SMTPリレーサービス入門
- 2022年11月10日
- by SendGrid
- Category: ベストプラクティス 機能・使い方
この記事は SMTP Relay Service 101 [Back to Basics] の抄訳です。
多くの方がWebメールをよく利用しているかと思いますが、Webメールは特定のメール配信には適していません。大量配信メール(例:ニュースレター)や、ユーザのアクションに対して自動送信されるトランザクションメール(例:登録完了通知、パスワードリマインダ)など、多くのビジネスではそれぞれの用途に合ったメール配信ソリューションが必要となります。
ニュースレターやトランザクションメールを配信するためのメールプロバイダをお探しの方であれば、「SMTPリレーサービス」という言葉を耳にされたことがあるかもしれません。これは簡単にいえば「メールの配信に特化したサービス」で、メールの受信は行いません。では、配信に特化することにはどんな意義があるのでしょうか?そして、それはどのようなものなのでしょうか?
SMTPとは?
「SMTP」は Simple Mail Transfer Protocol の略で、世界中のほとんどのメール配信サービスで使用されているプロトコルです。メール配信サービスでメールを送信するときには、設定されたサーバに接続し、SMTPで通信します。サーバとの通信ができてはじめてメールが送信できるようになります。
わかりやすく郵便になぞらえると、サーバは郵便局に例えることができます。手紙を送るには、封筒に宛先と差出人を記載します。地元の郵便局は、宛先に一番近い郵便局を調べ、そこに手紙を送ります。
メールの場合も同じで、送信には宛先と差出人情報(送信元のメールアドレス、IPアドレス、タイムスタンプなど)が必要です。これらの情報がないと、ローカルサーバは受信者側のサーバにメールを送ることができません。
SMTPメールリレーとは?
SMTPメールリレーとは、メールをあるサーバから別のサーバへ転送することです。例えば、会社Aの人が会社Bの人にメールを送る場合、メールはまず会社AのSMTPサーバに送られ、その後会社Bのサーバに転送されます。このように、特定のサーバが別のサーバからメールを受け取ることを「リレー」と呼びます。
一方、同一ドメイン間でメールを送受信する場合、他のサーバは関与しないので「リレー」とは言いません。これは、同じ町内にいる人に手紙を送るのに似ています。手紙を受け付けた郵便局は、他の郵便局には送らずに直接宛先に配達するでしょう。
SMTPリレーサービスとは?
SMTPリレーサービスとは、信頼できる第三者機関を経由してメールを配信するサービスのことで、一括メール配信やトランザクションメールの送信に特化したものが一般的です。
なぜこのようなサービスが必要なのでしょうか。
インターネットサービスプロバイダが提供するWebメールの多くは、迷惑メール対策として1日あたりのSMTPリレー数に上限を設けています。この制限を超えて送信することはできないため、Webメールは大量配信を必要とするビジネス利用には向かないのです。Twilio SendGridのようなSMTPリレーサービスプロバイダであれば、迷惑メールだと誤判定されることなく大量のメール配信が可能です。
また、多くのSMTPリレーサービスでは、SMTP認証(SMTP AUTH)と呼ばれる仕組みを用いて、メールのセキュリティを担保しています。SMTP認証とは、メール送信者がSMTPサーバにアクセスする際に認証を行う、SMTPの拡張機能です。SMTP認証を用いたメールリレーでは、メールを中継する前に送信者の認証情報を確認し、第三者によるアクセスを防いでいます。
オープンリレーにはこのような仕組みがないため、悪用されやすいのが現状です。SMTP認証は、スパムメール送信者からサーバを保護すると同時に、信頼できるユーザが自由にメールを送受信するための機能なのです。
SMTPリレーサービスの意義とは?
個人やビジネスで個別に送信するメールの場合、通常はメールの内容が1通1通異なり、宛先の数も限られています。そのため、迷惑メールと誤判定されることは少なく、それほど複雑ではありません。しかし、何万もの宛先にニュースレターを送信する場合はどうでしょうか?あるいはユーザのアクションに対してメールを送信するようなWebアプリを使っている場合は?そうしたメールは内容が似通っており、迷惑メールと誤判定されてしまうことも少なくありません。SendGridをはじめとしたSMTPリレーサービスは、こうした問題に対処できます。
普段使っているメールサーバを大量配信に利用した場合はどうなるでしょうか?恐らく、到達率は低く、帯域は圧迫され、大量配信とは無関係なメールの送受信も遅延させてしまうでしょう。メールが迷惑メールフォルダに振り分けられないようにメールサーバを常に監視し対応し続けるのは、コストがかかる上にとても困難です。ビジネスの成長に合わせてメールの量も増えていきます。その度にメールサーバを増強していては、さらに手間もコストもかかってしまいます。
SMTPリレーサービスプロバイダにアウトソーシングすれば、普段のメールのやり取りに悪影響を及ぼすことなく、メールの大量配信や自動配信を行えます。また、SendGridであれば、組織の成長に合わせて柔軟にスケールを変更できます。
Twilio SendGridのSMTPリレーサービス
Twilio SendGridのSMTPリレーサービスは高いスケーラビリティを誇ります。ハードウェアやソフトウェアにコストをかけることなくビジネスニーズに合わせて送信通数を増やすことができ、さらに、お客様の活動を支援するためのセキュアな機能も充実しています。
Web APIであれば他システムとの連携が容易で、そのためのライブラリやコードサンプルも用意されているほか、弊社では日本語でのサポートも提供しています。
SMTPサーバの導入に関してお悩みの方は、アカウントを作成のうえ、ぜひTwilio SendGridをお試しください。