスにはレピュテーションがないため、事前準備なく大量送信すると、宛先サーバから不正な送信とみなされて遅延やブロック(宛先からの受信拒否)が発生することがあります。必ずIPウォームアップを行い、レピュテーションを高めてから送信しましょう。IPウォームアップの方法はドキュメントをご覧ください。

(⋯回答続き)

2. 認証設定(SPF/DKIM/DMARC)の再確認
Proではカスタムドメイン認証(ホワイトラベル)がより前提となります。DNS設定や送信ドメイン認証が正しく構成されていないと、Proにしても到達率は改善しません。移行前にSPF/DKIM/DMARCが適切に設定されているか確認してください。

(回答続く⋯)

誤りが含まれているので訂正します。

プランによらずSPFとDKIMの設定(Domain Authentication)は必須です。したがって、Proプランにアップグレードする際の注意事項には該当しません。

(⋯回答続き)

3. 料金体系の変化に注意
Essentialsと異なり、Proは送信量・機能に応じて料金が上昇しやすいプランです。
特に注意点は以下です:

  • 専用IPが有料オプションになる場合がある
  • Overages(超過料金)の単価が異なる
  • 複数ユーザー管理を使う場合、追加ユーザー料金の発生

(回答続く⋯)

曖昧な箇所を補足します。

Proプランにアップグレードすると、自動的に固定IPアドレスが1つ割り当てられます。このIPアドレスには追加料金はかかりません。2個目以降のIPアドレスには追加料金がかかります。

プランによって超過料金の単価が異なる点は正しいですが、上位のプランになるほど単価は下がります。

「複数ユーザー管理」は「サブユーザ」の説明だと思われますが、サブユーザの追加自体には料金はかかりません。無料で複数の子アカウントを作成することができます。
各サブユーザから送信した分の料金は、親アカウントの送信分と合算して請求されます。

詳しくは料金プランをご覧ください。

(⋯回答続き)

4. サブユーザーアカウントの活用設計
Proプランではサブユーザーアカウントが使えます。マーケ・プロダクト・通知系などの用途でアカウントを分けることでレピュテーションの汚染リスクが減りますが、メールテンプレートやAPIキー管理がアカウントごとに独立する点に注意が必要です。

5. Webhooks/Eventデータ連携の見直し
ProにするとEvent Webhookの高頻度データ(開封、クリック、バウンス等)をより積極的に活用できますが、受け取り先のサーバに負荷がかかる場合があります。ログ保存や処理設計の見直しを推奨します。

(回答続く⋯)

5番の回答はメールの送信量が急激に増える場合の話であり、必ずしもProプランにアップグレードする際に注意すべきものではありません。
利用プランによってEvent Webhookの連携仕様が変化することもありません。

(⋯回答続き)

6. サポートレベルの変化
Proでは優先サポートが利用できますが、サポートへの問い合わせ方法やSLAは事前に確認しておくと安心です。

(回答ここまで)

弊社のサポート対応については、プランによる違いはありません

まとめ

AIは知りたいことを素早くまとめてくれるため大変便利ですが、細かいところでは誤りが多々みられました。大枠をつかむためにAIを活用するのは良いと思いますが、サービスの具体的な仕様や料金については、公式情報を参照することをおすすめします。

株式会社構造計画研究所では、ドキュメントブログよくあるご質問でさまざまな情報を公開しています。ご不明な点については気兼ねなくサポートにお問い合わせください。

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